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おあずけ

 集合場所から徴兵された人たちと一緒に歩いて一週間とちょっと。ようやく王都までたどり着きました。道中には特筆すべきことはなかったけどね。俺がちゃーんと寝不足になったのも予想どうりだし。……はぁ、一日で良いからゆっくり寝させてくれないのかな?


 とにかく王都に来たんだし気分転換に王都観光だーって最初は思ってたんだけど、徴兵された人は王都に入っちゃ駄目だとの命令が。……理不尽だ!王都を観光することだけを楽しみにしてここまで来たっていうのにそりゃないでしょ。

 まあしばらくは王都近郊で待機だから一日中テントがある。こうなったら寝不足を解消するために昼寝しまくるしかないな。これも万全の体調で戦地に向かうために必要なことだし、何か言われてもしっかりとそう言ってやらないと。


 次の日は朝起きて朝食を食べたら速攻で二度寝に向かった。今日も変わらず寝不足にさせられてたし、久々に心行くまで寝ちゃおう。

 そんな感じで最初は爆睡してたんだけど、昼過ぎくらいに兄貴が起こしにやって来やがった。いきなり耳元で怒鳴られたから頭がキーンとなりましたよ。兄貴は無駄に筋肉だけはあってやけに強そうな見た目なんだけど、それを忠実に再現したような中身をしてる。だから声はでかいし力も強い。農作業なんて力仕事だから理解できなくもないけど、一人だけ明らかにおかしい。俺は至って普通なのに……。

 それで何故起こしたかって言うと、待機している間に訓練して少しでもやれれる確率を減らしておこうとのことだった。俺の場合はあなたたちのせいで寝不足になってそれが原因でやられそうなんだけど、その部分もどうにかならないのかな?

 まあ、起こされてしまったし訓練もしておく方が多少はましだろうから、今日くらいなら参加しておくのも良いか。




 一日だけのつもりが、あれから毎日参加させられましたよ。まあ朝は寝かせといてくれたからそこだけが唯一の救いかな。つーか朝すらも寝させてくれなかったら、冗談抜きに出発前に倒れてたかも……。


 とまあそんな感じで過ごしてたら、やっと戦地へと出発するとの命令が伝えられた。俺たちが到着してすぐ後は他から着いた人たちも多かったけど、最近は減ってたからそろそろかな~とは思ってたけど本当に命令きちゃった。

 ただ、俺たちはかなり後の方の出発になるみたいだ。だから今日も今まで通りにここで寝るように言われてる。それにしても出発が後の方なのはどうしてだろ?少なくとも農民から徴兵された兵で俺たちくらいまで残っているのは全くいない。うん、意味が分からんね。誰か知ってるかな?


「ねえ兄貴、農民から徴兵された兵の中で俺たちだけ最後まで残ってるなんて運が良いよね。他の地域だったらもうとっくに出発してなきゃいけなかったのに、俺たちだけは明日までゆっくりできるし」

 寝る前にテントの中でそう言ったら、兄貴だけじゃなくてテントの中にいる全員が驚いたように俺の顔を見てきた。え、俺ってそんなに変なこと言った?

「かい、お前それ本気で言ってんのか?俺たちだけが残ってるのが偶然な訳ないことくらい考えたら分かるだろうに」

「やっぱり理由があったんだ……。それでその理由って何なの?」

 あの筋肉兄貴に馬鹿にされたことはスルーします。ちょっとでも気にしたら俺の心が重大な損傷を負いかねない。

「はぁ、父ちゃんの話を聞いとらんかったんか。今回の軍を率いる将軍は俺たちの地域の領主様だから、徴兵された兵だけども俺たちは領主様の近くに居るんだと。何でもこれまでの活躍が認められて特別に将軍になられたそうだぞ」


 なるほど、そういう理由だったのか。ああ、周りの皆がやけにやる気なのもそれが理由なのかも?どんな形であれ自分と関わりのある人が評価されるのは嬉しいってことかな。

 とはいえ、万が一だけど王様が暗愚だった場合はこの戦争やばいよね。この将軍が優秀なのは悪知恵ってことになるだろうし。本当に実力があって評価された人物なら良いな~。


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