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幼馴染は魔王でした。私は勇者のようです。  作者: うらぎった
彼女に振り回されてます。
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仲間と昔の知り合い(改)

 あれから何度か江見ちゃんを説得しているのだけれど、全く耳を貸してくれない。

「つーん」

 とか言って、泣き顔を横にそむけている。



 何よ智樹の奴、私の前からいなくなろうとするなんて、絶対に許さないんだから。

 私はその時、智樹をがっしりと掴んだまま放そうとはしなかった。

 目は泣いて赤いけど今は構うもんか!智樹がいなくなるのは嫌、絶対に嫌!もう誰かがいなくなるのは絶対に嫌だ。

 顔が恥ずかしくて、赤くなって火照っているのが自分でも分かるけど・・・・・・構わない、今放したら智樹どっかに行っちゃうもん。


「ぐすっ...ひっく...」


  思い出したらまた涙が出てきた...


 智樹が困った顔をしてるけど駄目だもん。

 周りが困惑してるみたいだけど...違う世界の人だし知らない!


「...やれやれ...しょうがないなぁ...こうなったら」


 智樹はそう言うと私を...おおおお姫様抱っこしてきた。負けるもんか!


「国王様すいません。本当にすいません」


 何か智樹が国王様に謝ってる??


「このまま江見ちゃんも冒険者にします。でないと...江見ちゃん動かない感じだし」


 そう言いながら私の体を抱きしめ......顔が近い近い近いーーー!

 でも、これも智樹の計略かもしんあいし、あうあうあうあう......


「仕方ないの、この様子では、てこでも動きそうにないしの」


 よ...良かった...もう爆発寸前で、顔なんかもう真っ赤だよぅ...


「これで良かった?江見ちゃん?」


 そう言った智樹の声が耳の近くできこえてぇぇぇぇぇ、その上何か今、頬に...智樹の...くち...が...ふれ......


 ボフン!!


 私はあまりの事に、頭から音を出して目を回し気絶した。

 いいいいいい今の、今のきききキス?キスだよね?キスされちゃったああぁぁぁぁぁぁ(偶然だけど)


「うにゃぁぁぁぁぁ......」

「ちょ!江見ちゃん?ちょっと?大丈夫??おーい」


 智樹の声は聞こえているんだけど...頭がゆだって反応できにゃい...

 恥ずかしいんだか嬉しいんだか...


「えー...ちょっとこの状態の江見ちゃんじゃ話は出来ないので、僕が代わりに話をしますね」

「そうじゃのぅ」

「取り合えず。今日の所は何所かに泊めてもらえませんか?江見ちゃんがこの様子じゃあ...」


 そう言って、腕の中で赤くなって目を回している江見ちゃんに視線を向ける。


「うむ、そうじゃの、それとワシの方から資金と武器をお主らに渡しておこう」

「助かります」


「そうじゃの...資金は金貨100枚、武器はそちらの勇者が起きたら選んでもらうと良いな」

「......分かりました」


 僕は金貨100枚は多すぎじゃないかと国王さまに言いかけたが、食費やら何やらこれから入用になるだし、飲み込んで礼を言っておいた。


「さて、後は江見ちゃん寝かせて...と」


  そこへ財務大臣さんが来た。


「なあ、お主冒険者となって腕を磨くのじゃろう?」

「ええ、そのつもりですが...何か?」

「いやの、この者と同じ異世界の住人たちを、あと何人か召還して教えておったんじゃ、もし良かったら連れて行ってもらえんか?」


「......そう言えば勇者達・・・・・って言ってましたね確か...」


  そうか複数人召還されたのか...

  その後国王様や他の十騎士聖団に挨拶をして、その場を後にする

  僕は江見ちゃんをお姫様抱っこしながら、財務大臣の後をついて行く、何か視線が多いが気にはならない

  最初は寝かせようと思ったんだけど、江見ちゃんが僕の胸に頭を預けて寝ているなんて、滅多に無いんで少しこのまま抱きしめて移動しよう、江見ちゃん軽いし。


「それでその他の異世界人って何人来たんですか?」


「3人じゃな、男の子と女の子2人じゃ、共に魔法使いと侍そして巫女の素質があった為、賢者殿に訓練を頼んだのじゃ」

「ああ、そうか異世界人だから、この世界の神様とか信仰には無関係ですもんね」


 僕の答えに、満足そうに財務大臣がうなずく

 この世界の僧侶プリーストと呼ばれる人達は、この世界の神々を信仰しその力によって奇跡を起こす。

 だけど異世界の人がこの世界の信仰や、神様なんて知るわけが無い、だから僧侶は自然とこの世界の人となる訳だ。


 しかし賢者ねぇ...あんまりいい思い出の人いないんだけどなぁ...


「後呪文は<転写>で覚えこませるんでしたね。」


 僕からそれを聞くと、財務大臣は感心して


「お主よく知っておるのぅ」


「ふんぞり返っているのは性に合わなかったもので」


 ちなみに<転写>で覚えこませる。 とはRPG風に言うと「その呪文を使うに相応しい技量(Lvとか)になった時、脳裏に刻まれた多くの呪文の中から、その呪文を使えるように発動させるスキル」である。

 簡単に言うと、一旦全部頭に入れさせて、本人の技量が足りればその呪文が頭に浮かぶ、という便利な事である。

 ちなみにこのスキル滅茶苦茶修行しないと使えない、大神官や賢者クラスのスキルなので1国に3,4人居れば普通である。


 そんな事を言っていたら、他の異世界人が訓練をしている場所に着いたらしいが...


「ぎゃあ!ちょ!俺、魔法使いなんだけどー!しかも今さっきほぼ限界まで魔力使ったんだけどーーー!!」

「ぎゃあぎゃあ煩い!」

「ああ、信也しんや君!」

「このババア、鬼だよ絶対!」

「誰がババアだこのガキャ!」

「あいったぁ!!何すんのよ!ババアはババアでしょ!」

「よく言ったこのクソガキ!」

皐月さつきちゃんも~、やめようよ~」


 何か聞いた事ある名前と声がするけど...今は先に確認しよう


「...ええと...賢者...なんですよね?」


 すると気まずそうに


「...ああ。あれでも3000年は生きておる賢者らしい...」

「すいませんけど、発言が賢者とおもえないんですけど...あれじゃただのヤンキー...」

「...兎に角すまん」

「本当に苦労してますね。財務大臣さん...」

「ありがとう...」


 元魔王に心配される財務大臣って......僕この人可愛そうになってきたよ...


「出来るだけ...頑張ります」


 なんかこの人と僕の間に妙な共感が生まれそうだ...


「あのぅ...もし良かったらお名前教えて貰えませんか?財務大臣じゃあなんなんで」

「ああ、そう言えば名乗ってなかったな、ワシの名前はゲイル=バイツじゃ」

「永井智樹です。そう呼んでもらえると助かります」


 そう言って、頭を軽く下げる。


「こちらも宜しくな」


 そうゲイルさんが言ってくれた。


「しかし...お前さん今さっきからお嬢ちゃんを抱えておるが...重くないのか?」


 しかし僕は


「重くありませんよ、軽いぐらいです。もし重いとしたらそれは、江見ちゃんを持っていられる幸せの重さです」

「おー、おー、言うのぅ」


 ちなみに今さっきから<うわー>だの<ぎゃー>だの<きゃー>だの聞こえてくるけど、ゲイルさんと一緒に冷や汗を流しながらスルーしている。


 しかし、それは突然に破られた。

 ドガ!ドザザザザ!という音と共に、僕と同年代の男の子が地面を滑ってきた。

 その顔は見覚えがある顔だった......

 友和信也ともかずしんや僕と同じクラスの男子で後ろの席のやつだ...

 少し薄い青色の髪をしていて、優しいのだがあまり細かい事は考えない奴だ。


「と...言う事は...ま・さ・か......」


 続いて信也が飛んできた場所から、侍の格好をした女の子が飛んできた。


「あいっつつつつ...あのババァ...ん?あれ?智樹じゃん?どうしてここに?しかも江見をお姫様抱っこなんてやるじゃん」

「やっぱりか、皐月委員長...」


 この子も知っている。


「この世界で委員長はやめて...」


 彼女の名前は 羽状皐月うじょうさつき僕達のクラスの委員長を務めていた子だちなみに席は一番後ろ

 黒く長いい髪をポニーテールにして纏め、目元はパッチリしている女の子だ。

 そして剣道部の主将でもある。


「ってことは...あの声はミー子なのか?」

「あの声、他にいたら聞きたいよ私は」


 そう話していると、とてててて と本人は走っているつもりなのだろうが、非常にのんびりと女の子がやってくる。


「だいじょ~ぶ?皐月ちゃん、信也くん......あれ~智樹くん?江見ちゃんも」

「よっ」


 この非常にまったりした女の子は春日崎春奈かすがざきはるな、普通は<春っち>とか<春奈>と呼ばれているのだが、幼い頃よく泣くときにミーミーと泣いていたので、僕はよくミー子と呼んでいる。

 ピンクのふわっとした髪が肩口まであり、二重瞼。ちっと運動が苦手な女の子である。

 彼女も江見ちゃん同様、幼馴染の1人だ


「ミー子まで来てたのか」

「ミー子じゃないよ~、はるな」

「いや、今もミー子だろ?」

「ちがうもん!」

「まあいいや、ミー子も来てたのか」

「だから、ミー子じゃないって言ってるのにーー!」


 ミー子はぷんぷん と頬を膨らませた。

 僕の胸の上でう~ん...とか江見ちゃんが言い始めたので、そろそろ江見ちゃんを何所かに寝かせに行こうとすると、3人が来た方向から女性がこちらに歩いてきた。


 若葉色の髪が肩口で揃って緩いウエーブを描き、日に焼けたような煉瓦色の肌、そして女性にしては長身な身長、体つきは女性ならば憧れるプロポーションを持っている。

 普通の人がこの人物を見たら誰もが<職業は戦士とかですか?>という位そんな風格を漂わせている。

 うん、この人が戦士系の服を着たら凄く似合うだろうね...

 でも今、目の前の人物はそんな格好ではなく、魔法職が着る法衣と踊り子を合わせたような服を着ている。


 やばい...僕はこの人物も知っている...いや、確かに肩書きは<賢者>だしそうと言われてもおかしくない魔法力と呪文の数々、それを使いこなす技術があるのは知っている...だけど...


「お?何だ?また新しく来たガキか?」


 僕はこの目の前の人物が、<賢者>だとは、いや<魔法を使う人>の範疇にはぜっっっったいに入れたくない、この戦闘バカだけは


「おお賢者どの訓練は終わりですかな?」

「終わってねぇ、まだ訓練中だ」


 僕は江見ちゃんを抱えたまま、ジリジリと後ずさりしていた......


「ほぉ?俺の実力が分かるのか?ガキんちょ?少しは骨がありそうだな...」


 拳をボキボキと鳴らしながらこっちに近寄ってくる。

 ま、まずいまずいまずい、今江見ちゃんがいるんだ。絶対に攻撃はできない......それに僕はコイツには関わり合いたくない......


「すっ...すいません...今彼女が寝てるんで、お相手どころじゃないんです」


 だが目の前の女性はそれを許してはくれない


「ああん?そんなジャリ、そこら辺にほっぽっときゃ良いだろうが、いいから来いクソガキ」


(......頼むから勘弁してよぉぉぉ!僕はあんたとは関わり合いになりたくないんだよおおぉぉぉ!)


 だが僕のそんな心の絶叫は聞こえる筈も無く...


「いいからつら貸せつってんだろ!、邪魔だなこのジャリ」


 そう言いながら軽く江見ちゃんの顔をペシペシとはたいた。



 次の瞬間、僕は素早く左手だけで江見ちゃんを支えなおし、右手で女の手首を強く握る。


「お?何だやる気かこのく......ぐっ!...」


 僕は片手で力の限り、女の手を握り潰さんと力を込める。

 お前...今江見ちゃん叩いたな...?


「...智樹くん、あれ絶対切れてるよね?」

「智樹って他のことなら冷静なのに、江見の事になるとすぐ暴発するからね...」

「ちょっと江見ちゃんが羨ましいなぁ...」

「あれ?春奈って智樹狙いだったの?」


 すると顔を赤く染めて


「ちっちちち違うよぉ」


 だが、傍らでそんな会話をしていても僕は構わず、その手首を握り潰さんとミシミシと力を込める。


「放せ!」


 そう言いながら、その女はもう片方の手で僕を狙ってくる。

 僕はそれを避けながら、手を離し足だけを置いてくる。

 だが彼女はそれを避けた後、痛むのかもう片方の手で逆の手首を押さえている。


「こんガキゃぁぁぁぁぁ...」


 相変わらず頭に血が昇りやすいなこいつ...ガスを抜いてやるか


「皐月、春奈、江見ちゃんを頼む」


 そう言って彼女達に江見ちゃんを預けた。

 あんまり戦いたくはなかったけど...江見ちゃんに危害加えたら別だ!


「ふ...二人とも?」


 そうゲイルさんが言うが


「すいませんゲイルさん、少し広い場所を貸していただけますか?」

「ふん、それなら中庭があるそこに行こうか」

「あんたには聞いてない」

「テメエ!」

「まッ待ってくだされ賢者殿、智樹殿もどうしたのじゃ?」


 ゲイルさんには悪いが、今は戦わないとガス抜き出来ないだろう、まあ今の自分も似たような状況なのだが...


 兎に角ゲイルさんを先頭にして、中庭に歩きだす。


「くたばる前に名乗っておいてやるよ賢者ジーハ=マグウェイだ」


 ああ、やっぱりジーハか・・・何でまだ生きてるんだよこいつもう、会いたくなかったよ...


「松坂智樹、中学生2年」


「はっ!異世界の学生ってか?お坊ちゃんが」


 はあ・・・そうそう、コイツいつもこんな感じで他人に突っかかるから、喧嘩が絶えなかったよな...

 しかもコイツ昔から魔法使わないで、拳の1部分だけを魔力でガードして殴り合いが主だもんなぁ...身体強化とかが主な使う魔法だし...

 え?何で詳しいのかって?......昔、僕を退治しようっていう勇者のパーティが居るって聞いて、それらしきパーティーに正体隠して潜り込んだんだ。


 まあ、ビンゴだったんだけど...正直予想してた勇者パーティーとはかなり違ったので、思いっきり驚いたが...

 その時にパーティーにいたのがコイツだ。

 戦闘で魔法を使えばいいのに、戦士と一緒に前に出て敵を殴る。

 街で男にふられて暴れて殴る。

 酔いすぎたら、暴れて殴る。

 兎に角先ず殴る。

 兎に角殴る

 範囲魔法使えば、殲滅が楽な時でも殴る。殴ろうとする。


 仲間になった時に回りに押さえてもらって俺が範囲魔法撃ったこともあったなぁ...

 兎に角こいつはちゃんとした魔法が使えるのに殴ろうとするのだ。

 気苦労が絶えなかった...

 後、何回も何回も失恋しては恋を繰り返していたっけなぁ...


「ここがテメエの墓場だ」


 ジーハがそう言うと大きく開けた場所に着いた。

 そこには花壇や噴水、彫像などが美しく陽光に照らされ、風景を飾っていた。


「こんな綺麗な場所で死ねる事を幸せに思いな」

「い...いや...賢者殿...穏便に...」

「ああん!?」

「...何でもありません」


 ...コイツ...相変わらず変わってないな...いい加減変われよ...しかもゲイルさんに当たらなくてもいいだろうに...少し言ってやるか


「537回」


 僕がそう言うと、ジーハは後姿を見せたまま、ビクッ!と体を揺らしダラダラと冷や汗を流している。


「その第1回はおとうさん おとうさん将来私と結婚して...」

「ぎゃーーーーーーーーーやめろーーーー!!」


 ちなみにこれは彼女が泥酔した時に聞いた話だ。

 泥酔しながら殴りかかってくるので避けるのが大変だった......しかもグダグダ言ってくるし。


「お...お前...なにもんだ?......いやまさ...」

「第2回はとなりのおにいさーん」

「やめれーーーーーーーー!!しなす!絶対に死なすーーーー!」


 そう言いながらジーハは襲い掛かって来た。開始のようだ。


 しかし、何でコイツ今まで生きてるんだ?

ご意見、ご要望、ご指摘いつでもお寄せ下さい。

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