難しい話と昔の話(改)
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これからも悪い所があったらどんどんご指摘してください
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僕はまたしても、いきなり理不尽な暴力によって床に倒れている。
「江見ちゃん。もっとこう...スキンシップは穏便にして欲しいんだけど...」
「いつもの事でしょ」
「それでも変更を希望する!」
むすっとした顔で江見ちゃんは聞いてくる。
「どんな風によ?」
うーん...そうだなぁ...
「江見ちゃんとハグとか」
そう言うと江見ちゃんの顔が一瞬で真っ赤に染まった。
「ばっバカ言ってるんじゃないわよ!」
そう言いながら江見ちゃんの右ストレートが僕に飛んできた
僕は必死に顔を拳が飛んできた方向から、放たれる方向に顔を反らして威力を和らげる。
「ぎゃん!」
それでも僕は吹っ飛ばされる。...勘弁して欲しい。
僕は空中に投げ出されながらそう思った。そして床にゴンといって落ちる...痛い...
「ばっばばばばば馬鹿言ってんじゃないわよ!わ、私があんたとはははハグなんてその...」
ああ、殴られたけど今、恥らってる江見ちゃん可愛いなぁ。
「と......とにかく却下!」
「えー、じゃあアメリカン挨拶なき...」
「もっと却下!!」
「ワシ、自分で判別しといて自信無くなってきたんじゃがこの者達...」
そう言いながらローブのオジサンは意気消沈していた。
「あ、いたんだ?」
「おるわい!」
「お仕事終わって帰ったかと」
「まだ仕事中じゃ!」
「私も偉そうに告げたら、もう居なくなるものかと思ってた」
「お前ら...」
「何?勝手に呼び出した張本人さん」
ムスっとした顔で江見ちゃんはローブのおじさんを睨む。
「大体ねぇ、あんたが私達を召還したお陰で、平和に生活してた私や智樹が争いに巻き込まれて嫌な目に会ってるのよ!今頃だったら私の家に智樹が起こしに来てた筈なのよ。それでゆっくり学校に行っている筈なのよ。あんた私達に何か恨みがあるわけ?無いわよね?だったら責任きっちり取りなさいよね!」
足を軽く開き、ピンと背筋を伸ばし、片手は腰にあて片手はローブのおじさんを指差し捲くし立ててやる。
「せ...責任ってどうすれば良いんじゃ」
「そうねぇ...取り敢えずもう1回確認で属性と職業を調べなさい、まずそれから」
江見ちゃん...多分変わらないと思うよ?
「分かったわい...先ずお主じゃな...」
そう言って江見ちゃんの前に立ち、水晶を目の前にかざしながら呪文を唱え始める。
「アーザ・クーザ・ムーン...」
次の瞬間、水晶が眩しい光を放ち、周りが光で満ち溢れた。そして水晶が<適正勇者>と答える。
「間違いないのぅ?」
「いやいやいや自信持ちましょうよお爺さん」
「誰がじゃ!ワシはまだ60じゃ!」
「...どれだけ生きるつもりですか?」
「生きれるなら1000年は生きてやるわい」
どんだけ生きるつもりだこの人は...
「さて...ヌシの番じゃな...しかし今さっきの行動やらでは...魔王とは思えんのじゃがなぁ?」
「こっちに帰ってこれるとは思わなかったですからね。あっちは意外と平和で良いですよ」
「平和を謳歌する魔王って...本当に伝説は宛てにならんなぁ...」
「何言ってるんですか、戦争なんてお金がかかるし良い事なんてないですよ?」
その僕の良いように興味を持ったのか
「ほうほう、ならばワシが視た後で解説してくれんか?」
とか言ってきたので
「いいですよ」
と答えてあげた。
「では、先ずワシから...」
そして先程の様に怪しげな呪文を唱える。
「アーザ・クーザ・ムーン...」
すると闇が僕の体から溢れ、周りに満ちていくだが...
「なんじゃ?何も見えんぞ?」
「魔王だからじゃないの?」
とかあまり不快感はないみたいだ...あれ?でも水晶は<適正魔王>と言ってきた。
(あれ?おかしいよ?僕が魔王だった頃、同じような判別方法をしてその闇に包まれた人達は、恐怖とか畏怖してたんだけどなぁ?)
「なんか、この中に居たらぐっすり眠れそうよねぇ?」
今のは絶対江見ちゃんだ。間違いない。
「同じ反応じゃのう?でもなんじゃ?何か違和感をかんじるのう??」
「まあ今は考えても、答えは出ないんじゃあないですか?」
僕は少し気になったがそれは今じゃなくてもいいので後回しにした。
「うむ、ではお主の<戦争で良い事なんて無い>という言葉じゃが?」
「ああ、それですね。先ず最初に戦争をするのには莫大なお金が掛かるということです」
「ああ、確かにそれはワシにとって一番頭の痛い問題じゃ」
そう財務大臣の人が嘆く。
「でしょう?戦争をするには武器、装備、食料、人員これらの費用がかかります。戦争に加わる人員が増えるほど」
「中にはそんな事が分からん馬鹿もおる」
「ああ、誰とは言いません」
「助かる」
まあ言わなくても誰とはここに居る人達は分かっているだろう。
「次に戦争に負けた場合、これは賠償問題になるので多大なお金がかかります」
「あっちの世界では違うのかの?」
「あちらの世界で国同士の戦いなんてあんまり有りません。昔の教訓を生かし国連<国際連合>があります。これは、国際平和...国々の平和の維持、経済や社会に関する国際協力の実現をうたっています。
更に、色々な事に討議・勧告を行う と確かしていた筈です。
戦争があっても大規模な国同士の戦争は、僕達が居る世界ではあまり起きた覚えがありません」
(*作者が有る程度軽く調べただけなので、抜けている。間違いとか有るかも知れませんが、ご容赦ください)
「戦争にならぬ為の監視、警告 と言った所かの?」
「恐らく、だから<国同士の戦争>という場面までは余程でない限りなりません」
「戦争になりにくい、か良い話じゃ」
「勝った場合も負傷した兵や、死傷した兵の家族へのケアもしなければなりません」
「まあ、当然じゃな」
「儲かるのは商人位です」
「...まあ確かにの」
「戦争が終わった後も、その戦場となった場所には爪痕が残ります。様々な弊害が、だから戦争は避けるべき物だと僕はあっちの世界で改めて思いました」
「しかしこの世界ではそう簡単にはいかんぞ?」
「だからその時は、早期戦争終結か被害の少ない場所で戦う他ないと思ってもいます。青臭いでしょうけども...」
朝起きて、江見ちゃん起こして学校に行って、学校で居眠りしてる江見ちゃん起こして、江見ちゃんと友達と昼飯食べて、また江見ちゃん起こして、江見ちゃんと下校して...本当に僕、江見ちゃんづくしだなぁ...
思わず笑ってしまう。
「何笑ってんのよ?」
江見ちゃんがそう言うので
「江見ちゃんが可愛いからだよ」
と理由にならない言い方で誤魔化すと、顔を赤くした江見ちゃんの照れ隠しの拳が飛んできた...ぐふ...
「ばっ馬鹿言おってないで、ちゃんと真面目に話をしなさい」
「はい...」
照れ隠しの1撃が痛いです江見ちゃん。
「兎も角、戦争なんて勝っても負けても問題があるけど...勝った方には利益がある。賠償金っていうね」
「賠償金?」
「相手の国から領土やお金を要求する事、そう言えばいいかな」
それを聞いた江見ちゃんは面白くなさそうな顔をする。
(更に言えば、戦争では、略奪、強奪等の犯罪もありえちゃうんだよな)
でもそれを江見ちゃんに言う気は無い、好き好んで彼女に教える事はないだろう、泥は僕が被ろうそれでいい
「兎に角、戦争なんてお金がかかるし、人も死ぬ進んでやるもんじゃないよ」
「まあ、本来はのぅ、しかし魔族のさっき言った<力>のやつらが、先鋒を務めて攻めて来るという情報がきた。部隊もそ奴らが突出しておるとの報告もあるし、間違いなかろう黙って攻め滅ぼされるような事はしたくないしの」
「そこで勇者達に我らと一緒に戦って貰おうと召還したのじゃ」
そう国王さまが言ってきた。要するに江見ちゃんをプロパガンダにもしたい訳か...あまりいい気はしない、自分が昔同じような立場だったからなぁ。
このまま軍に組み込まれると、半ば偶像扱いになることが有る。
それは江見ちゃん嫌がるだろうなぁ...ならここは
「提案があります」
「ん?なんじゃな?智樹殿?」
うん、財務大臣や他の人とも打ち解けてきた。いい方向性だ
「僕は<冒険者>として登録し、遊撃隊として活動を許可してもらえませんか?」
辺りがザワつく
「何故そんな真似を?」
「この世界で生きた事があるとは言え、この体はまだまだ未熟です。冒険者になって鍛え直そうと思います」
こうすれば僕は身軽に動ける。江見ちゃんの援護に動ける。そう思ったその時......
「逃げるんじゃあないわよ智樹」
江見ちゃんがそう言ってきた。
「いや...江見ちゃん逃げるとかじゃあなくてね?」
「あんたアタシが居なくてこの世界で生活できるの?」
「できるよ?」
元居た世界だし
「む、大体弱いあんたが私が居ないのにどうすんのよ?」
「うんそうだね。僕は弱い、だから冒険者になって自分を鍛えなおそうと思うんだ」
「だっ...だったらここで鍛えればいいじゃない!」
「そうかもね。でもね僕にはまだ<何か>が足りないんだ。それが何かは分からないけどね」
あれ?何か気のせいか涙目になってないか?江見ちゃん?
「良いから一緒に来なさいよ!智樹!」
「だから僕は冒険者になるって...江見ちゃん?」
江見ちゃんは、ボロボロと涙を流しながら僕を睨んでいる。え?何か悪い事した?
「いいから...一緒に...来なさいよーばかばかばかばかばか!」
今回の江見ちゃんの攻撃は、腕を振り回しながらポカポカと叩いてくるだけなので痛くはない...痛くはないのだけれど...
「いいから智樹は私と一緒にくればいいの!そうなの!決定なの!」
泣きながら変わらずポカポカと叩いてくる江見ちゃんを見ていると、心が痛くなってくる。
「大丈夫だって、ちゃんと影から江見ちゃんを助ける...」
「駄目!常に側にいなさい!居なくなるなんて嫌」
...彼女がここまで僕がいなくなる事に拒否反応を示すなんて...
「いなくなったら、お母さんみたいに帰って来なくなるかもしれないじゃない!」
江見ちゃんはボロボロ泣きながら、クシャクシャになった顔で僕を見ている。
(ああ、僕をおばさんとダブらせてるのか)
彼女の両親は共働きだった。
ある時、彼女の母親が出張に行かなければいけなくなり、車で出張へ出掛けた。
その日の夕方だった。
彼女の家にパトカーが止まり、少しした後
「嘘よ!お母さん帰ってくるって言って出て行ったのよ!」
という声とそれを宥めるおじさんの声
そしてその後に、
「お母さん!お母さんーー!!」
という彼女の絶叫が隣から聞こえたのを思い出した。
それから暫く江見ちゃんは、魂の抜けた抜け殻のようだった。
そんな彼女の家に行って彼女の世話をしたものだ。
おじさんに「すまないね智樹君」とかも言われたっけ
そんなある日、
「...んで...」
「江見ちゃん?」
「何であんた私なんかに構ってるのよ!ほおっておいたら良いじゃない!構わないで!」
彼女はそう言ってきたが、僕は気にせず彼女に語りかける。
「江見ちゃん、覚えてる?僕達が幼稚園児だった頃?」
「...あんたは陰険で目つきが悪かったわよね...」
...あの頃は色々あったからなぁ...
「でもね、そんな時に天使が現れたんだよ」
「天使?」
怪訝な顔をする江見ちゃん。
「今さっきも江見ちゃんが言ったような子供だったから、同年代の子供達からよく虐められてた。でもその時にね...」
今でも思い出せる。
「いじめっ子の1人に、ドロップキックをかまして、その後手に持った棒で他の子を追い掛け回していたっけその子は」
だんだん思い出したのか江見ちゃんの顔が真っ赤になってきた。
「で、その後、駆けつけた先生達に彼女が言った言葉が<悪くないのに虐めてるから、やったの!智樹悪い事してない、悪者じゃないもん、悪いのはそいつら!智樹いっつも苦しんでるのに...」
「ぎゃああああああ!そっそれ以上言わないでーー!小さい頃の話よーー!!」
目をグルグル回しながらポカポカと叩いてきた。
「いや、でもこれは...」
「いいからやめなさいーーーーーー!」
まだポカポカ叩いてくる江見ちゃんの攻撃を無視して、そっと彼女を抱きしめる。
「なっなななななななな......」
顔はよく見えないが、多分茹でたタコのようになっているだろう。
「あの時から僕は、江見ちゃんが大好きになったんだよ」
「へ?」
「そして、あの瞬間から世界は色褪せた世界から、カラフルな世界に変わったんだ。江見ちゃんは僕の恩人だよ」
「と...もき?」
「世界で皆が敵になろうが、僕は江見ちゃんの味方でいるよ。江見ちゃんの側になるべくいてあげる」
我ながら少し恥ずかしかったが...まあいいや
「......なるべくじゃない」
「はい?」
「ずっと側にいなさい、幼馴染なんでしょ?お父さんより長く生きられるんでしょ?だったら側にいなさい!」
うん、この様子ならもう大丈夫かな?
「うん、そうだね幼馴染として、生きている限りできる限り側にいるよ」
そう言った瞬間、何故か江見ちゃんに両手で顔を引っ張られた。
「ひたたたたたた!ひたい!へみひゃん!」
「だから、ずっと側にいなさいって言ってるでしょおおおおお!!」
「むひゃくひゃだよえみひゃんーー」
その事を思い出して、僕は江見ちゃんを抱き寄せ抱きしめた。
「にゃっっ・・・にゃにゃにゃにゃにゃ!!」
江見ちゃん人言になってないよ・・・
「大丈夫、ちゃんと帰ってくるよ」
「いや!」
...即効で否定された...
「でもね江見ちゃ...」
「だったら私も一緒に冒険者になる!」
「はい?」
「なるったらなるのーーーーーーーーーーーー!!」
ポカポカポカポカと叩きながら彼女はそう言った。
...どうしよう...