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幼馴染は魔王でした。私は勇者のようです。  作者: うらぎった
過ぎ去りし日々...そして<破滅の魔王>の名の切欠(きっかけ)
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(昔の話)ある勇者(?)の話。

暑かった。


お陰でバテバテで体調ボロボロ(-_-;)

それは遥か昔の事でした。

失意に暮れた魔王でしたが、それでも、妻達の仇を取りたくて、日々戦っていました。


そんな時です。

近くに新たな勇者が現れた、との報告がありました。


「魔王様どういたしましましょう?」

「勇者か......」


失意の日からおよそ100年、今や世界各地に(勇者)と名乗る者達が数多く現れました。


力の大小はあれど、皆(神に祝福された者)でした。

魔王からしたら正直面倒臭い奴等ばかりでした。

普段は部下に言いつけ、見つからないようにしていたのですが、その時は気が代わりある事を試したのですが、後々すっごく後悔しました。


「私達に退治されたからですか、軟弱な」

エリナの言葉を無視して話す智樹。


「勇者の頭がまさかパーだとは思いもよらなかったからです」

「誰がですか!」

君達(・・)だよ、さて話を続けましょう」

「訂正しなさい!」


更に何か言ってるが、エリナは取敢えず無視しておこう。



「ここからは魔王がした苦労話です」

「話を聞きなさいー!」



ーーーーーーーーーー



勇者パーティに潜り込んだのは良いのだが、選択肢を間違えただろうか?


たまたま近くに居た勇者パーティが彼女達だったのだが、あれはあまりではないだろうか?



(他人や偉い人の前)


背筋を伸ばし、凛とした表情で人々から尊敬の念を受ける。


「大丈夫です。全ての悪は私達が滅ぼします」


そんな事を言いながら、キラキラと輝いているように見える。

ーーー


(同じパーティや気の知れた仲間)


時間はもう昼過ぎ。


「おーはーよーうー......」

「おはようじゃない!もう昼だ!しかも何だその格好は?ちゃんとしろ!それとシャキシャキ喋れ!!」



今のエリナは、ダボダボのパジャマを着ており、寝ぼけ眼で目を(こす)って、何だか分からないヌイグルミを引きずっていた。



「イーじゃないですか~、この宿屋には知り合いしか居ませんから~~~、はふぁ...あ、後朝ごはんたのみま~~す」「だからもう昼過ぎだと言ってるだろうが!それに俺はいつの間に知り合いになった!」「一ヶ月も~、同じパーティやっていれば~、もう身内ですよ~......ぐう...」

「寝るなー!飯を食うんじゃないのか!しかも何故俺が当然の如く作る事になってるんだ!」



そんな風に言っていると、向こうからジーハが泣きながらこちらにやって来た。


「う゛ぁーーー、エレンー、アルスー、聞いてくれよー」


ちなみにアルスとは、勇者パーティでの魔王の偽名である。


「ああ、また男にフラれたのか、オメデトウこれで154人目......」


ブォン!!


物凄い早さで、アルスの頭部をジーハの蹴りが襲いましたが、魔王であるアルスは難なく避けます。

普通は魔法を使うのが上手い筈の(賢者)である筈ですが、腰の捻り、しっかりとした軸足、本当に賢者か疑った。



「めでたくないわー!それに覚えてんじゃねー!」


ばっ!ボボボボ!


顔を狙った上段回し蹴りをかわしたと思ったら、更に裏拳、そこから連続突きを繰り出してきました。



「だからお前は何で、魔法使い系統の(賢者)なのに肉弾攻撃をしてくるんだよ!しかもこの技の切れ、無駄なSP使って肉体スキル取ったな!!」

「アタシのスキルだ!何取ろうと勝手だろ」「賢者だろ!魔法系統を取らんかー!」



何で魔王がこんな注意しなきゃならないのでしょう?

この勇者PTは絶対に間違っている!


「あー、私のご飯もちゃんとよろしく~~」

「自分で作らんか!」

「エー、ヤダー」


何でこんなパーティ入ったんだろう...でも、まだ苦労の種は尽きない。

ちなみにこの世界の宿屋は、飯が出るのは朝と夕方だけで、昼間は外で食べるか自分達で作るかのどちらかである。


「なーにーしーてーるーのー?」


何故か嬉しそうに間延びした声を発しながら、こちらにやって来る、このパーティの僧侶フェルナーダ、長い金髪をなびかせてやって来るが、それよりも目立つのはその胸部だ。

彼女の神官服は、白と青を基調とした服で、大人しめの雰囲気をかもし出しているのだが、彼女の胸部はそれらをぶち壊し激しく自己主張している。


よくあんなに揺れて、千切れないものだと感心する。



「アルスくん~、ジーハちゃんと~、遊んでる~?」

「誰がだ!おっと!こんな年中フラれまくり女と誰が遊ぶか!」

「テメェ!殺すコロスころーーーす!」

「煩い、職業不全、魅力皆無の脳筋、(自称)賢者!」


まあ、本当は黙って立っていればそこそこ素質は良いのだが、本人が全て台無しにしてるからな。


アルスがそう言うと、ジーハの動きと回転数が更に上がった。

「ムッッッッッッッキィィィィィィイ!!今日こそは絶対に当てる!ぶち当ててやる!そんで泣かしてやらあ!」

「ハイハイハイ、いいから大人しくしようなチンパ・ジー」


チンパ・ジーとは、現代で言うチンパンジーである。


そうやって煽る毎に、ジーハのスピードはドンドン上がっていくが、それとは反比例して精密さがドンドン下がっていく。


まあ、当たり前の話だろう、どんな戦士や格闘家であろうと、早さと精密さを両立させるには何年も時間がかかるものだ。

ましてや、ジーハは基本が(魔法使い系統)だ。

基礎の身体能力がそんなに高い訳ではないのだ。



「んー?アルス君今は忙しいみたいだから、後で私の分のご飯も宜しくね」「フェルナーダ、お前もか!何で俺が作らなければならんのだ!自分で作れ!」

「くのぉ!」


アルスがフェルナーダと話している間にも、ジーハは素早く何発も拳を繰り出す。


だが、ジーハが繰り出してくる攻撃をアルスは


パン

まっすぐ突きだした拳を、衝撃を殺して受け。


パパン

左側から唸ってくる蹴りを払い、更に体を回転させて追撃してくる裏拳を、軽く受け流し。


パパパン!

「うがー!」とか吠えながら、何発もデタラメに繰り出してくる拳の弾幕を易々と弾いた。


「そら!」

「ぎゃ!」


そしてお留守になった足元に足払いをかけて転ばせる。



「拳は軽い、動けても読みやすい、しかも職業が魔法使い系統、しかも小柄、そんな奴が俺に勝てるわけ無いだろ」

「煩い煩い煩い!いつか絶っっったいに勝ってやる!」


ちなみに、この当時はジーハの身長は160ぐらい、この世界の人間の平均身長が男は170、女が165、ジーハはそれより少し低めだった。

そして月日が経って体が大きくなっても、彼女が彼に勝ったことは過去も未来も、1度しかなかったという......


「コラコラ、アルスさんあまりジーハさんを苛めてはいけませんよ?」

「誰が苛めてるだ。アルデスト、こんなチンチクリン苛めても楽しくも何ともない」

「ムキー!」

アルスは腕を駄々っ子のように振り回すジーハの攻撃を、頭を押さえてあしらいながら、アルデストと呼んだら男の方を向いた。

「...お前まで俺に飯を作れとか言うなよ?」

「ああ、先を読まれてしまいましたか、残念」

「おい!」

「冗談です。大方そんな事だろうかと、外の屋台で買ってきました」

「助かる。アルデスト」


色白で肩まで揃えた金髪の魔導師で、気配り上手でニコニコしているが、アルスはこのPTで一番頼りになり、油断ならない人物だと思っていた。


「全く...何でみんな俺に飯をねだるんだ。自分が作ればいいじゃないか...せりゃ!」

「ニギャー!」


顔面を捕まれながら投げられ、猫のような悲鳴を上げるジーハ。


そして愚痴るアルスをアルデストは笑う。


「そう言いながら作っている貴方が言っても説得力が有りませんよ?」


アルスは何だかんだ言いながら、屋台で買ってきた物だけでは足らないだろうと、いそいそと作る準備をしています。


ちなみに、ジーハは投げ飛ばされて逆さまになっていて「キュー......」とか言って目を回しています。


「......仕方無いだろう、ここの女勢は戦えても料理という事からは縁遠い奴等だからな...」



そうなのである。

この勇者のPTに居る女性は、誰一人簡単な料理でさえ出来ないのだ。

今までは店で食べるか、アルデストが作っていたとの話だった。


......それが何で、魔王である私とアルデストが交互に作らなければならないんだ!


「アルス......まだ勝負は...着いてねえぞ...」


投げ飛ばされてボロボロなジーハだが、這いずってアルスの所にやって来る。



「...あまりしつこいと、お前の分の飯は無しだからな?」

「なっ!」

「どうするんだ?」

「...分かった。今回は諦める」


そう言うジーハの頭を、ポンポンと叩きながらアルスは呟く。

頭を子供をあやすように叩かれたジーハは、頬を膨らませながらブチブチと言っているが無視した。



「お前も戦闘技能だけじゃなくて、女の子らしい事に興味が向けば良いんだがな」


そう言うアルスの顔を、不思議そうに見ながらジーハは言った。


「それが何の役に立つんだ??」


本気でそう言っているジーハを見て、ため息をつくアルスと苦笑いアルデスト



これが勇者PTに入ってのいつものアルスの毎日であった。


ちなみに、戦闘はどんな感じなのかと言うと......



「見えたぜ!オークの集団だ!ひゃっはー!」


嬉々として嬉しそうにそう叫ぶジーハ。


「悪は滅ぼすのです。突貫(とっかん)!」


そう言った瞬間にジーハとエレンに拳骨を落とし、同じく走り出そうとするフェルナーダの首根っこをひっ掴むアルス。



「「何するんだよ!(ですか!)」」

「何をするかじゃない!どこの世界に、そこら辺のチンピラみたいな口調で考え無しに突っ込む賢者と勇者がおるか!エレンは肉体強化、ジーハは自分と皆に補助魔法だろうが!!フェルナーダもハイプリーストなんだから突っ込むな、後ろで待機だろうが!」


「ブーブー、オークの集団なんざ皆でボテクリ回せば良いじゃねえか、もうLv的にも雑魚だろう」

「そうですよ。あんなのは経験値とお金の収入源です。」


二人は拳骨で叩かれた頭の天辺を両手で押さえながら涙目で反論してくる。

フェルナーダは、アルスから逃れようとジタバタともがくので、そのままヘドロックの形で首を締める。


「あ、アーちゃん、くび、首が!首が!」とか言っているが無視した。


「いかにLvの低い相手だろうが(油断大敵)という言葉があるだろうが、弱くても侮るな。弱い補助魔法でも、今の俺達のステータスなら効果は高いだろうが」



ちなみに、この時の皆のLvは大体200ちょい、オークのLvは普通は30~50、ジェネラルやキングになると80や100になるのだが、目の前に居るのは普通のオークなので30ちょい、レベル差が150以上あるので確かに弱いのだが......数が20ぐらい居る。


魔法を使って殲滅するなら簡単だろうが、近接戦で補助魔法無しで突っ込むなんてバカにしか見えない、オークだって頑丈とかそう言うスキル持ってるんだし中にはユニークと呼ばれる特殊な個体も居るかも知れない。



それを切々と説いていると、二人はそーっと逃げようとしていたので(ハイファング)で二人纏めて蹴飛ばした。


「あだだだだ!仲間に必殺技かますなよ!顔が痛い」

「くーっ!私なんか顎に当たりましたよ」

「喧しい!逃げようとしたお前らが悪い!」


ちなみに首を極めているフェルナーダは力を抜いてアルスの腕をパンパンと叩いているが、離すとコイツも逃げるので離せない。


「あのーアルス?フェルナーダの顔が真っ赤で苦しそうなんですが?」

「気にするな、コイツは油断したら抜け出して逃げるから」

「まあそうなんですけどね......」



その後も魔法を使うより殴りたい、面倒だ。お肉は美味しい、拳は正義等とバカな事を言っていたが......


「アルス」

「なんだ?アルデスト」

「フェルナーダ、落ちてます」

「え?......あっ」


いつの間にやらフェルナーダが落ちていた。

しかも、それに気を取られた隙に、二人がオークにまた突撃しに行こうとするものだから、フェルナーダを置いて二人にダブルファングをかまして二人を止めた後、両脇に二人を抱えて戻って説教。



ちなみにそのオークは、こちらに気が付いて向かってきたのでちゃんと迎撃して差し上げた。


ちなみに、補助魔法は結局アルスとアルデストが皆にかけて、ジーハは更にお説教を受けたのだった。






「こんな勇者パーティー見た事無いぞ...大丈夫か?」



今は昔の事である。

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