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幼馴染は魔王でした。私は勇者のようです。  作者: うらぎった
彼女に振り回されてます。
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アタシが嫌いなヤツとゴブリンの話(改)

 アタシはその文官ってやつを、気がついたら思いっきり殴っていた。

 だって、最初から智樹の悪口を言ってたし話を聞かないし、今さっきだって。

 

 

 

「所詮魔王が何を言っておるか」

 

 

 

 は?何?あんた智樹の話を聞いてたの?話し合いって方法が無いかって言ってたじゃん。何話してたのよコイツ、その耳は飾りなの?

 しかもそいつの言葉を聞いた智樹は眉を潜めて、苦いものを噛み締めたような表情をして、拳を握り締めて、何かを堪えて震えていて......

 

「どうした言い返せぬか!」

 

 その言葉を聞いた瞬間、私の感情が爆発した。

 要するに......切れた!! 

 

 拳を力いっぱい握り締め、強く右足を踏み込んでそのまま文官まで一気に距離を詰める。コンパクトに右腕を相手に叩きつけ、瞬間的に腕をねじり込む!

 文官バカはそのまま吹っ飛んでいいき、壁に当たって落ちた。

 

「智樹を......虐めるな!」

 

 私はそう言いながら追撃を加えようとするが、智樹が私を体ごと抱きしめて止めた。

 何で?

 

「智樹!離して!あいつ殴れない!!」

 

 だけどアイツは...苦しそうな顔をしながら。

 

「もういいよ...もういい江見ちゃん、もう泣かないで」 

「な...何訳わかんない事を......」

 

 そう言った瞬間私の瞳から涙が一筋顎あごへと流れていった。

 

「あ......あれ?」

 

 一度涙を流すと、もう後は止まらなくなった。止めようとしても後から後から、ボロボロボロボロと涙が流れてくる。

 

「江見ちゃん」

 

 智樹がこっちを見てる。恥ずかしい!

 

「みっ...見るな...みるなぁ!」

 

 我ながら後で子供っぽいと赤面したが、その時はしょうがなかった。

 そんな私を見て智樹は私を抱きしめて、顔を自分の胸に押し込んだ。

 

「と...智樹?」

 

 すると智樹は抱きしめながら、私の背中を優しくポンポンと叩き。

 

「大丈夫、もう江見ちゃんのお陰で大丈夫だから...だから泣かないで...」

 

 どうしよう、涙が止まらない

 

「な”...ないでなんが...ないもん」

 

 鼻声で言っているので説得力0だけど...

 

「分かった......これは僕が好きでしてるだけだから......」

 

 こうしてる間も涙が止まらない...

 

「どもぎのぐぜにぃ...」

 

 ああもう恥ずかしい......

 

「ありがとう、江見ちゃん」

 

 

 

「ううううううううーーーーー」

 

 

 

 

 

 智樹の体を借りて私は声を押し殺して泣いた。

 ありがとう智樹...声に出して言えないけど...ごめん...

 

 

 そこへ鎧を着た、今度は優男風な奴が近寄ってきた。

 

「すまないね。うちの下位の者と偏屈者が迷惑をかけた」

 

 言い方からすると、城の関係者だろうか...?

 

「私は十騎士聖断第3位、ヴェルマー=シュタイン と言うものだ」

 

 私は智樹を盾にして、隠れるようにしながらそいつを睨みつけた。

 その男は金髪碧眼でいかにも女性に人気がありそうな顔をしていた。

 

「まあ...いくら弁解しようが、そこのお嬢さんの機嫌は治らないだろうが...謝らせて欲しい」

 

 そう言うとその男は礼儀正しく私達に頭を下げた。

 ...まあ、今さっきの奴よりは好感が持てるわね。

 

「全く...ワシが話しをしかけていた所を邪魔するだけでなく滅茶苦茶にしおって...」

 

 そうよ!何よあいつ!何であんなやつを飼ってるのよこの人達は!

 でもそれが顔に出ていたのだろう、白い髭のお爺さんが(江見ちゃん国王様だって!)

 

「まあ、そういう顔をするでない。国王ともなればああいう輩も使いこなせねばならぬ」

「...ぐす...めんどくさいのね国王って」

 

 そう言うと白髭国王様は苦笑しながら私達に言った。

 

「本当に面倒じゃて」

 

 そう言って笑っていた。

 

 

「さて、先の五覇将王じゃが...全員が攻めて来ている訳ではない」

「え?連合を組んでこっちに向かってるんじゃあないの?」

「それ嫌だなぁ...」

 

「五覇将王のうち、力、残酷、魔法力の3つを司る王の軍が連合を組み、力を司る王がこちらに向かっておる」

「あれ?一人だけ?他は?」

「後方で睨み合いをしておるよ」

 

「なんで?」

 

 私がそう言うと智樹が

 

「あっちも一枚岩じゃないって事さ」

「どういうこと?」

「つまり...他の勢力への牽制けんせいと対応を残りの2つがやってるって事さ」

 

「その通りだ...えーと智樹...だったかな?元がなんだろうが今のお前はどうやら無害みたいだ。俺はお前を支援してやるぜ...っとと自己紹介がまだだったな、ギルバス=グレイだ俺は第四位だ」

 

 そう言って話しかけてきたのは、スポーツ刈りの頭に精悍な顔つき、髭は生やしてはおらず。鎧の上からでも分かる、筋肉質な体つきをしている。

 

「おっちゃんはまだ普通そうね...」

「おっ...おっちゃん?勘弁してくれ、これでも23なんだまだ」

 

「はいはい、そこで凹まない...御免ねお嬢ちゃん、ウチもやっぱり一枚岩じゃないのよ。人族至上派とかもやっぱいるわけ」

 

 そう言ってきたお姉さんは、これもまた金髪で、腰まであるサラサラな長い髪をリボンで括って、端正な顔立ちをしている。胸も結構大きい......い...いいもん!私には未来があるんだから!!

 

「フィーリア=マグナス、第二位よ宜しくね」

 

 そう言いながら屈んでウインクをしてきた。...美人って絵になるなぁ......

 

「兎に角落ち着いて、でないと国王様がお話できないからね?」

 

 不思議とこの人に言われると、気分が落ち着いてくる。

 

「すいません...」

 

 そして私が落ち着いたのを皮切りに、国王様が話の続きを始める。

 

「いや、こちらこそすまんな...アイツは暫く謹慎に処す故、今は忘れて欲しい...で、じゃその <力> を司る軍団を先頭にこちらに移動しておる。まあ大陸を隔てておるので少しは時間が稼げるが...時間は期間にして2年」

 

「戦力差はどれ位ですか?」

 

 智樹がそう問いかける。すると、今度はまともそうな文官さんが(文官Bと名づけとく)

 

「戦力は我らが3万2千そして相手の魔族は4万8千中には強力な固体もおりますが、殆どがゴブリン、オーク、ホブゴブリン、コボルド等の弱小の固体です」

 

「そのゴブリンとかって弱小って言ってるけど弱いの?」

「まあ1対1ならかなり弱いな、だがあやつらの厄介さは数にある」

「数...ですか?」

「あやつらは放っておくと直ぐに増えるでの」

「どれ位なんですか?」

「ん~...比較と言われてものぅ......何を例えればいいのか...ジャイアントラット位かのぅ?」

 

 すると智樹が袖をクイクイと引っ張ってきた。

 

「何よ?智樹?」

「...この世界にはいないけど...元の世界に比較できるやつ居るよ...」

「何よ?言ってみなさいよ?」

「...女性陣にはあんまりいいやつじゃないよ?むしろ天敵?」

「何よそれ?」

 

「ネズミ(ラット)はオークとかホブゴブリンとしたらゴブリンの繁殖力は......ゴ〇ブリだよ」

 

 

「いやーーーーーー!!」

 

 

 それを聞いた瞬間、私の肌は鳥肌が立ち、思わず智樹の頬を平手で、何度も往復で叩いていた。

 パパパパパパパパパーン!といい音が響き渡る。

 

「ひ...ひたひほ...へみひゃん......」

 

 顔を腫らして、最早誰だか分からなくなった智樹の顔。

 

「そ...その名前を...私の前で言うなーーー!」

 

 私の前でその名前を言った智樹が悪い!!

 

 その後智樹は冷却魔法で頬を冷やして貰い、智樹の顔は元に戻った。

 

「あー...痛かった...酷いよ...」

「あんたがアイツの名前を出すからでしょうが!」

「そいつはそんなに繁殖力が高いのかの?」

 

 国王様が智樹に不思議がって聞いてくる。

 

「そりゃ凄いですよ。姿は小さいですが、1匹見つけたら10匹は居ると覚悟した方がいいとか、黒く光って...」

 

 それ以上言おうとする智樹の胸倉を掴んで、私は智樹を威圧する。

 

「と・も・き・?それ以上言ったら死なすわよ?」

 

 私は出来るだけ笑顔で智樹に諭した。

 

「わ...分かりました......もう言いませんYESマム、だから...そのオーラを収めて貰えると助かります...」

「次はないわよ...」

 

 ったく...私の苦手なモノだって知ってる筈なのに智樹のバカ......

 

「...余程嫌いなんじゃな...じゃがまぁ、確かにゴブリンどもはそれ位の速度で繁殖しよるの、退治してもきりが無いほど」

「触りたくなくなってきたそいつ...」

「大丈夫だよ江見ちゃん。そいつ醜いだけだから、まあ後は...性質が問題かな?」

 

 智樹が妙な事を言ってきた。

 

「性質って何よ?」

 

 私がそう言うと、智樹は困った顔をして<君は知らない方がいいよ>と言ってきた。気になるじゃない!

 

「なによー、言いなさいよー」

 

 智樹のホッペを人差し指と親指で、両側から引っ張りながら智樹を問い詰める。

 

「いひゃい、いふぁいよへみふぁん」

 

 だったら早く白状しなさいこいつ

 

「こらこら、幼馴染だろ虐めてやるなよ」

 

 そう言ったのは四位のギルバスさんだ。ギルさんって呼ぼうと思った。

 

「じゃあギルさんが説明してくれるの?」

 

 そう言うとギルさんはニヤニヤしながら

 

「まあ、お嬢ちゃんみたいなネンネにはあんまりいい話じゃないんだ」

 

 何かその態度ムカつく!

 

「何よう!大概のことじゃあ驚かないわよ?」

 

 私がそう言うと

 

「本当だな?後悔しないな?」

 

 念を押してきた。何なのよ?

 

「グレイさん、この話は...江見ちゃんにはちょっと...」

「だがもしもの時とか、生態を知っておくのは大事な事だと思うぞ?」

 

 ギルさんがそう言うと智樹は反論出来ないのか、黙ってしまった??

 

「それじゃあ説明するが...ずお嬢ちゃん。オシベとメシベの話は分かるか?」

 

 花粉のオシベとメシベの話だろうか?

 

「花のオシベ、メシベなら分かるわよ?」

「ならいい、でだ、赤ん坊の作り方は知ってるか?」

 

 何いきなり話が飛躍すんのよこの人?

 

「ああ落ち着け、ちゃんと真面目に話は繋がってるから、で?知ってるか?」

 

 それ位知ってるわよ......そっそのHな事するんでしょ?

 私は顔を赤らめて、そう答えた。

 

「うん、その反応なら間違いは無いな、じゃあ核心だ。ゴブリン、オーク、ホブゴブリン、達は同じ種族でも子供を作れるが、他の種族でも子供を作れるんだ。」

 

 ......何か嫌な予感がしてきた......

 

「つまり だあいつ等は進軍した町や村の女を使って、軍隊を加速的に増やせるんだ。一度に生まれる数は半端じゃない」

 

「いやーーーーーそれ以上聞きたくないーーー!!」

 

 最低、最低だ!そいつらは優先的に排除しよう!女の敵だ!!

 私は真っ赤になりながら、聞かないように両手で耳を押さえた。

 

「だから聞かない方が良かったのに...」

 

 智樹はそう言って困った顔でこっちを見ている。何かムカついたので叩いておく。

 

「って痛い痛い江見ちゃん!僕何にもしてないって!」

「煩い!私がムカついたの!!」

「理不尽だーーーーーーーーーーー!!」

 

 

 智樹の絶叫が白に響き渡った。


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