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幼馴染は魔王でした。私は勇者のようです。  作者: うらぎった
過ぎ去りし日々...そして<破滅の魔王>の名の切欠(きっかけ)
38/47

ドタバタの最中で...

相変わらず更新ペースはノンビリです。


ー◇◆ー


智樹



「んっ...」


あれ?何で僕は寝ているんだ?

確か僕は...そうだ。二人を運んでて......!?


体を動かそうとすると、足の方に何かが乗っている。

何だろう?と思って意識をハッキリさせてそこを見ると...グルグル巻きにされた江見ちゃんがそこに居た。



......えーと、何なんだろう?この状況?


しかも何か江見ちゃんが、顔を真っ赤にしながら頭から湯気を出しているんだけど??


それに何故か今も、漫画みたいに頭を〈ボン!〉とか破裂させて、テンパっているように見えるのは気のせいなんだろうか?


「あのー江見ちゃん、何か知らないけど大丈夫?」


僕がそう声をかけると、奇声を上げながらジタバタもがいている。


......僕が寝ている間に何があったんだろう?

春菜なんかは、何か泣いた後らしく目の下が赤くなってるし...


「えーと...これはどんな状況なのかな?誰かが説明して欲しいんだけど」


ー省略ー


はあ、江見ちゃんは変な癖を治す訓練(・・・・・・・・)で春菜はアンデットが嫌で泣いていたと...

まあ、江見ちゃんの方は皐月が(いいから任せなさい!!)とか言ってたから任せるけど、何で僕に密着させないといけないんだろう?謎だ。


まあ、側で茹で蛸のように真っ赤になって力無く横になってる江見ちゃんは良いとして......春菜はどうしたらいいんだろう?

前に何人かの友達と遊園地に遊びに行ったときも、似たような事があったなあ、あの時は春菜とペアになってお化け屋敷に入ったんだけど、春菜は怖がって僕の腕から離れてくれずそのまま入り口まで行ったものだ。


あの頃から春菜は結構育ってきた......いやいや、今はそんな事じゃあ無いんだ。思考がズレた。

確かにメイドさんが言う通りアンデットには春菜が一番ダメージを与えやすいんだよな。


悪霊退散(ターン・アンデット)聖域(ホーリー・サークル)とか出来るし、何なら味方の武器に(聖)の属性を付ける事が出来るのだが、今の春菜じゃあ見たら速攻で逃げ出しそうだしなぁ、どうしたもんか......


「春菜」

「...グスッ...何?」


すすりながらこちらを見る春菜に、優しく声をかける。


「やっばり怖い?」


コクコク


泣きそうな顔で僕の言葉に頷いてきた。

いやまあ実際、少し涙ぐんでいるんだけど......

そんな春菜の頭を優しく撫でる。


「ふぇ?」


少しビックリしたような表情になる春菜、そのままなでなでと頭を撫で続ける。


ああ......懐かしいなぁ、春菜以外にもこうした記憶がある。


彼女の長く透き通るようにキラキラと光る銀色の髪と、吸血鬼であり神秘的かつ綺麗な紅い瞳が印象的な妻の顔を見ながら撫でていたのを......


そう、自分の手元に、優しく引き寄せて......


吸血鬼である妻を引き寄せてその顔を見ると、顔が誰かの顔とダブって見える......ん?これは一体...?



「あっ!...あっ...ああああああの?とととっとと智樹くん!!」


智樹?......誰...ああいや違う?これは......昔に引っ張られた?


そうだ。

今の僕は智樹、魔王じゃない......

そうして気が付くと、僕は春菜を懐に抱き締め、頭を撫で続けていた。


「ごっ!ごごごごごごごごめん!!」


智樹は慌てて春菜を離す。

その傍らで顔を真っ赤にしながら春菜はボソッと呟く。


「...別にいいよ。嫌じゃあなかったし...」「え?春菜何て言ったの?」


聞こえていなかったらしく、聞き直す智樹、そんな智樹に春菜は......


「ううん///何でもないよ///」


そう言いながら春菜は頬をピンクに染め、ペロッと唇から舌を出した。


智樹にはそれが、昔長い間共にいた、妻の一人(カーシャ)と重なって思わず目を擦った。


それと同時に智樹は、自分の脇腹と足元に痛みを感じた。


「いたっ!何がって......」


見ると、脇腹を皐月がつねり、足元で体を縛られている江見が不満顔で体当たりしている。


「何で僕が攻撃されてるの!?」

「「気に食わないから、後、近付きすぎ!」」

「理不尽だー!」





それから少しして......

取り敢えず二人を(なだ)めて智樹は春菜に向き直る。

何故、あんな風に見えたのかは分からないけど、今は普通に春菜に見える。


「春菜、まだアンデットと戦うかは決まってないけど、その時は力を貸して欲しいんだ」

「でも...」

「大丈夫」


そう言いながら智樹はトンと胸を叩く。


「何時でも駆けつけてるように、今回も駆けつけてあげて、守るからさ」

「...うん」


躊躇(ためら)いながらも、はにかんで春菜は返事をした。


反対に、皐月と江見は不機嫌な顔を隠しもしないで智樹を睨んでいた。



二人とも、恐いからやめて!

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