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幼馴染は魔王でした。私は勇者のようです。  作者: うらぎった
過ぎ去りし日々...そして<破滅の魔王>の名の切欠(きっかけ)
36/47

そう言えば、組体操って一番下が辛いよね。(意味不明)

(-_-;) 何だが回を追う毎に、智樹が味方からダメージを負う方が多くなってる気がします。

ー◇◆ー


智樹


「......ぜー、はー、ぜー、はー」


僕は今日、何故か皐月と江見ちゃんに追いかけられるという羽目になり、かなりの時間お城の中を逃げ回った。


何とか逃げきれたものの、息が乱れまくりだ。

取り敢えず。

深呼吸...深呼吸......


「すぅー、はぁー...すぅー、はぁー、.........」



......ちなみに、二人はと言うと......


「「うきゅううぅぅぅ......」」


全力を使い過ぎて目を回している。

何か可愛い。

けど、そりゃそうだ。


肉体強化を使いながら連携、しかも必殺技は出しまくって全力疾走。



この場合。F1のエンジンを載せた普通車で走りまくる。と言った方が良いかな?

まあ、要するに高性能だけど燃費の悪い車のようなものだ今の二人は、

直ぐにガス欠になるのは目に見えてた。


いかに才能があれど、まだそれを使いこなせていないのである。




......けど、まさかあの状態で1時間追いかけられるとは思いもしなかった......

流石に僕も息切れだ。

成長が早すぎるよ本当に......


現代で、体力作りに毎朝マラソンして、更にこの世界でも欠かさないで走り込んだ僕に、二人がかりで後先考えないで行動したとは言え、ここまで追い込むなんて......



何かあのメイドさんじゃないけど泣きたくなってきた。

まあ、いい訓練(?)になったと思って...おこう!

「はー......さて、呼吸も落ち着いた事だし、二人を担いで部屋に戻るとするか」


まあ、普通ならかなりキツいんだろうけど、この世界には《肉体強化》という方法がある。

勿論僕は使える。

ちなみに、《スキル》と《呪文》両方有るけど、僕はどっちも当たり前に使う。


本当に便利だよなあこっちの世界、改めて思う。

あっちの世界だったらいかに女の子と言えど、人を二人も抱えるのは正直辛い。


......別に二人が重いとは言ってはいない。

そんな風に考えながら、背中に江見ちゃん、前はお姫様抱っこした皐月を抱えながら歩き出す。


なかなか大変な持ち方だけど、まあ何とかなるだろう。

また前で抱えたら江見ちゃんが挙動不審になりかねないからなあ...


ちなみに、そこいらに居る使用人さん達が「手伝いましょうか?」と言ってくれたが、何となく......本当に何となくなんだけど、何でか二人を渡すのが嫌だったので、「大丈夫です」と言って歩き出した。

まだ体力には多少余裕あるし大丈夫。

これでも今までキッチリ運動して体を鍛えてきたからね。



そんなこんなで、部屋まであと1/3位まで来た頃だろうか、背中から呻き声が聞こえてきた。

江見ちゃんが起きたのかな?


江見ちゃんの呻き声を聞きながら、僕は昔を思い出していた。


ー◇◆ー


幼い頃


幼い江見ちゃんの全力の拳が、同じ様な年頃の男の子......いや、少し上かな?それ位の男の子の頬に突き刺さる。


吹き飛ばされる男の子。その周りには同じ様にボロボロのそんな男の子の子分、と言うか下っぱが同じ様にボロボロにされ涙ぐんでいる。

同じ様に江見ちゃんもボロボロで泥だらけだ。


何でそんな事になったかと言うと簡単だ。

その当時、人間付き合いの下手な僕がその地域の悪ガキにカモにされていた所に、江見ちゃんがやって来て飛び蹴りをかましたのだ。

...その頃からスカートで平気で暴れまわるもんだから、僕としては止めて欲しかった。


まあ、江見ちゃんは僕の言う事なんてまるで聞かないで立ち回っていたのだけど......


悪ガキにトドメをさしたとばかりに江見ちゃんは片手を腰に手を当て、片手で指差しながら言った。


「もう智樹を虐めるんじゃないわよ!!」


相手の男の子は泣きながら、捨て台詞を吐きつつ逃げていった。

初めて見たよ。


いやまあ、僕を庇ってくれるのは嬉しいんだけど、女の子に助けられたり、ボロボロな姿を見るのは僕も男としてかなり悲しいし、情けなく思った。


少しでも力があれば......そんな風に我が身を嘆いたもんだった。


「あつつつつ...」


そんな時、体を押さえながら江見ちゃんが顔をしかめる。


「大丈夫?江見ちゃん」

「大丈夫よ...あたたた...」


やせ我慢をしてはいるが、流石に男の子四人を相手に立ち回ったのだ。無傷な筈もない。


ちなみに、この頃......と言っても七歳位だけど、その頃から江見ちゃんは強かった。


まあ、叔母さん...江見ちゃんのお母さんに鍛えられた成果らしいけど、叔母さん。どんな鍛え方したんだろう?(汗)


僕はそんな江見ちゃんを無言のまま背中に背負った。


「智樹?!」


「大丈夫?江見ちゃん。このまま家まで送るよ」

「私は大丈夫、だから降ろして...つっ!」


それと同時に、ひ弱な我が身が情けなかった。

幼馴染みである彼女にかばってもらう自分が...

この頃からだろうか?

弱い我が身でも、少しでも強くなりたいと願ったのは。


弱くなってしまった自分に嘆くより、少しでも一から強くなって隣に立たないと。


そう思って翌日江見ちゃんのお母さんに僕も鍛えて貰うことをお願いした。


そのお陰で確かに強くはなった。


なったんだけど...まさかあんな地獄...いや、スパルタだとは思わなかったよ......


今でもあの日々を思い出すと...

...ガクガクブルブル...

体が自然に震えて...


でも、それから何年かして、鍛えた力で春菜を助けられたし、江見ちゃんの隣に居れる位には強くはなったと思っている。

それは良かったと思う。

...もう二度とは教わろうとは思わないけど、まあ、叔母さんが生き返らない限り無いけどね。


「...んっ...あれ?智樹?」


「おはよう江見ちゃん」

「何で私...?あ!智樹を追いかけてて」


不味い、このまま江見ちゃんに暴れられると3人纏めてコケてしまう。


おいかけっこの後の、消耗した今の体力でそんな事はされたくない。


「江見ちゃん。悪いけど皐月も持ってるし寝てるから静かにね」


「むー...って何で皐月がお姫様抱っこなのよー」

「だって江見ちゃん抱っこしたら挙動不審になるじゃないか」


僕がそう言うと、江見ちゃんはうっ!と言葉に詰まった。


「...だってしょうがないじゃない、憧れのお姫様抱っこだったし、しかもそれが智樹だったし...」

何か江見ちゃんが小声でブツブツ言っているけど、何を言っているのかよく聞き取れない。


そうしている間にも、今度は腕の中の皐月が目を覚ました。


「んっ...ここは?」


「目が覚めた?皐月」


少しボンヤリしていたようだけど、自分の現在の状況を把握すると、何か嬉しそうにニマニマしてた。

何か良いことでも思い出したのかな?


「ちょっと皐月!代わりなさいよ!!」


「い・や」


何か知らないけど、僕の背中の江見ちゃんが物凄くヒートアップし初めて暴れだした。


ちょっ!待ってマッテまって!そんなに暴れたら支え切れな......


「「あっ!」」


不味い!!二人が落ちる!ふんぎぎぎぎぎぎぎぎ!!

両足を踏ん張って、更には上半身の筋肉や両腕の筋肉を総動員し、二人を支える。


「「おー」」


二人からパチパチと拍手が上がるが、こっちはそれどころではない。


...鍛えてて良かった...

でも、この体勢からどうしよう?

皐月は今僕が持ってるし、江見ちゃんはのけ反った体勢からになってるし......正直、かなり苦しい、先ずは動かないで貰って二人をそっと降ろそう。


そう説明しようとした所...


「この体勢苦しいわね...」


江見ちゃん、何しようとしてるの......


「よっ!と」


江見ちゃんは反動をつけて反った体を元に戻してきた。

でも、問題なのは僕の限界は間近だったわけで......


同然そうすると......


「ぎゃあ!」


耐えきれなくなった僕の体はそのまま前へ。

このまま倒れたら、腕の中の皐月が怪我をしてしまう......ええい!南無三!


僕は最後の力を振り絞り、皐月を無理矢理自分の真上へ投げた。


「あだっ!」


「にゃ!」


先ずは僕が転んだ上に江見ちゃんが倒れてくる。

うん、痛いけど予想どうり、さて次だ。上手く落ちてくれれば......


「ぎにゃ!」


「きゃ!」


「ぐぼあ!」


......うん、一か八かだったけど僕達の上に落ちてくれて良かったよ...これなら...怪我も...無い...よ...ね...ガクッ......




智樹はそのまま何かをやり遂げたような顔で、真っ白に燃え尽きていた。

良かったら、感想、ご希望、要望、指摘、等々ありましたらお寄せください。

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