ある日の概視感(デシャヴ)な日
疲れた・・・・色々と・・・・
ーー◇◆ーー
江見
お城に来てからどれ位日経ったんだろうか?
その間は何事もなく平和な日々だった。
いる間、十騎士聖断のフィーリアさんに攻撃を一回も当てられずに旅立つのは、すごーーーーーーく悔しいけど、智樹と決めてたお城を出る日が来てしまったのでそこは諦めないと......
やっぱり悔しい悔しい悔しい悔しい!!
何で当たらないのよあのお姉さん!
私が本気で突きや蹴りを繰り出しても、涼しい顔してヒラヒラと回避したり受け流したり、更には
「そんな素直な攻撃じゃ当たらないわよ」
とか言いながら余裕の表情を崩さない。
ぜっっっったいに次に会った時は当ててやるんだから!ムキー!
後、何で毎日パクパク大量に食べるのにスタイルが良いのよ!
胸は大きいし、お腹締まってるしだし、モデルか何かなの?あの人、世の中の不公平を感じるううぅぅぅううぅ!
「と、言う訳で勝負よ!」
私はそう言いながら対峙しているフィーリアさんにビシッ!と指を突き付けた。
「あのー、江見ちゃん?明日にはお城を出ていくんだよ?」
「分かってるわよ!だから勝負を挑んでるんじゃない!」
このまま一回も当てられないままなんて悔しいじゃない!
「江見、止めときなさいよ。
あの人は、私達とは強さが違うって分かるでしょ?」
「皐月は同じような心境だと思ってたけど、違うの?」
私は指ぬきのグローブをはめた後、パンパンと掌に拳を当てて感触を確かめながら、皐月に話し掛ける。
「......そりゃ悔しいけど今の私じゃあ敵わないのは確か。だから、強くなってリベンジするわよ...」
そう言った皐月は、フィーリアさんをギロッ!と人を殺せそうな位に睨み、その背後からは何か負のオーラみたいなのが見えた気がした。
......って言うか、横に居る私も少し怖い位だ。やっぱりあの皐月が負けっぱなしで黙ってる筈無いもんね。安心した。
そんな私達を見ながら、フィーリアさんはノンビリと呟いた。
「私がスタイル良いのはちゃんと運動してるからよ。それと、二人がかりで掛かってきても良いわよ?子豚ちゃん達」
ビキビキッ!×2
「「その挑発、買った!!」」
憎悪の塊となった私と皐月を、止める人はもう居なかった。
「勝てないのに、止めとけば良いのにな」
そう言った信也の方を二人で睨むと、信也は即座に顔を背けた。
春菜といつものメイドさんは何か怯えてる。
余計な事を言うんじゃ無いわよ!
それに今度こそ負けないわよ!!
「私は何時でも良いわよ、いらっしゃいな」
そう言いながら髪をかき上げ、こちらを見つめてくる。
「いくわよ!皐月!」
「分かってるわよ!そっちこそ、遅れるんじゃないわよ!」
私達はそう言いながら、フィーリアさんに突撃するかのように向かって行った。
絶対に当ててやる!
「せいっ!」
とは言っても、相手を攻撃する時に頭の中まで熱くなりすぎると、攻撃や動作、色々な事が雑になってしまう。
爆発しそうな感情をギリギリ抑えつつ、右上から左下へ拳を振り抜く。
少し前の私からしたら驚く位のスピードで振り抜いたけど、アッサリとかわされる。
けど、そんなのは承知の上だ。
私の拳をかわしたフィーリアさんに今度は皐月の攻撃。
「はああっ!」
気合の息吹と共に、横なぎの攻撃が繰り出される。
「ほいっと」
その攻撃もかわされるけどまだまだ!
「ちぇい!」「せや!」「こんのっ!」
ローキック、回し蹴り、あびせ蹴り、背面蹴り、正拳突き、フック、肘、皐月と共に何度も技を繰り出すけど当たらない、でも、目論見通りの場所には誘い込んだ。
「あら?あらら?」
今、フィーリアさんが居るのは場所の隅っこ。
そこに行くように誘導したのだ。
え?いつの間にそんなやり取りを皐月としたんだって智樹が首を傾げてるけど、そんなのは簡単だ。
皐月と目線を合わせた時に、『逃げれない所に追い込むわよ』と言っている気がしたのだ。
何回も皐月と一緒に訓練してたらいつの間にかそんな事が出来るようななってた。
......ちなみに、智樹とはまだ全然、だって智樹、毎回突っ掛かってくる賢者さんをお仕置きしてから......正直、賢者さん邪魔!智樹との時間返せ!
とか思った。
話は逸れたけど、皐月と訓練してた時に、聞こえた《スキル》(連携Lv1)(伝心Lv1)というのも多分関係ある筈。
そんな私達を目の前にしてフィーリアさんはパチパチと手を叩いた後、胸元からハンカチを取り出し(どっから出してんのよ!嫌み?)た後、顔に当ててヨヨヨ...とわざとらしく感動した風に言い出す。
「子豚ちゃん達成長したわねぇ...お姉さんも嬉しいわ」
「「誰が子豚か!」」
「あなた達」
ムッキー!当てる!ぜっっったいに当ててやるぅぅぅぅ!!
次の瞬間、私と皐月の踏み込みのスピードは今までで一番速かったしタイミングもバッチリ......だった筈だった。
「いい攻撃......だ・け・ど・ね」
そう言うと、私と皐月の攻撃が当たる瞬間に消えた!!
そんな風に見えた。
けど実際は避けたのだ。
後から聞いた話だと、フィーリアさん私の頭天辺に手を添えて、トン、ヒラリと、しかも素早くかわしたらしい物凄い身体能力だ。
しかも、その時私は触られた感触が分からなかった。
しかし、その時問題なのはフィーリアさんがかわした攻撃はどうなるかと言うと......
「ぎにゃ!」
「ぶほっ!」
私の拳は皐月の頬に、皐月の練習用の武器は私の脳天にぶち当たった。
痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!
脳ミソが弾けた。飛び出る。死ぬ死ぬ死ぬ、頭が悪くなる!!
「いや、江見の頭はそれ以上悪くならないだろ...ばぐおっ!」
......痛む頭を抱えながら、人の思考に失礼な事を言った信也に向かって、大きめの石を投げてやった。
《スキル上昇》(投擲Lv10)
......何かいつの間にか高くなってるけど......今はそれよりも......
「皐月!タイミング合わせてよ!!」
「合わせたわよ!!江見が遅かっただけでしょ!!」
「何ですって!?」
ちなみに皐月は最初、「無理」とか「アンタ達は人外」とか言ってた癖に、最近は普通に私に付いてきていた。
「私も人外になっちゃったかぁ......」とは皐月の言だけど...失礼な!
って今はそれどころじゃなくて!
「アタシは間違いなく皐月より早いもん!」
「いいや!私の方が早いわよ!けど私はアンタみたく体力や耐久力までバケモノじゃないんだからね!意識が飛ぶかと思ったわよ!」
なんですとー!
「私の方が早い!それに皐月!だって私の脳天にぶち当てたじゃない!馬鹿になったらどうするのよ!」
「それ以上ならないわよ!」
アンタまで言うかー!
私はそんな皐月のホッペをおもいっきり引っ張った。
「ひたたたたたた!ほの!」
ギャーーース!!皐月もわたしのホッペを引っ張ってきた。
負けるかー!
「ふんむぎぎぎぎぎ......」
「ひたたたたた、まはまは~~~~~!!」
お互いのホッペを引っ張りながら私と皐月は睨み合いを続けている。
......負けるかぁーーー!
周りには人が集まって来てるみたいで騒がしくなってきてるけど、今はそれよりも皐月に勝たなければ...むぎぎぎぎぎ......
最早、二人の頭の中にはフィーリアは無かった。
フィーリアも「これはもう今日はお終いね」と言いながら離れた所に歩いて行ってるし、他の聖断のメンバーや他の人も笑いながら見ていた。
そんな時、彼は現れた。
「何やってるんだよ二人とも?何で喧嘩してるのさ?」
智樹である。
ついさっきジーハに訓練という名のお仕置きしたばかりであったようで、横にはボロボロになったジーハが着いてきていた。
「はんへもはいはよ(何でもないわよ)......ひたたたたた!はなひなはいほはふひ!(いたたたたた!離しなさいよ皐月!)」
「むぎぎぎぎぎぎ!ほっひははなひなはいほへひ!(そっちが離しなさいよ江見!)」
私と皐月は、お互い我慢比べをそのままするかのように思えた。
けど、智樹の言葉でそれは中断される。
「明日にはお城を出ていくんだから、馬鹿な真似してないで切り上げなよ」
信也や春菜が「あ!」という顔をしてたようだけどもう遅い。
「「なんですってぇぇぇ!!」」
私と皐月はお互いを離し、智樹を睨み付ける。
「え?...いや、だから明日にはお城を出るから...」
「「それで?」」
「馬鹿な真似してないで旅立つ準備...」
プチ
「「誰が馬鹿よー!!」」
「ちょ!何で武器や拳を振り回して、僕を追いかけて来るのさ!」
「「智樹が悪いから!!」」「何でだよ!意味分かんないよ!!」
智樹はなかなか早いスピードで逃げてるけど、私達も同じ様なスピードで智樹を追いかける。
毎回思うけど、なかなか早いじゃない。けど負けないわよ!!
今回は皐月も居るんだから。
「皐月!」
「OK、」
「しかも、何でいきなりチームワークいいのさ?いつの間に?」
「いいから、ボコボコに叩かせなさい!」
「やだよ!てか、何かデシャヴ感じるんだけどー?」
「いいからお仕置きされなさい!天誅!」
そう言いながら皐月が放った一撃は、持った武器から風の刃だ。
やるわね皐月、当たっちゃえ智樹!
「わっ!危ないって皐月」
だけど智樹は背中に目でも着いてるのか、その一撃を止まって首を下げてかわす。
惜しい!
「ちょ!刃波なんていつの間に覚えたのさ?...ってえええええ!」
「貰ったあ!」
避けた拍子に止まったのをチャンスと見て、私は智樹に殴りかかる。
あ、これ力が乗ってていい一撃が入りそう!!
何か拳も光ってるように感じる。
「なんとぉー!」
だけど智樹は、それもギリギリかわした。
代わりに、私が放った一撃を喰らった床が砕けてボロボロになってる。
......まあ、ちょっと力が入り過ぎたかもしれないけど智樹なら大丈夫よね。
「ちょっと!何で二人とも手加減無しで襲いかかってくるのさ?」
「「大丈夫、智樹なら(多分)耐えれるから大丈夫」」
「大丈夫じゃないからね?!僕だって今の二人の本気の攻撃喰らったら重傷になるからね?」
「それは一回でも当たってから言いなさいよ!」
そうなのだ。
智樹にも何故か私の攻撃が当たらないのだ。
「だから、当たるのは嫌だから断固避けるよ!!しかも、江見ちゃんの属性攻撃は僕には2倍痛くなるんだから!」
「智樹が悪いのよ!取り敢えず私と江見にボコボコにされなさい!」
「やだよ!何か二人とも手加減してくれなさそうじゃないもん!!」
「「当然!!」」
「何でだよ!意味分かんないよ!」
「いいから半殺しされなさい!」
「ひい!皐月に江見ちゃんが感染した」
失礼な!もう許さない!!
「いいから止まりなさい!全殺しにしてあげるから!」
「やだよ!!てか、だから何で悪化するのさ!?」
「「いいから止まりなさい~!」」
「やだよー!」
そんなおり、智樹が何かを避けたような仕草を見せた。
「ふぅ......危ない子だなぁ、あれ?何か前にも似たような事が...?」
目の前に何か若いお兄さんが現れたけど今の私達には......
「「邪魔!」」
そう言ってはね飛ばすと、お兄さんはブギュルルル!とか勢いよく回転しながら飛んでいった。
あれ?何か似たような事を前もしたような気が?......
「(だから、前にも跳ねた人だよ)」
「(うるさい!電波飛ばしてんじゃないわよ!)」
「(ひいいいい!ってこれも前にしたような)」
いちいち煩いわね。
「いいからKILLされなさい!」
「だから何で毎回ドンドン酷くなるのさ、やだよ!」
「っ!智樹、観念しなさい!」
「やだって言ってるだろう!」
「「い・い・か・ら・待ちなさいー!」」
「嫌だー!」
そして、その日は皐月と一緒に智樹を追いかける事でお城の最後の訓練(?)は終わったのだった。
・一方その頃・
「...行ってしまいましたね」
「皐月も江見も完全にフィーリアさんの事を忘れてるなあれは」
「私達はどうしようか?」
春菜が信也に尋ねると、信也はんー?と少し考えた後。
「術の訓練はある程度したから部屋でくつろいどくか、暫くは帰ってこないだろうし、智樹なら心配要らないだろうし」
「だね。けど信也くん成長したよね。前までは魔法を限界以上に使ってしょっちゅう頭痛で転がってたもんね」
「ですね。もう今は制御されてますが」
「もう勘弁してください、若気の至りなんです。魔法が使えるのが楽しかったんだよ」
そんな信也と春菜とメイドさんが談笑しながら自分達の部屋に帰っていった。
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