ドタバタラブラバイバル
投稿した......と思ってた。
でも、した<つもり>だったのを確認して唖然となりました。
何やってるんだ私は......
それから少しして、春奈と智樹がやいのやいの言いあっている皆の元へ帰ってきた。
「あ、智樹お帰り...って春奈、何で一緒なんだ?」
「ああ、いつもの事だよ」
「ああ...いつものように何かに巻き込まれたのね...」
「気が付かなかったわ...」
「いやいや!皆、少しは気づこうよ?(あれ?春奈が居ない?)ってさ!!」
想いっきり皆に突っ込む智樹。
「だって春奈だもん」
「春奈だしなぁ」
「春奈らしいわよねぇ」
皆の意見は一致していた。
そして、そんな皆の言葉を聞いた春奈はプックリと頬を膨らませながら言う。
「いいもん!いいもん!私は、一生智樹君に守ってもらうもん!」
そう言ってふて腐れながら智樹の腕に抱きつく春奈、その瞬間、江見の顔が強張ったと同時に大気がビシッ!という音を立てると、不穏な空気が流れ始めた。
「はっ...春奈?何言ってるのよ?あたし達はまだ子供だし、将来の事なんて分らないでしょ。かっ...簡単にそんな事言うもんじゃないわよ」
そう言う江見の顔は笑ってはいるが引きつり、ゴゴゴゴゴ...という効果音が聞こえてきそうな雰囲気を漂わせていた。
そんな江見を見て、子犬のように怯えている春奈ではあったがそれでも智樹にしがみつくのはやめていない、と言うか余計強くしがみついてきた。
「(うわ...春奈、何か凄く柔らかくていい匂いがしてるんだけど...って違う違う!今はそんな状況じゃない、何で江見ちゃん怒ってるんだ?春奈がそんな事言うのはいつもの事だろ??)」
そう、彼女がこんな事を言うのはいつもの事なのだ。
智樹が春奈を助ける度に昔から(私ね智樹君のお嫁さんになってあげる)とか(ともくん大好き)とかよく言って、抱きついて来てたのを覚えてる。
その度に江見ちゃんが(智樹は私と一緒にいるのー)とか言って言い合いしてたっけ、でも今は、何だろう......こう気迫というか気合というか何かが違う気がするんだ。
と言うか、ぶっちゃけ怖い!!
あまりの江見の気迫に、背中から冷や汗がダラダラと流れる智樹、だが、こんな時どうしたらいいのか...と考えるが答えが出ないまま、膠着状態のまま固まっている。
「(どうする?どうする?何とか江見ちゃんを宥める方法は無いか...取り敢えず話しかけなきゃ)え...江見ちゃん、どうしたの?春奈がこういう事を言うのはいつもの事じゃないか」
なるべく普通に言おうと努めてはいるものの、どうしても少しばかり声が上ずってしまっている。
まだこれだったら、あのエセ賢者と戦ってた方が気が楽で、マシだと思う智樹であった。
ーー 一方その頃 ーー
「えっっ...くしゅ!」
「賢者様、お風邪ですか?」
そしてその頃、その人物は昨日の食事の時の酒が残っているのか、シーツを抱きしめた状態で髪はボサボサ、寝ぼけ眼で半眼のまま自分に当てられた部屋のベッドの上で、親父のようなクシャミをし、メイドさんに心配されていた。
「ちょっと飲みすぎたかなぁ...久々に結構酒飲んだからなぁ」
それを聞いたメイドは、心の中で(もういい年なんですから、お酒は程々にしないと)と言いかけたが思い止まり言うのを止めた。
あくまでにこやかに仕事を続けたという。
ーーーーー
「こ...怖いですあの方々...」
信也の後ろに隠れながら、メイドは春奈や智樹、江見達を見守っていた。
「.....あんなに怒る位なら、普段から優しくすればいいのにね」
「江見の事だから、恥ずかしい感情が先に来て、思わず手が出ちゃうって所じゃないか?」
「その内本当に暴力が嫌で嫌われたりしてね」
「貴方たち...よく平気ですね...ひっ!」
外野で好き勝手言っている信也と皐月に向かって、下唇を噛み締めながら今にも呪わんばかりの視線で睨みつけてくる江見、だが、そんな江見の視線も受け流し皐月は言う。
「そんな風に睨みつけて来る位だったら、その手が出る癖をどうにかしなさい!」
皐月にそう言われ、今度はメソメソと泣き始める江見、その様子を見てメイドの女の子はこう提案した。
「そっ...それでは今日これからは、その方の克服訓練としませんか?」
そう言ってポンと両手の手の平を合わせるメイドの子。そして、それから江見の(ある意味)厳しく辛い特訓が始まった。
まず最初、手を握る事から
ちなみにこれをすると決まった時、江見の正面に居る智樹は(何でこんな事をしなきゃいけないんだろう?)と思った。
更に言うと、何故かどこぞのお見合い番組で聞いた事の有るバックミュージックが何処からか流れてきたので、(何でこの世界のここでこんな曲が?)と周りを見渡した所、信也が魔法を使って自分の記憶の中に有る曲を再生し、範囲を限定して流していた。
本当に器用だな信也!何でそんな事出来るんだよ!
てか、そんな無駄に器用な真似、よく出来るし考え付くなお前!!僕は考え付かなかったよ!
本当に魔法に関しては、信也には脱帽するしかないなぁ......何か凄く無駄な事してるような気がしないでもないけど。
「ねぇ、何でこんな事する必要があるのさ?江見ちゃんだったら今は一時的なものだろうし、その内昔みたいに元に戻るよ」
「それはどれ位経ったら?」
「・・・・・・2、3年ぐらい?」
何でそんな事を聞くのだろう、と思いながら皐月の問いに答える。
「その2、3年に智樹君に恋人が出来ないとも限らないわよね?」
「うん、まあ出来るかもしれないね。でも(かもしれない)だよ?」
あくまで憶測だけどね。
チョコとか貰った覚えは...義理チョコをちょっとしか貰った覚えはないし、女の子なんて僕の姿を見て遠くで2、3人がモジモジしてるだけだしね。
そう智樹が言うと、江見の顔色が青くなったり赤くなったりクルクルと変わった後、こう言った。
「やるわよ!!今すぐ!ただちに!即効で!!絶対にすぐに克服してみせようじゃない!」
何やら江見ちゃんが、物凄い剣幕でやる気なんだけど...何か僕、切欠になるような事言っただろうか?
まあ仕方ない、少しの間付き合ってあげよう。
智樹はため息をつきながら、付き合うことにしたのだった。
「(だ...大丈夫、大丈夫、智樹の手を握るだけなんだから、怖くは...ない、んだけど、しっ...心臓がドキドキ言ってる)」
体はガチガチに固まっており、智樹の手を握ろうとする手は近づくにつれブルブル...と震えていく。
「(大丈夫...何でも無い...握手するだけ...そっと手を握るだけ...)」
本当にジワジワ...ジワジワと智樹に近づいていく手...その時。
「いい加減遅いわ!」
あまりのじれったさにゴン!と武器の鞘で皐月が、江見の後頭部を殴っていた。
「----------!つっっっっっったーーーーい!何すんのよ!」
「長いわよ!さっさと手ぐらい握りなさいよあんたは!こういう風に!!」
皐月はそう言うと、智樹の手を自分の手で握り締めた。
「にゃーーーーーーー!!何でアンタが智樹の手を握ってるのよー!」
「うるさいわよ江見!いい?こんなのなんてお子様の第一歩なんだからね。他にはこうやって...」
そう言いながら智樹の腕に抱きつき、自分の体を密着させる皐月。
「ぎにゃああああああああああああ!!なっ...何やってんのよ皐月ぃぃいいいいいいい!!」
「満足に手も握る事もできないお子様は、私が手本を見せるから見とくの!」
「じゃあ私も手本で参加するー」
「春奈!アンタはしょっちゅう智樹に抱きついてるでしょうがあああああ!!」
そんな感じで(主に江見が)涙を流しながら、この特訓という名の虐め(笑)が暫く続くのだった。
(......僕、何やってるんだろ?)
智樹は彼女達にもみくちゃにされながら、そう考えていた。
ちなみにメイドさんと信也はちゃっかりその場から退避していた。
「あのー...あの男の方、何か悟ったというか諦めたような表情してますけど?」
「まあ、ああなったら皆話聞かないからなぁ、下手に口出したらこっちに被害来るしほっとけ」
「......でも何か、こっちを見ながら口をパクパクしつつ、瞳で何かを訴えているように見えますが......?」
「ああ、あの表情と口パクから察するに、おそらく(信也ー、そこで眺めてないで、たーすーけーろーよー)だな」
流石に親友だけあって、何を言っているかは分かるようである。
だが、信也は一向に動く気配が無い。
「助けないんですか?」
「助けない、だってあの3人の中に今は入りたくないもん、怖いもん」
「......お友達じゃないんですか?」
メイドさんがそう言うと、信也は肩をすくめ両手を上げた。
俗に言う(お手上げ)のポーズである。
「友達だけど、出来る事と出来ない事があるさ、それとも君があそこに行って止めてくる?」
信也の指差す方向には、3人が目を血眼にして智樹をもみくちゃにしている光景が広がっている。
江見も頭に血が上って、自分から智樹に触っているのを分って無いようだ。
「御免なさい、無理です」
メイドさんは即座に答えた。
それを聞いた後、信也は手の平を合わせ合掌の形にし、その手を顔まで上げるとそのまま智樹に向かって拝んでこう言った。
「悪い、助けるの無理」
3人のけたたましい声で声は聞こえていないだろうが、大体の事は伝わったのか智樹の表情が泣きそうな表情になる。
「あんな状況で俺にどうしろと?てか税金と思って我慢しとけ」
それから暫くギャイギャイ、キャンキャン、ヒャンヒャンと3人が犬のケンカのように智樹の取り合いをしているのであった。
それからどれ位経っただろうか?珍しく春奈の提案で、皆一旦落ち着こうという話になった。
まあ、その頃には智樹の服は引っ張られ続けてヨレヨレになっていて、智樹本人もかなり疲れた様子のように見える。
「信也ーー...助けろよー、僕の言ってる事分かってて無視しただろう、大変だったんだぞ?...疲れたし」
「だから無理言うなつーの、あの状況で俺なんかが口だしたら、どうなるか分ったもんじゃない」
「薄情者ー」
「当たり前だっつーの、下手したら春奈を除く2人から俺殴られてたわ」
「いや...流石に江見ちゃんは兎も角、皐月はしないだろ?」
智樹がそう言うと、信也はやれやれと頭を振りながらため息をつく。
「気が付いてないのか?皐月の変化に?」
「何が?」
「お前に対する距離が近くなってきただろうが」
「それは気のせいだよ信也、皐月は変わってないよ」
「......お前はどんだけ鈍いんだよ本当に...」
「へ?何が?」
「......いや、もういいわ、何言ってもダメだこりゃ」
「あれだけ好意を向けられれば不通は気が付くと思いますけど......」
呆れる信也とメイドさんを前に、頭の上に???という文字が浮かんでそうな表情を浮かべる智樹であった。
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