智樹回復中
事故にあってからなかなか体が痛くて、思うようにいきませんがまだ生きてます。
更新遅くてすいませんが、これも療養と作者の執筆の遅さが合わさったせいなので(汗)ご容赦を...
ーーー智樹ーーー
彼は夢の中から次第に意識を現実に戻していった。
そしてある程度まで意識が戻ると、目を開けずに自分の体のチェックをし始めた。
「(治療師の人かヒーラーと魔術師の人が外傷は治してくれたみたいだけど......江見ちゃんの<聖属性>による攻撃が体の内部に残ってて体が重い......本当に何で僕江見ちゃんに撲殺されかけなきゃいけないんだろう?)」
智樹は考えながらなきそうな気分になった。
だが、嘆いていても仕方ないので智樹は自分の体の中に宿る<闇>の力を活性化させていく、すると徐々にだが調子が上向きになっているのを感じる。
「(......よし、これならもう少ししたら動くのにも支障無い位回復しそうだな......ん?何だろう、あっちの方向から憎悪...と言うか強いエネルギーを感じる。こんなに大きい闇の感情なら直ぐに回復しそうだ...こっちか)」
智樹は少しずつ体を回復させながらエネルギーを感じる場所へと近づいていく、そこは誰かの個室であった。
その部屋からおびただしい量の負の感情が流れてくる。
んー、誰か知らないけど助かる。
少しこのままこの場所に居座らせてもらおう、智樹がそう考えていると扉の向こうから何か大声が聞こえてくる。
「フムー!フゴゴゴゴっ!ムガゴー!!」
「おっ落ち着いてください主様、あまりに怒りすぎて何を言っているのか分りませんぞ」
「父上、包帯をしたままでは何を言っているのか分りませんよ?」
どこかの誰かの部屋なんだろう、しかし主とか聞こえてきたから何処かの偉い人なのかな?
すると中から怒鳴り声が聞こえてくる。
それと同時に僕の体内に濃い闇のエネルギーが急速に吸収されていく。
「親がこんな目にあわされたと言うのに、お前は何故冷静なんだ!!バルッサ!」
「落ち着いてくださいよ。ガストン父様」
......ああ、あのウザイ人か、まあ今は足りない力の補給の為に、扉の前に居させて貰おうか。
正直、あんま近寄りたくない人ではあるので居たくはないんだけどね。
力の補給の為とは言え、愚痴を言うオッサンの側に居なくちゃいけないんだか...
まあ、少しの我慢だ。回復したら去ろう。
今、3割程度だな。
僕がそう思いながら部屋の前で、気配を消しながらのんびり聞き耳立てながら回復していると、部屋の中から更に怒鳴り声が聞こえてくる。
「大体、あんな小娘の何が<勇者>だ青臭い小娘ではないか!」
いや、その小娘にボコボコにされたのは貴方だけどね。
「あんな小娘に今の現状をどうこう出来る訳がないのだ!我が領土の兵を挙兵し質量で当たらねばならんのだ!!」
......いやまぁ普通の僕達の世界の戦いや戦争ならそうだろうけどね。
でもね。勇者って伊達にそう言われて注目されてるんじゃあないんだよ?
賢者やソードマスター、魔法使いに僧侶、軍師に騎兵、各々戦局を変えたり戦略を考えたり......一人で数十人...下手すると何百という敵を屠る。
見た目以上の力を持つ者に<職業>や<名称>という形で畏怖や敬意を込められてそう呼ばれるんだよ?
そう言いたくなった。
......って言っても分らないだろうねこのおじさんには、このおじさんは今までそんな人に会った事は...ああ、あの十騎士聖断の人達、このガストンの前では実力を殆ど見せてないんだな。
正直、あの人達を見た瞬間背中に冷や汗が流れた。
一人一人が現代で言う<気>またはオーラかな?を巧妙に隠してたけど......今の僕じゃあ絶対に敵わない、そう感じた。
ちなみにあの後財務大臣に
「他の十騎士聖断はどうしたんですか?」
と聞いたら
「他の魔族の集団と相対しておる。ここにおるのは陛下を守る為の者達...言わば最後の砦じゃな」
とか言ってた。
余程多くの魔族が人間を攻めてきているんだろうなぁ。
現在駐留している十騎士の部隊が2部隊(このオッサンがそうとは思えないので頭の中で除外)相手は統率のとれていないモンスターとは言え4万8千...5万近く、いかにあの2人が強くったってモンスターや魔物と呼ばれる奴らは数が増えるのが早いから、少しずつ体力や精神力を削られるだろう人間には限界がある。
いつか突破されてしまうかもしれない......少しでも戦力を削りたいとこだよなぁ。
どうしたもんだろう?
そう考えていると、何か騒いでいたオッサンが大声を出して少し気が晴れたのか少し声のトーンを落として話し出した。
でも、相変わらずイライラは治まらないのか僕の方に力が流れ込んでくる。
5割......回復が早いのはいいんだけど、何か気分的に居るのが嫌なのは何でだろう?
この人が言う事なんて聞き流しておけばいいのに...
「あんな小娘共など放逐して始末してしまえばいいのだ!」
...どの口が言ってるんだこのオッサン...煩いから黙ってて欲しいなぁ...6割、おかしい?聞き流すどころか聞く度にイライラが増してくる。
何でだろう?
<闇吸収促進 を獲得しました>
<許容量増加 を獲得しました>
僕の脳裏に、聞いた事のある無機質な声で告げる声が響く。
けど今はそんな事よりも、イライラする自分を押さえながら必死に補給する事に勤めていた。
「あんな生意気な小娘どもは四肢を砕いて動けなくした後、顔が変わるまで痛めつけて(許して下さい)と言うまでいたぶればいいのだ!」
煩いなぁ、何でこんなオッサンの言う事聞いてなきゃいけないんだ!
......いや魔力の補給の為だ。
我慢我慢我慢......
そうやっていたらいつの間にか魔力が大幅に補給されていた。
(魔力(MP)500(X10))
X10ってなんだよ!数値バグってない?
すると脳裏に説明が流れる。
<(許容量増加)により(魔力ストック)が出来るようになりました。魔力上限値が上がるにつれ許容量も増えます。それと補足ですが、(耐久力増加、光属性耐性、打撃耐性、自動回復(HP)が付きました>
......えーと、それって江見ちゃんにやられたから?
<肯定します>
うっ...嬉しくない!
等と嘆いているとまた部屋の中から声が聞こえてきた。
「この際だ。あいつ等の誰でもいい無茶苦茶にしないと気がすまん!」
...小さい男だなぁこのオッサン
「父上がそう言うと思って、弱そうな奴を一人攫って来いと言ってあります。間もなく来るでしょう」
......攫ってくる?嫌な予感がするんだけど......
と思っていると、通路の方から鎧を付けた男の人が、大きな袋を背負ってこちらにやって来る。
袋はモゴモゴと動いていて(ムー!ムムーー!)と何か言っているようにも思える。
多分あれだよな...てかこの状況で捕まるって言ったら...
僕は気配を消しながら、更に魔法で(姿消し)を自分にかける。
そしてついでに一部の場所に(音消し)(信也的にはサイレンスだろ!とか言ってたけど)を短時間かけて...体に魔力を纏いその男に襲いかかった。
あまり時間をかける気は無いので、相手の懐に素早く入り込みそのまま踏み込みつつ、大目の魔力を籠めた拳を勢い良く鳩尾に思い切り叩き込んだ。
うん、いい角度で決まった。
すると男は苦悶の表情で袋を離し、鳩尾を押さえている。
袋からはゴン!とか音がした気がするけど、音は消した筈だから気のせい。
更に鳩尾を押さえているせいで、体はくの字に曲がって顔が下がっているので、目と鼻の真ん中に更に魔力を籠めた拳を更に叩き込む。
すると、男は苦悶の表情のまま仰向けに倒れこんだ。
これで後は扉の中のオッサン達が気が付かない内に逃げればいいんだけどその前に袋の中を確認しよう...この袋の中ってもしかして......
そう思いながら僕は袋の入り口を開けた。
すると案の定、さるぐつわをされて手足を縛られて涙ぐんでいるミー子...春奈がそこに居た。
まあ、涙ぐんでるのは今さっき落とされたのと、怖かったの両方さろうけどね。
僕はさっさと春奈を助け出しその場を後にした。
ちなみにその頃の他のメンバー
「次は私の番よ!さあやりましょう!!」
「ちょっと皐月!もうちょっといいじゃない、もう少し私もこの子と戦わせてよ!!」
「お前ら止めてやれよ。もうこの子泣きそうじゃんか、てか泣いてるが......」
「今さっきから何回戦えば済むんですかー!休ませてくださいよー!!この人達もう嫌ーーー!!」
ちなみにお姉さん(フィーリアさん)は用事で呼ばれて今おりません。
「うっ...ひっく...ぐす。...」
僕と春奈はあの場所から離れた所で休んでいる。
余程怖かったのだろう今さっきから大粒の涙を流して僕にしがみついている。
僕はよしよしと春奈の頭を撫でながら彼女をあやしている。
「......ちょっと目を離した隙に災難に会うなんて、春奈らしいなぁ...」
「遇いたくてなったわけじゃないもん!!」
「分ってる分ってる」
「う”~~~...」
こうやって春奈をいつも通りなだめていると、つい最近の事なのに遠い昔からこうしていたような気がする。
......いや、本当にそんな気がする。
白く長い髪は風になびき、瞳は綺麗な朱色に染まって宝石のように美しくその容姿は少し幼いながらも美しい...黙っていれば神秘的に美しいのだが、本人のトラブル体質やドジも相まって台無しになってしまう、けれどとても愛しい......
「...くん...智樹君?」
語りかけられて気が付くと、目の前には涙で目を腫らした春奈を抱きしめていた。
あれ?...今の人は...何で春奈とダブった??
「あ...あの...嬉し...じゃなくて、もう大丈夫だから」
そう言いながらも春奈の体はまだ少し震えていた。
僕は春奈を少し強めに抱きしめる。
「まだ震えてるだろ、震えが治まるまで側にいてやるから、大丈夫僕が居れば怖くないだろ?」
「...うん」
そう言いながら春奈は震えが治まるまで僕の腕の中に居たのだった。
「(御免ね、江見ちゃん、皐月ちゃん。でも少しは私だって智樹君に甘えて...良いよね?っていつも甘えてばっかりだけど...今だけは...)」
智樹の腕の中で真っ赤になりながら、春奈はそう思っていた。
まだまだ体は痛いですが、少しずつでも更新していきます。




