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幼馴染は魔王でした。私は勇者のようです。  作者: うらぎった
過ぎ去りし日々...そして<破滅の魔王>の名の切欠(きっかけ)
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皐月VSメイドさん

色々と疲れた......

 あれから暫くしてーーーーーー


「ま......まだまだぁ~......」

「いっ......いい加減に休憩にしませんか?もう9回目ですよ?はぁ...」

「私はまだ1撃も入ってないのよ...それに何かコツみたいなのを感じるのよ......もう3丁!」

「そこは(もう1丁)って言う所じゃありません??」

「いいからいくわよ!......すぅーーー......せやーー!」

「いやーーーーーーーー!何なのこの人、しつこいーーー!」


 あの後暫くしてからも、皐月は春奈の回復呪文を受けながら呼吸を整え、再度メイドさんに向かっていく、服もボロボロだし顔や体中も春奈が治しているもののその最中に向かっていくもんだから酷い格好の皐月、なのに生き生きして何か物凄く楽しそうだ。

 ちなみに春奈が「少し休憩したら?」と止めたのだが、一切聞く耳を持たなかった。 


 対するメイドさんは服に汚れ1つ無いけど、何か涙目になってる。

 うん、でも気持ちは分るんだよねぇ。あの状態の皐月って物凄くしつこいから......

 納得しないと倒れるまでやるからなぁ、まあでもその情熱は前は皐月の場合、剣道に向いていたから私達にはあんま実害は無いんだけど......剣道部の人達は思いっきり引かれてたわよねあの状態の皐月。


 ーーーーー

 ある日の現代でのある日の出来事。


 その日はたまたま何も用事が無く、私と智樹と春奈で帰りに何をしようか?という話をしながら帰ろうとして体育館を横切った時の話だった。

 うちの体育館は正面に大きな入り口の扉に、横から何かを入れる為の扉と扉が三つある体育館があった。

 ちなみに三つとも左右に開閉するタイプだったりする。

(まあ実際には、奥の裏の方も音楽室とか倉庫に繋がっており、学芸会や何かのもようし物を出し入れする為にもう1箇所出入りする場所があるんだけどそれは置いておいて)


 帰り際その体育館の横を通ろうとした時、横の扉が ドガン! と大きな音を立てて大きく揺れた。

 私達は驚いてその場に固まっていた。

 春奈なんかは尻餅をついていたっけ、そんな中体育館の中では(大丈夫か?)(怪我はないか?)とか言いながら手前の扉の辺りが騒がしくなってきた。

 そんな時、智樹が何の躊躇ちゅうちょも無しにその扉に手を掛けガラガラと開いた。

 するとそこには、剣道部員の人達と剣道部の防具に身を包んで頭の面だけを外された皐月が居た。

 その顔からは凄い量の汗が流れ出ている。


「......委員長、何やってるんです?虐めでもありました?それとも時代遅れのシゴキ?」

「そんな事するか!」


 智樹の言葉に部員が声を荒げて反論するが、智樹は更に言葉を続ける。


「でも委員長、こんなになってますけど?」


 智樹の言葉に皐月の方を見ると、体はあちこちに傷や痣ができていて見ている方が痛々しい位だ。けどそんな智樹の言葉に部員達は言う。


「......これは皐月部長の指示なんだよ」

「は?」

「絶対に勝ちたい相手が居るんだよ。しかもその相手は全国大会個人優勝2連覇してる奴で絶対勝ちたいみたいなんだよ」

「いやいや、もっと普通に練習すればいいでしょ?明らかにオーバーワークじゃあ?」


 智樹の言葉に部員たちは顔を見合わせながら暗い顔をして話しだした。

 その内容はと言うと......


「くやしぃいいいいい!何であの子に勝てないのよ!!」


 そう言いながら部室の机を両手でバンッ!バンッ!と大きな音を立てて叩く皐月。


「いいじゃないですか。部長なんかあの個人優勝の凪坂あやめに対して毎回3-2の僅差なんですから、私達なんかほぼストレートで負けちゃいますもん」

「それでも負けは負けじゃない!!私は勝ちたいのよ!あの子に!」


 そう言った皐月の顔はイライラしているのか、今にも誰かに噛み付きそうな感じであった。


「でも、部長正直どうするんですか?いかに僅差とは言え負けているのは事実、その辺りの差をどうにかしないと勝てませんよ?」

「そうなのよね......あの子の剣は悔しいけど今の私よりほんの少し上なのよ......どうにかしてそれを補うかそれとも私があの子に追いつくか......」

「いやいやいや、そんなに簡単に上達したら世話ありませんよ」

「分ってるわよそんなの!......ん?」


 そう言った皐月の目に飛び込んできたのは漫画本、しかも内容は厳しい訓練や特訓を主人公が耐え抜き、新たな力を得るというよくある少年誌の話であった。


「何これ?何でこんな本がここにある訳?」

「どうせ男子の物でしょ、全く......部長?」


 部室に無造作に置いてあった漫画本を皐月は無造作にパラパラと捲り、内容を確認すると皐月はパンと本を閉じると何かに火が着いたような目をしてこう言った。


「これよ!」

「は?」

「部長何が(これ)なんですか?」

「この本に描いてある内容よ!主人公が自分を追い込んで新たな力に目覚めるという」

「まさか部長......」

「私もこれを真似してやるわよ!!」

「「「はあー?」」」


 そして皐月と部員2人の変則乱捕り稽古が始まったのだという。

 最初は誰もが(すぐに無理だと諦めて止めるだろう)と思っていた。

 だが、皐月は止めるどころかどんどん稽古に火が着いたように苛烈さを増し、自分を追い込んでいく。

 本を持ってきた男子生徒は、全員から思いっきり恨まれたそうである。


「......それで今1対2の方式でやっていたんだけど、本当にどんどん部長が強くなっていったんで1対3に増やした直後だったんだ」


 それを聞いて、私達は絶句した。


「いや......それでも流石に無理があるでしょう?1対3なんて?」


 智樹がそう言うと、男子生徒は首を横に振った。


「ところがそうでも無いんだよ。部長何かに目覚めたのか、それともコツを掴んだのかは知らないけど、1対3でも下手したら俺ら負けるかもしれない......」


 皐月......あんたは一体どこへ行こうとしてるのよ(汗)


「さ...皐月ちゃんって凄いんだね」


 辛うじて春奈がそれだけ声を出した。

 いや春奈、皐月のこれは凄いとかそういう問題じゃ無いと思うんだけど?


「......先生とかは大丈夫なの?」

「顧問とかには話しを通してあるそうだ。何でも(邪魔したら職員室に竹刀もって殴りこみます)だって」

「......い...委員長、先生脅してどうするのさ」

「邪魔されない為よ」


 そう言ってムクリと起き上がる皐月、気が付いたんだ。


「あたたたた...油断したわ、少しオーバーワークだったかしら?でもまぁコツは掴めたし少し休憩したらまた始めるわよ」


 皐月がそう言うと、部員達はゲンナリした顔をしていた。

 うん、気持ちは良く分るわ。


「委員長、オーバーワークとか言いながらさらっと続けようとしないでよ。ちなみにこれ役に立つの?」

「勿論よ」


 智樹が質問すると、当然の事のように答える皐月。


「この訓練で瞬時の判断力ととっさの動きを体に染み込ませてみせるわ!」

「......ほ、程々にね委員長」


 智樹はそう言うけど、無理だと思うなぁ私は。

 ちなみに大会は、相手より遥かに腕を上げた皐月が圧倒して優勝した。

 怖いわ皐月......漫画の人のような事を実践しちゃうなんて......しかも成し遂げちゃうなんて。


 そして皐月は大会当日前には更に腕を上げ、コテンパンに相手を倒したそうな、ちなみにその時の会話は......


「こんなんじゃあ私がまだ満足できないわよ!優勝決定戦あと5回位やろうじゃないの!!」

「いやー!もう終わったんだから勘弁してー!」


 決勝の因縁の相手は号泣していたという話しだ。


 ーーーーーー

 そして現在。


「嘘!攻撃がだんだん当たらなくなってきてる??」


 前までは攻撃が10回中7回当たっていたのだけれど、今は3回当たって4回剣で逸らして3回避けてる。

 凄いなぁ皐月、負けてられないわ!


「当たり前よ!何回やられたと思ってるのよ!絶対全部回避して1回入れてやるんだから!」


「ひいいいいい!」


 メイドさんは戦きながら出鱈目に拳を繰り出すけど、今の状態の皐月にあんな攻撃が簡単に当たるとは思えない。

 ......相手のメイドさんには悪いけど、皐月の相手を頑張ってもらおう。


「凄いわねあの子、対応速度が半端ないわ」

「皐月ちゃん、ああいうの得意だから...」

「うんうん、ああなったら皐月はしつこいわよねー」


 何かの話だと、智樹も特訓に付き合った事があるとの事だ。

 その時智樹は疲れた顔をしてこう言ったのを覚えている。


「つ......疲れた。けど何だろう?何か知り合いにソックリな行動なんだけど(汗)」


 そう言ってたけど、知り合いって誰だろう?

 私の知っている人だろうか?それとも......?



 ガイン!


 皐月の剣とメイドさんの拳が見事にかち合い、金属とか硬い物同士が当たったような音がした。

 何で?普通鉄の剣と拳が当たったら拳の方が痛いし、下手すれば痛める。

 なのに今メイドさんは痛がる事もなく、拳で必死に皐月の剣を押し戻そうとしている。


「不思議そうな顔してるわね?」


 顔に出ていたのか、フィーリアさんがそう言ってきた。


「だって変な音したし、剣を拳で受けたのにメイドさん痛くなさそうだから、あのメイドさんロボットかなんかじゃないのかな...と」

「ロボット?」

「江見ちゃんロボットじゃ多分通じないよ...えーとですね自動人形?そんな感じなのかな?」

「ああ、ゴーレムみたいなものね。残念だけどあの子は生身よ」


 春奈の言葉にフィーリアさんは納得したように答えを返してくれた。

 にしても......


「あんた自動人形なんてよく知ってるわね?」

「智樹君の家に行った時に教えて貰ったからね」

「私、教えてもらった事ないんだけど?」

「......江見ちゃんだったら絶対つまんなさそうに(そうなんだ?)とか(興味無い)って言う内容なんだもん」

「ぐっ......あんたはどうだったのよ春奈?」


 私がそう春奈に問いかけると、春奈はニッコリと笑いながら。


「勿論楽しかったよ(智樹と2人で居られたしね)」


 と言ってきた。

 まあ、確かに私じゃあ聞いてる内に寝ちゃうだろうけどさ......

 私達がそう言っていると、皐月とメイドさんはそのまま力比べをして押し合いをしている。


「あれ?何でメイドさん下がったり逃げたりしないの?そうすれば少しは状況変わると思うんだけど?」

「まあそれはもっともなんだけどね。でも駄目あのよタイムオーバーみたいだから」

「タイムオーバー?」

「あの子の体を見てみて」


 そう言われて指差されたメイドさんを見ると、何だろう?淡く光って点滅してきている。


「あれはね魔法の効果切れを現す現象なのよ。ああなったら上書きしないと30秒位で効果は切れるわ。ちなみにあの子が自分に掛けた魔法は<自己強化系統>、最初に<加速>後から<硬化>ね」

「へー、そうなんだ。でも効果切れる前にかけ直せば......」

「江見ちゃん。今の獲物を狙う狼のような皐月ちゃんがそんな隙、相手に許すと思う?」

「......思わないわね。唱え始めた途中で襲い掛かられると思うわ」


 私は思わずメイドさんに向かって合掌をした。


「祈らないでください!てかフィーリアさんも余計な事言わないで下さいよ!!」

「これも訓練よがんば!」

「鬼ーーー!」


 メイドさんは泣きながらフィーリアさんに文句を言い、必死に皐月とせめぎ合いを続けている。


「...そう、あの小賢しい動きはもう少しなの...ふふ...ふふふふふ......」


 怖い!怖いわよ皐月!


「思いっきりやられた分返すから覚悟しなさいよ~~~」

「いーやーーーー!謝るから許してー!」

「聞く耳なし!」


 皐月は更に力を柄に込めてメイドさんを押す。

 少しづつだけど、皐月の方が有利になってきているみたい。

 て言うか今の皐月の顔怖い怖い怖い!、春奈なんか縮こまって震えてる(汗)


 そうこうしている内に、メイドさんの体から光は収まっていくおそらく効果が切れたのだろう。


「ここが年貢の納め時ってやつよ!覚悟!!」

「いやああああ」

「ほいっ」

「あ......」


 魔法の効果が切れたメイドさんに親の敵のように鉄の剣を押し込む皐月、だけどその途中いきなりすっ...と剣を引いたのでメイドさんの体が流れる。


「ちぇいやー!胴ー!」


 掛け声と共にメイドさんの胴体に叩き込まれる剣、ガキン!という金属音と共に吹き飛ばされるメイドさん。

 どうやらもう一つの方の魔法はまだ効果が残っていたようだ。

 いくら刃を落とした練習用の剣でも、吹き飛ばされてメイドさんは目をまわしているようだ......てか頭の上でヒヨコがクルクル回ってるんですけど?


「あー、あの子気絶しちゃったわね。しょうがない止めましょうか」

「いや、それよりあの頭の上で回ってるヒヨコ何ですか!?」

「あれ?あれはね気絶や意識が朦朧としている時に出る物よ」

「格ゲーかい!」

「格ゲーが何かは知らないけど、あの子があの状態になると出るのよあれ」


 ああ......あれあのメイドさん専用なんだ...

 フィーリアさんは私達にそう言いながら皐月に近づいて肩を掴んで静止する。

 皐月はまだ戦い足りないのか、気が済まないのか...まあ両方だろうけど、フィーリアさんに講義していたが後でフィーリアさんが相手をすると言ったら引いたようだ。

 皐月は普段は冷静なんだけど、頭に血が上るとああなるから怖いのよね。

 そして皐月はフィーリアさんに腕を貸してもらいながらこちらに戻ってきた。

 メイドさんの方は、木陰に皐月を座らせた後フィーリアさんが担いでその横に置いていた。


感想、容貌、指摘、等々お待ちしております。

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