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幼馴染は魔王でした。私は勇者のようです。  作者: うらぎった
過ぎ去りし日々...そして<破滅の魔王>の名の切欠(きっかけ)
20/47

3狂殺 3<シリアス>

残酷、不愉快な描写があります。


苦手な方はご注意下さい。

 そしてガルザンはその日から下級魔族の研究...いや<解剖、解体>を始めた。

 勿論アース以外には極秘裏にだ。

 最初はゴブリンを捕まえ薬で声が出ないように、動けないようにして生きたまま切り刻んだ。

 生きたまま皮を剥ぎ、爪を削ぎ、目玉をくり抜き、舌を引き千切り、角を引き抜き、手足を切り刻み・解体し、腹を割き臓物を取り出し、耳や鼻の中に用途が分からない長めの金属棒を突っ込みその金属を通して魔力を注ぎ込んだり、脳を取り出し別の生き物に入れ替えたり、脳を生きたまま弄りまわしたり。

 

 幾多の魔族の血と脳漿にまみれ、正気を疑うような行為を繰り返していた。

 そしてそれは彼の研究をどんどん進めていた。

 そしてその研究成果は時折戦場へ出され、その都度改良を重ねていった。

 彼の思惑を乗せて。

 

 そして別の場所では元3狂殺の男が今日も最前線で戦っていた。

 道化師の格好それは前と変わらない、だがその顔や手足にはミイラ男のように包帯が巻かれていた。

 あの後彼は傷が少し治った後、回復魔法で傷を全て治すのを拒否しそのまま戦場へとおもむいたのだ。

「フー!フー!」

 鼻息も荒く、包帯の隙間から見える瞳は血走っていた。

「(今の俺じゃあどう足掻いたって勝てねぇ...それは骨身に染みた...だが!それじゃあ俺の腹の虫が治まらねぇ!このドラグル様が!!)」

 

 ドラグルの前には敵魔族の軍勢が待ち構えている。

 それを見て彼はゴクリ...と喉を鳴らしこう呟いた。

 

「ああ...いいぜぇいいぜぇ...俺が強くなる為の餌が目の前にわんさとある!」

 

 ここで彼の<ブラッドピエロ>の由来である能力と何故そう呼ばれているのかを語ろうと思う。

 

 まず1つ、戦う相手の体を完膚なきまでに叩き潰し、大量の返り血をいつもその身に浴び狂ったように笑う。

 これがまず1つ。

 もう一つは腹が減れば誰彼敵味方構わず体を貪り食い、自分の傷を癒し身体能力を底上げする能力<悪食喰らい>を使った後、全身血塗れで笑っている事からである。

 つまり、今彼の目には敵が食事にしか見えていなかった。ご馳走の山が目の前に置かれているとしか見えていない。

 味方に襲い掛からないのが不思議な程であった。

 

「(くくくくく...まだ暴走する訳にはいかねぇからな...気にくわねぇが爺に感謝だな...)」

 

 少し前。

 

「のうドラグル、お主ワシに強力せんか?」

「ああ?強力だぁ?何眠い事言ってんだ爺、ボケたか?」

 

 彼はそう言って立ち去ろうとするが、ガルザンはそのまま話を続ける。

 

「ほぅ?主はこのまま飼われたままで良いのか?あの若造に?」

 

 すると、彼の顔色がみるみる内に変わる。

 

「......おい、爺気をつけろよ?俺は今機嫌が悪いんだ。下手な事言うと骨も残さず喰うぞ?」

「クカカカカカカカカ!よいよい、それでこそ主じゃ安心したわ!」

 

 眼力だけで人を殺せそうな勢いでドラグルはガルザンを睨むが、ガルザンは涼しい顔で愉快そうにその顔を眺める。

 

「......用があるならさっさと話せ」

「ウム、では隠し事は無しで言うが、お主あの若造を殺す為にワシに強力せんか?」

「そう簡単に殺せるなら今すぐ喰いに行ってるさ......」

 

 自分はあの時理解した。あの黒ずくめと自分との圧倒的な差を。

 

「クカカカ、ならばお主の能力とワシの研究が合わされば勝算は有る......と言ったら?」

「...気にくわねぇが...興味は持ったな」

「カカカカカカ、ならば話そう主と我の企みをな...クカカカカカカカカ」

 

「魔性抑制薬って言ったか?なかなか大したもんだ。俺の食欲を抑えるなんざな」

 

(まず主は戦場で能力を上げながらワシに実験体を回してくれ)

(は?俺が戦場に出たら敵味方関係無いだろうが?)

(そこはこの薬が抑えてくれる行く前に飲むがいい)

(こんなもんがねぇ......で?どんな奴がいいんだ?要望あるのか?)

(そうじゃの...数ではなく種類が欲しい、なるべく多種を集めてきてくれ)

(分かった色々だな?)

(後、その時に誤って近くの村や町の者、旅人が混じってもしょうがないのぅ?)

 

 ガルザンが愉快そうにそう言うと、ドラグルもニヤリと唇の端を上げ笑う。

 

(ああ、仕方がないよな、過ちっていうのは誰にでもあるもんだ。誰が消えても仕方ないよな)

 

 そう言ってお互いに大笑いしたものだ。

 

「さて、始めるか!」

 

 そう言いながら彼は、目の前に広がる食事に舌なめずりしながら飛び込んでいった。

 

 ー 所変わってここは魔王の側室達が集まる場所 -

 

 そこでは多種な種族の女性達が集まっていた。

 見た目は人間に近いがその肌は鱗に覆われた竜族、まだ降り積もったばかりの雪のような白い肌と髪、そして真っ赤な瞳をもつ吸血族、獣の耳を持ち身体能力に優れた獣人族......その中にディーアは居た。

 周りの女性達と一緒に朗らかに談笑してくつろいでいるようだ。

 最早そこにはアースに挑みかかった恐ろしい上位魔族姿はなく、美しく変貌したサキュバスが居るのみだ。

 

「(ああ...夢のような時間だなぁ...)」

 

 昔は一族を守る為に美しさを磨き、それに騙された者の首筋や口から生気(精気)を吸い取り力を蓄えた。

 上位魔族となってからもそれは変わらなかった。

 時には命を懸けて戦ったあの殺伐とした日々。

 彼はそのしがらみから解き放ってくれた。

 自分の納めていた領地・故郷は治安が良く保たれており、非常時には隔離結界によって安全を保たれるという徹底ぶりだ。

 

 それは今この場に居る女性達全員に言える話だ。勿論全員あの人の子供達が居る。

 勿論自分にもまだ幼いが娘が居る。それにこの体内にも......

 そう考えながら彼女は自分の体の一部を優しくいとおしく擦った。

 まだ彼には3人目の事は話していない、まあすぐに話す事にはなるだろうけど。

 

 彼は不思議な魔族だ。

 魔族なのに傲慢、怠惰といった事を嫌う、自分から進んで物事をしようとする。それは今も変わらない。

 それに残酷・冷酷といった言葉からも程遠い、口では何だかんだ言ってもそこには彼の甘さ...いえ優しさだろうそれが最後に顔を覗かせる。

 今最も大魔王に近いのに、程遠いという彼...私はそんな彼に...心身共に縛られてしまった。

 だけど...不愉快ではない、むしろ心地良い......

 

「ディーア様」

 

 そう言いながらマタニティードレスを着た彼女が近づいてきた。

 確か彼女は彼の副官だったと思う。私が戦った時も確か側に居た。

 そんな彼女の腹部も大きく膨れている。確かもうすぐ出産だった筈だ。

 近くに何人か女官が仕えている。

 

「様はよしてアリシア、同じ寵愛を受けた者同士でしょ?」

「すいません。どうしても慣れないもので...」

 

 彼女の言葉にその場に居た女性から笑みがこぼれる。

 

「長い間の自分の想いを隠して仕えてきた貴女だものね。喜びも一層でしょ?」

「ディ、ディーア様!」

 

 彼女は顔を真っ赤にして慌てているのか、付けなくてもいいと言っているのにまた様をつけている。

 

「いいじゃない、同じ寵愛を受けた者同士、助け合いましょ」

「はい、ディーア様」

「だから様は禁止」

「...すいません。どうも慣れなくて...」

「慣れていけばいいわ」

 

 そう言いながら私達は笑いあっていた。

 その数時間後にアリシアは陣痛をおこし、元気な男の子を産んだ。彼女は涙を流し「私の子供...私の子供...」と涙を流しながら喜んでいた。

 ちなみに子供が生まれた次の日、夜に彼に呼ばれ夜の営みの相手をした。

 相手をする前にお腹の子の事を話すと、行為をして大丈夫か?無理はするな、と優しく言われて泣きそうになった。

 

「大丈夫ですよ。もう時期はある程度過ぎているので流れるとかはありません」

「そうか...無理はするな」

 

 彼は優しく私達に語りかけてくれる。

 

「大丈夫です。それよりも...」

 

 私はそう言いながら大きなベッドの上で彼に向かい合い、服をゆっくりと脱いでゆく、今私が着ている服は厚手の長めの上下一体になっている緩めの服で、腰を布の帯のような物で縛る服一つだ。

 その服はパサリ...と自然に下に落ちその下は生まれたままの姿で彼に向き合った。

 

「お疲れ様です。私で良ければ疲れをお取りいたしましょう」

「そんな事を言うな、お前達のお陰で我は助かっている」

 

 そう言いながら彼は、私をそっと抱きしめた。長い夜が始まるのだ。

 

「あっ......」

 

 幸せな時間の始まりだった。

 でも......

 その後数百年に、あんな絶望が待っているなんて思わなかった。

 

 

 その日は陛下が魔界を統一された日で城や町はお祭り騒ぎで賑わっていた。

 

「ママー、早く早くー!」

「慌てなくても大丈夫よ」

「あのアクセサリー、綺麗買って~」

「お姉ちゃん、あっちにもっといいのがあるよ」

 

 私は今子供達と外出中だ。

 他の奥方とも来たのだけれどはぐれてしまい、今では情報伝達テレパス魔法で連絡を取り合いながら子供達と町を歩いていた。

 その日は彼が自分の為に選んでくれた赤いドレスを着て、外出していた。

 

「(ディーア、そっちは誰か迷子になってない?)」

「(大丈夫です。少し騒がしい位ですわ、リスティア様の方はどうですか?)」

「(...うちの子も似たようなもので騒がしったらないわ...あっ!こら待ちなさい!)」

「(リスティア様の方は大丈夫みたいね...カーリー、貴女の方は大丈夫?)」

「(大丈夫です......と言いたいのですが、ああもう!あなたはお姉ちゃんなんだから弟に優しくしなさい!将来のお父様の副官になるんでしょ?私みたいに)」

 

 皆忙しいようで考えてる事と言っている事が一緒になってしまっている。

 その事に思わず苦笑するディーア。

 色々あるがこんな幸せな時を自分が過ごせるとは...永遠にこの時が続けば良いのに......

 

 しかし、その願いは叶う事は無かった。

 

 

「クカカカカカカカカッ、久しいのぅディーア」

 

 その声の主は賑やかな表通りとは逆の裏通りから現れた。

 

「何の御用かしら?ガルザン生態研究室所長」

 

 ディーアはこの男が好きではなかった。元々馬が合わないのもあったが傘下に入ってからも何か怪しげな研究を繰り返し、その異常な研究を戦場に送り出していると言う。

 良くない噂では彼の実験体が村1つと敵味方1個師団を滅ぼして消滅した。

 そんな噂まである。

 嫌な予感がして、彼女は情報伝達テレパスに魔力を余分に注ぎ、知り合い全てに回線チャンネルを一方的にオープンにする。

 これで今からの会話は知り合いには全て筒抜けだ。

 この時不運だったのが、アースの回線は多くの者からの祝辞や祝いの言葉による回線でほぼパンク状態で繋がらなかった事である。

 

「(どうしたの?ディー?)」

「(どうされました?ディーア様?)」

「クカカカカッディーアよ。魔王アースを...いや今や大魔王アースか、奴を殺すのに強力せい)」

「(!(!!)(な!お母様!!)))」

「私がそれに応じると思う?」

 

 娘達を庇いつつディーアはジリジリと人の多い表に下がっていく。

 

「良いのかの?そのまま下がって?」

「え?」

 

 そう言った時にはディーアは両腕を掴まれていた。

 

「よう、久しぶりだなディーア」

 

 そう言って彼女の背中から両腕を万力のような力で掴んでいるのは、ボロボロなピエロの格好をしたドラグルだ。

 

「...相変わらずねそのよく分からないセンスは」

「いいだろう?こんな格好の奴に食い殺されるなんて笑える。だから俺はこの格好なんだ」

 

 皮肉を言ってもまるで通じない所も昔のままだ。

 いや...昔よりも強くなったかもしれない。

 

「母さまを離せ!!」

「離して!!」

「...うるせぇ...」

 

 母を拘束している男に掴みかかろうと長女と侍女が掴みかかるが、ドラグルが片手の手の平で払うと姉妹は表通りにまで吹き飛ばされ気を失った。

 

「リア!アニーシャ!」

「安心しな、殺してはいねぇよ。だがなお前が言う事を聞かなけりゃ......」

 

 そう言いながらドラグルは残る3女を睨みつける。

 

「ひっ!...」

 

 少女は姉達が吹き飛ばされたのを見てガタガタと振るえ縮こまって身動きが出来ないようだ。更に威圧されてしまったせいで顔をグシャグシャにして泣きながら粗相をしてしまっている。

 

「止めなさい!娘に手出しはしないで!...お願いだから」

「ふん...良かったなお嬢ちゃん」

「う”......ヒック!ごべんなざいおがあざま...(わだじ...わだじ...)」

「いいのよ。良いからお姉ちゃんを安全な場所にお願いね」

 

 その頃には騒ぎを聞きつけて来た兵士達が見えていた。

 

「さっさと済ますぞガルザン」

「クカカカカカッ、そうじゃのドラグル!始めるか我らの復讐を!」

 

 そう言いながらドラグルはディーアの両腕を後ろ手に掴んだまま床にうつ伏せに押し付けた。

 

「くっ!」

「ではかかろうかの」

 

 そう言ったガルザンの右手には、人差し指の第一関節程度の小さな虫が摘まれていた。

 

「この虫はな、首筋から体内に侵入し脳を食い破りその者を殺し、その後脳をワシの言う事を聞く兵士に作り変えて修復してくれる可愛いワシの虫じゃ、キヒヒヒヒヒッ!!まあ、あまりに作り方が複雑すぎて2、3匹がせいぜいじゃったがな!」

「ま...まさか」

「そうよこの虫をぬしに取り付けてワシの手駒にしてやるわ、クカカカカカカカ!!」

「いやーーーーー(助けて!助けてあなた!!)」

 

 だが、彼にはその声は届かない、そして何かおぞましい感触が首筋から小さな痛みと共に頭の奥へ入っていくのが分かる。

 

「いぎぃぃぃおーーーぎがぁぁぁぁぁぁあああああぎゃあああああああがががががががあ!!!」

 

 頭の中を虫が這い回って噛み千切って痛い、痛いイタイイタイ!!目がら何か出てぎて見えないぎもぢわるいいやだ、いやだいやだわだじ...は...まだ...

 

「(----)」

「(---!)」

 

 誰...何を言っているの?わだ...じ...わ...

 彼女の耳も最早何も音を拾わなくなりそうになってきて、意識も闇に落ちていきそうになったその時。

 彼女の脳裏にはアースの姿と...

 

「(お母様!)」

「(...に...げ......)」

 

 

 

 ブチリッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぎぃあ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あああああああああああああああああああああああああああああ」

 

 

 

 

 そして彼女は目鼻や耳や口から血を流しながら<彼女>という自我は無くなった。

 

 

 

 そして丁度その数日後、人間のある地方の家にて後にアースを滅ぼす勇者が生まれる。

 これは運命の皮肉であろうか?

 それとも......

多分次で終わると思います。


...終わらなかったらご免なさい。

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