ばれた......そんで昔の話になりました。
うん。正直言って年内に更新出来るとは思いませんでした。
間に合って良かったー。
あいったぁー......やられた...
チクショウ、ラフィーネの奴頭が良くなってるじゃないか、やっぱ長生きして経験と知識を蓄えた結果なのか?
何かしてやられて凄く悔しい。だけど今はその事よりも聞かなきゃいけない事がある。
「...いつ気が付いた?」
「最初は主の友人が<お前の奥手は前世からってことかよお>とか言っていたのが切っ掛けだな。」
信也ぁぁぁぁぁぁ......
「その後行動を見ていると、癖が我が知った人そのままなのでまさかと思った。そして確信は今さっきの手合わせだ」
「手合わせで?」
「主様は意識してなかろうが、昔と動き、癖が全く変わっておらぬ。思わず頬が緩んだぞ」
あー...僕と判断する材料はそこいらに転がっていたってことかぁ......しまったなぁ、最初は気が付かなかったんで恥ずかしいから、そのまま帰す時まで気が付かれないように注意しとくべきだった。
生まれ変わってから少し気が緩んでいるんだろうか?
「それにしても主よ、何とも可愛い姿になったものよなぁ」
「...それ男の子に向ける言葉じゃないよ。それと僕はもう君の主じゃない筈だよ?」
「確かに勇者との戦いの前、あの時主は我の為に契約を解除し我を解き放った。だが、我の主は今でもアースそなたである。これは契約ではなく我が決めた事である。」
そう言いながら強い意志の篭った瞳で僕を見ている。
......やれやれ、そこまで慕われるような事したかな?僕。
と考えていると、ラフィーネに江見ちゃんや信也が寄って来た。
「なあなあ、アンタ昔の智樹を知ってるんだよな?」
「?そうだが、それがどうかしたのか?」
「いやさ、昔の智樹がどんな奴だったのか知りたくてさ」
いきなり何言い出すかなこの悪友は!人が嫌がる過去の事をそんなに知りたいのか。
そう思っていると、それが顔に出ていたのか更に信也が言葉を続ける。
「まあそんな顔するな智樹、何もお前が昔何したのかとか聞こうとしてる訳じゃあないんだ。まあ正直言うと興味はある。だけどな、それをお前が嫌ってるのは百も承知だ。だから聞ける事とお前の人なりとかいうやつを聞きたいんだ」
何故そんな事を聞きたいんだ?
「やっぱさ、昔と今じゃあ違う部分があると思うんだそれを聞きたいんだよ」
「何でわざわざそんな事を?面白くもなんともないぞ?」
「...私は聞きたいかな?昔の智樹」
「江見ちゃん?」
「あ、私も聞きたいわね」
「...皐月まで」
何だこの変な空気、何で僕が引き合いに出されるんだ??。別に面白い事じゃあないだろ?
だがしかし、それを聞いたラフィーネの顔が嬉しそうな顔に変わる。
「そうかそうか!聞きたいか!お主らは話の分かるやつらじゃのぅ、ならば喜んで聞かせてしんぜよう。まずはな...」
「まてーーーーーーーーーーーーーー!」
何かを話し出そうとするラフィーネを声を上げて止めさせる。
何?何で僕の事を話す事で話が進んでるの?何これ?罰なの?拷問なの?本人の僕いるのに話されたら恥ずかしい事間違い無いじゃないか!
だけど、そんな僕の思いを他所に今度は信也が言い始める。
「いいじゃねぇか別に減るもんじゃあないし、それじゃあ俺から言おうか、そうだなぁ...コイツって俺らの世界じゃあ優等生って奴でな、決まり事は守る、宿題は忘れない、けど嫌味な奴でもないって奴で...」
「信也あああぁぁぁ!お前何悪乗りしてんの!!」
「だからいいじゃんか、減るもんでもないし」
「減るよ!僕の精神が削られていくよ!」
チクショウ!信也め覚えてろ。
「ああ、確かに主はそんな所があったのぅ、規律を作り皆を統率する。更に王であるのに民草と触れ合い信頼も厚かった」
「ラフィーーー...」
勘弁してよもう...だけどそれを止めるのは僕だけで......気が付くと江見ちゃんと皐月が申し訳なさそうに僕の服の肩辺りをそっと握りながら上目遣いで僕を見ながらこう言って来た。
「ご免智樹......私達も話したいし凄く聞きたい...」
くううううううう!!何で今そんな表情と態度するのさ!可愛いじゃないか!!
てかそんな事されてお願いされたら断れないじゃないかあーーーー!!
僕はこの瞬間、敗北を悟った。
「はー......分かったよ、観念するよ。ただしこの話は春奈が起きてからね」
僕はそう言うと、まだ眠ったままの春奈の顔を覗き込んで様子を伺うと、もう少しすれば起きるだろう。
「春奈抜きでこの話をしたら<私だけ除け者にしたーー!>って怒るだろうからさ」
「うんうん春奈は絶対に言うわよね。それで頬をお餅みたいに膨らませるの」
「分かる分かる、で暫く<つーん>とか言ってそっぽを向くのよね」
うんうん絶対そうなるんだよなぁ。
「で、そのままその日一人で帰ろうとして、何故か色んな事に巻き込まれるのよねぇ......」
そう言いながら皐月がため息をつく。
「ええと、その時皐月が起こした...というか遭遇したのは何だったかしら?」
皐月のその言葉に僕が答える。
「溺れてた子犬を助けようとして自分も溺れた。弱い物虐めしてた人を注意して自分も対象になった。鳥の雛が巣から落ちてたから戻しに行ったら降りられなくなった、しかも落ちそうになってた。捨て猫にご飯あげたら他の猫も寄って来て、春奈が猫で埋まってた。迷子の子をあやして遊んでたら自分も迷子になった。信号を渡れないお婆さんの手を引いて信号を渡ったら、そのまま家まで送っていった。そしてそのまま帰り道が分からなくなって、僕が見つけた時には大泣きしてた......」
それを聞いて皆の顔は呆れというか複雑な顔になっていた。
「春奈らしいというか......」
「それほぼ智樹が助けたって言うのも凄いけどね」
「中でも大泣きしてた時は困ったよ。見つけたのは良いけど泣きながらしがみ付いて来るからどうしたものやら...あれは本当に大泣きだった...」
「大泣きじゃないもん......」
いつの間にか目が覚めたのか、横になったまま顔を赤くして春奈は抗議してきた。
そしてむくりと上体を起こすと、僕を睨みつけてきた。
「大泣きなんかじゃないもん」
「いやあの音量はどう考えても大泣き.....あたたたたた」
僕が更に何か言おうとすると、春奈は顔を真っ赤にしながらぐーでぽかぽかと腕を振り回しながら叩いてきた。
まあ実際にはあんまり痛くないんだけど、気分的に少し痛いかな?
「智樹君の意地悪ー」
春奈はそう言いながら頬を膨らませむくれている。でも春奈のこの態度は可愛いだけで怖くないんだよなぁ、まあ春奈が怖い事なんてめったにないんだけどね。
「何というか......今の主の周りは穏やかじゃのぅ」
「そうだね。昔とは大違いだろ?だから僕は今の自分を放したくない、そう思っている」
他愛無い生活、だけど今の僕にとってはとても貴重なものだ。どれもこれもキラキラと輝いている。
まあ、それを気づかせてくれたのは彼女なんだけどね。
そう思いながら僕は江見ちゃんの方を見る。
「ん?何?智樹?」
「いいや、何でもないよ」
「?変な智樹」
するとラフィーは ふむとその様子を眺めながら口を開く。
「昔の主の側に居る者と言えば、側近の女魔族に助けた親子、それに六天魔王だったのぅ...」
「ああ、そう言えば居たね...まあ3人程もう二度と会いたくない奴が居るけどね......」
「...あ奴等か?まあ仕出かした事を考えれば、主がそう言うのも仕方ないの」
ラフィーも表情を歪めながら僕の言葉に同意する。
今の僕なら何であんな奴らを仲間に引き入れたんだと疑問に思う。
いかに人手不足だったとは言え、あんな......いや今あいつ等の事は考えまい、気分が悪くなる。
そう、特にアイツの事を思い出すだけで......
「魔王様、この世を支配する者に必要なのは<絶対的恐怖支配>私はその手伝いをしているだけですよ。フォホッホッホッ」
......思い出すだけで......
僕は拳を握り締め、歯を強く噛み締めながら心の中に底に有るドス黒い物がこんこんと湧き出てくるような錯覚に陥っていた。
「主!」
「智樹!」
僕に呼びかける2人の声で、僕の意識は戻ってきた。まだ少し心の中にドス黒い物がわだかまっているが...それを江見ちゃんや皆の前でこれ以上晒す事は出来ない。
「智樹どうしたの?物凄く怖い顔してたよ?」
「...やはり主にとって許されざる者達なのじゃなあやつらは」
「......智樹の表情を見る限り友達って感じじゃなさそうだな、敵か?」
「信也君、あまり聞いちゃダメだよ。いい話じゃなさそうだし」
皆がそう言って心配してくれる。
だが軽く話すだけならまだいいか、それならまだ我慢できる。
「ああ、ご免ね皆ちょっと気に食わない奴を思い出したんでね。昔の話だよ」
何3000年も昔の事で怒ってるんだ僕は、それにもうあいつ等と僕は関係無い。
そう思っていると、ラフィーが口を挟んできた。
「主よ、余計なお世話であろうが報告しておくぞ。側近はあの時亡くなったが他の者は今も生きておる。そして今あ奴らは今は<五覇将王>と呼ばれておるぞ。まあ一人は魔道研究者じゃがの」
あの3人が王だって?笑わせてくれるよ。
「ねぇええと...ラフィーさん?差し支えなければ智樹がその人達に対してこんなに怒おってるのか聞きたいんだけど?」
そう言って皐月がラフィーに聞いてくる。
ラフィーは僕に目配せした後、皆に話し出す。
「あ奴らはな...主が<破滅の魔王>と呼ばれるようになった出来事を起こした者達じゃ」
そう、あいつ等は僕の名前を使い好き勝手にしてくれた。
そのお陰で僕は多くの人々から<破滅の魔王>と呼ばれるようになったんだ。
高い知能と知識を持つが、自分の研究と知識欲の為ならどんな犠牲も躊躇わない。
更に骨でガリガリな手足と手の平に目玉、大きな禿げ上がった頭に両目と額に複眼、更に普段ゆったりとしたローブを着ている胴体には生きたまま体と知識を取り込んだので人々の苦悶のが呪いのように張り付いている。
そして装備は杖。
<永遠の知識の探求者、ガルザン>
自分の美しさの為ならどんな事もする。
浅黒い肌と均整の取れたプロポーション、ウェーブのかかった太股まである赤い髪、獲物を狙うかのような瞳に頭には角ではなく蝙蝠の羽ようなものが付いている。
好んで使うのは鞭や短剣
<死へ誘う者、ディーア>
自らの快楽の為に人や自らを傷つけようとする快楽殺人主義者。
グレーの長髪に頭に付いた二本の角、普段から身に付けているぶかぶかの道化師の衣服とマスク、そして狂気をはらんだ瞳。
好んで使う武器は無いが、さして言えば何でも使う。
<狂気の道化師ドラグル>
こいつ等のお陰で僕の悪名は高まった。
けれども魔界の統一も同時に成ったのだけれども............
皮肉な話だ。
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