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一般教養的には猫は人間にはならない。

本編はここからです。よろしく

 昔々、そう、それは約50000秒ほども前の学校から帰宅した俺と猫の会話である。会話と言うとおかしいが会話は会話だ。

「何でお前はそんなに息がくせーんだろうな」

ダリィのお腹を持ち、上に上げ、ちょっと笑いながら語り掛ける。

手からダリィが離れ目を合わせてくる。

その直後だった、変わったのは。

どこからともなく光が出始め俺の視界は奪われた。

「うおっ!?」

「そんなこと、女の子に言わないで」

それが日本語としての第一声で俺との初めての対面で、俺とダリィの人生の変化でもあった。

夢でも見ているだろうか、喋ったことに対することにおいても驚きだが、いやはや、もともと猫かどうか疑っていたがしかしよもや擬人化するとは。

少々混乱して言葉がおかしいはそれほどの衝撃であったからだ。

ダリィが人間に…いや、猫の耳はある、かわゆい…じゃなくて…

黒色の髪の毛でショートカット、耳がチョコンと出ている、目はやはり怠そうにジト目だが猫の時より大分愛想がある、もともとあって気づけていなかったのかもしれない。

そして、一番大事なこと猫から人間?になったのだ、猫は服を着るだろうか、いや着ない。

つまりィ!裸だ!!

いやーん、ラッキースケベ!見るに胸はCくらい、全体的なバランス良しっ!

おっぱいって夢が詰まってるよな。見るなと言われても見てしまうのが高校生であり、なおかつ裸を恥ずかしいと思ってないのだ、ならば尚更だろう?

なぁ世界中の男子諸君。あえて疑問符はおかない、答えなどビーフオアビーフの答えのようなものなのだから。

「にしても……疲れてるな、俺、お休みなさい、いい夢でしたよ」

ベッドに頭から突っ込み目を閉じる。

いろいろ湧いている考えはするもののリアルとは思えない。寝れば何とかなると安直だがそれくらいしか思えなかった。

「待って、わざわざこの体になったんだから言いたいこと言う」

なんかすごく怠い感じ伝わるな、いや、これは多分棒読みの分野だ。

「でもよかったんだっけ?出てきて…ねぇいいの?」

「俺に聞くのか!?」

頭を上げ突っ込みを反射的にしてしまう。

「起きたね、おはよう」

「んん……なんか猫の時と感じが違う」

「気づかなかっただけ」

「ってか…なんか着ろよ、恥ずかしいだろ」

「顔が赤い…どうしたの?」

ダリィは俺に可愛らしい顔を近づけ訪ねてくる。

「お前が服着ないからだよ!」

「何もないもの」

「ああもう、待ってろ!」

自分の服が入っているタンスから白が基調のシャツと短パンを取りダリィに渡す。

「ほら、ダリィ、速く着ろ」

「着なければならないの?」

「そうだよ、常識考えればわかるだろ」

「そう、じゃあ着る」

「向こう向いてるから早くしろよ」

「うん……着れない」

「は!?」

キマシタ!

「冗談、変なこと考えた?」

「ま、まさか、俺が!」

「鏡見たほうがいい、あとティッシュで鼻を押さえる」

「う、うるせー!速く服着ろ!」

少しして、

「着た…」

その声を聞くとともに俺は、振り向いたがいやはや女の子がシャツ一枚と短パンとは、予想以上に破壊力が高かった、そして尻尾をふりふり……尻尾?

「お前尻尾もあるの?」

「猫だから」

「そーなの」

あー、やっぱ俺疲れてる、うん。

「ん?どうしたの?」

「な、なにも!ところでさっきは流したけど何でお前は人になってんだよ!」

「何となく」

「これはまたふわふわしてますな」

「うん」

「しかし猫って皆そんなこと出来るのか!?」

「出来るのもいるし出来ないのもいる」

「ふーん」

まぁこんなこと聞くが夢オチだろう。

「あ、あと、はー!」

「はっ!?」

ダリィが顔を近づけ息を吹きかけてくる。

「私の息は臭くない!」

ダリィから少し怒っている感じが伝わる。

「き、気にしてたのか」

心臓がどきどきしている、いきなり……元は猫だが女の子が顔を近づけて息を吹きかけてきたのだ、無理もない。

「当たり前」

「すまない…な」

起きたらダリィに謝ろう。

「臭かった?」

「い、いや全然」

猫の時に嗅いだのは欠伸であって息ではない、息が100%臭くないというわけではないが、このダリィの息はすごく普通、ごく普通だった。

「良かった……」

そういうとダリィはいきなり抱き着いて背中に腕を回した。

「ふぐおっ!!」

これはヤバい!ドキドキして心臓が……あっ。

視界がブラックアウトするまでに数秒とかからなかった。童貞の悲しいところさ、ふっ。

「あれ……気絶してる」



「――ん……朝か…なんだ夢か、やっぱり…」

目が覚めいつもの天井だと認識する。

「すーすー…ん……すー…」

横には夢に出てきたダリィ(女の子ver.)が可愛らしく膝をまげ丸くなり寝ている。

夢じゃねぇえええええ!!なんですーすーとか言ってんの?なめてんの?死ぬの?

ヤバイヤバイ……あ、まてよー解決した。

「これも夢だ、続き!はんはん、辻褄が合う」

「ん…んあ?おはよう」

「おはよう」

もう余裕だ、夢なのだから満喫しよう!

「ダリィ!何を寝ている!昨日言いたいことがあったんだろう?日頃の感謝か?んん!」

「先に寝たのはあなた」

「夢だから知らない!はんっ!」

「夢じゃない」

「おいおい、今頃リアルのダリィはそこらへんでグラビトンにかかって地面に吸い付けられているさ」

指を椅子の上に指しながら言う。

……あれ?いない…

「夢じゃない」

「頑なに譲らないな」

「まわりを見て、ここまでリアルなのは現実」

「はぁ…まだいうか…確かに周りはリアルだけどさぁ!この時計見ろよ!もう9時だ!これがリアルじゃない証拠だね、これがリアルだったら俺遅刻になるしなははは!」

ベッドの近くにある時計を取って勝ち誇る。

「なら急いだ方がいい」

「……急いだほうがいいって…だから夢だろ」

「行くだけ行けばいい、夢ならラッキー」

「はぁ、まだ信じたりしてねぇから!うん、まぁお前を説得するためにな」

「好きにすればいい」

だらだらと支度を始める。

「んじゃあ行ってくる」

「いってらっしゃい」

玄関を出る時に行ってらっしゃいと言われたのは何年ぶりだろうか、夢だけど嬉しかった。

家を出た時の時刻は10時。

家から学校までは20分だが…

「夢なんだからワープできるだろ!」

目をつぶり開けるも同じアパートの自宅の玄関の前。

「ナイスな機能はないのか…まぁいい」

一般人からみたらちょっと外れている馬鹿に見えるだろう。

家から学校までは徒歩で歩いていく、道路に出て歩道橋、細い路地を通り過ぎているところで認めたくない事実が溢れ出し、校門についたときにはそれは確実になっていた。

「これ…リアルだ……ほぉぉぉおお!!」

絶望に打ちひしがれる、ここまでの余裕の態度は消えた。

「ってことは……ダリィも本物……はは」


「――遅いっ!!連絡もなしに何をしていた!」

昼休み担任教師の嵐山先生から呼び出され説教中である、ちなみに学校に着いた後は次の授業の準備と名目上なっている10分間のお休みタイムに教室へ侵入した。

――こちら吹雪、教室への潜入は完了だ!次の指令をくれ!

――あ、一番合戦君、遅かったねぇ、寝坊?

――ん、ああ、まぁ…ね。

リアルと夢の区別がつきませんでしたとか死んでも言えねぇ。

「寝坊です…」

「お前、自分の名前言ってみろ」

「自己紹介がまだでしたね、僕は一番合戦吹雪(いちまかせふぶき)です、さわやか系イケメン、スポーツ万能、成績もクラストップレベル、やらせてみれば一番合戦!そんな僕!」

「まだ寝ぼけてるようだな」

「いやいやははは,照れますなぁ」

「ふざけるな!全く……寝坊でも連絡をいれるだろが」

少しキレ気味になってびびった。

「はい…取り付く島もございません」

「お前…ちゃんと意味の復習を大事にしろよ」

「まさか、先生に復讐などするわけがありません、悪いのは自分です」

だが俺もこの程度で引き下がるわけにはいかないっ!

くっくっく、こういう時は適当に話を噛み合わせてなければ終わるんだよ!

「そうか…お前は私相手に話をさっさと済まそうと心がけているのか、あ?」

「えっ?いやそんな」

「ふふふ、放課後残っとけ、おめでとう、美人教師と放課後二人きりであんな事(study)やこんな事(learn)…ねぇえ?」

「ははは、美人、先生の方が復習すべきですね」

「は?ここは義務じゃないんだぞ?」

笑いながら怒るのは、なかなかどうして怖い。

「それに若さが……今年でさんじゅ」

「は?お前頭から上亡くしたいのか?それに私はまだ22だけど?」

「それはちょっと無理があ」

「は!?お前嘘が上手いんだなぁ、私は下手だから今度教えてよ、ああそういえば今日がある、みっちりと!サービス残業が!」

「しかしですね、学校というホワイト企業においてサビ残などという鬼畜プレイは」

「文句あんのか?遅れてきたくせして、お前は平社員であって社長じゃないんだよ!」

「ごもっともで」

「で、くるよなぁ?選択権なんてないぞ」

話がずらせない…ここまで強敵とは!

殺気と呼ばれるであろう刃物が俺の身の突き刺さり続ける、ここで来たくないなんて言えば……。

「学畜であるわたくし!い、行かせていただきます」

「よろしい」

この先生は嵐山楓(あらしやまかえで)背は170あるだろうというところで女性としては大きいほうであり黒のロングの髪を一つに結んでいる、美人と言われればそうだなと思えるほどだがこの教師の担任生徒の一人として認めたくないという変なプライドがある、しかも男勝り……まぁこの先生は可愛いというより美しいに分類されるだろう、口が裂けても言わないが。

――放課後、嵐山先生から罰としてプリント15枚をやらされた、きつかった、死にたくなった、学校…爆発しろ…!!

「ただいまー」

「お腹すいた」

クタクタで家に帰ってきたご主人に対する最初の発言は自分の第一次的欲求を満たすためのものだった、学校から帰ってきても居るというならこいつが本物なのはもう認めざるおえない。

「普通お帰りだろが、キャットフードは?」

「あんなもの人に食べさせるの?」

「お前昨日食ってたじゃねぇか」

「それは猫の時に、今は無理」

「マジか」

「うん」

「じゃあ飯か、何がいい?」

「カニみそいり五目あんかけチャーハン、作り方を指南するとカニみそを入れるのは最後で五目とご飯の比率は21:79。

あんかけは隠し味と言うことでケチャップを適量入れる、入れる時は円を描いていれること。

あとご飯は炒めに入る前に少し常温に当てておくこと、ここで炒める時に焦がす部分を作ることも忘れないで。

そうすればカニみそ五目あんかけご飯の素晴らしいコントラストが出来上がり総理大臣もスタンディングオベーションする」

うわぁうっぜぇ!

「てか、鯖の煮つけとかじゃねぇのか?」

「カニみそいり五目あんかけチャーハン」

「お前なんかいろいろ満喫してるんだな」

「うん」

ダリィの後ろを見ると漫画や雑誌、果てはゲームまでバラバラに撒かれていた。

「しかしそのよく分からん知識はどこから……」

「吹雪が出て行って30分くらいテレビ見て」

「なら自分で作ればよかったのに」

「今さっき起きた」

「寝てたのかよ」

「仕事だから」

いいやがったこの猫!

「お腹すいた、あくしろ」

おい…あくしろ…だと!?どこで勉強してる貴様…

「速く」

「ヘイヘイ、作ってみましょうね」

気のせいか。

「うん、楽しみにしてる」

数十分のキッチン戦線で始めて作るカニみそ入り五目あんかけチャーハンの元となる者たちとの格闘を経て何とか形にすることが出来た。

「どうぞ」

「頂きます、はう」

「どうだ?」

「うーん、おいしい…よ?」

「疑問文をつけるな、疑問文を!」

「多分美味しいけどケチャップはいらなかった」

「隠し味なんだろ?」

「私が勝手に言っただけ」

「何で作ったことも食ったこともないのにアレンジ加えようとするんだよ!」

「マシュマロの柔らかさに免じて」

「マシュマロ?なんでいきなりマシュマロ何だよ?」

「食べたい」

「は?」

「マシュマロ食べたい」

「そろそろめんどいぞ」

「マシュマロ…」

「分かった分かった、明日買ってくるから」

「流石の吹雪」

「意味が分からん」

晩飯も食べ終え、風呂に入った後リラックスして漫画を読んでいると、

「もう寝る」

「え?」

「もう寝る」

「う、うん」

ゴクリと唾が喉を通る、邪なことなんか考えてないぞ!

「電気消して」

「ちょい待て」

「なに?」

「お前はどこで寝る?」

「いつものようにベッドの上で」

「俺の?」

「それしかない」

「待て待て待て待てぇ!」

「眠い、速く」

「いやいや、待てよ」

「もう」

そういうと昨日と同じようにいきなり抱き着いてきた、ふわっと意識が飛ぶ。

「え……」

「お休み、吹雪」

遠のく声のなかで俺は眠りについた……眠り?

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