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―長ったらしく述べてみる―

初めてですのでお手柔らかにお願いします

 突然だが、俺の家に住んでいる猫ダリィは真っ黒な毛並みの猫で外国人が見たら怖がるかもしれない。

生まれて少しして親が友人から貰いそれ以来、俺の家で生を満喫している。

何故ダリィと言う名前かという理由は貰った当時からまぶたが少し落ちていて眠そうでもあり怠そうでもあるからだ。詰まる所目がジトッとしている。

そもそも、見た目だけそうならばいいのだが、いかんせん、行動が酷い…キャットフードを食べている時にお皿に中に顔から突っ込みンゴ、と寝言をいいながら爆睡するし、ベランダに出る窓の前で鳴くためベランダに出たいのだろうと思い窓を開けても出ていかない、閉めるとまた鳴く、むかつく。

初見だと舐め腐っている風にしか見えない。いや、初見でなくとも、か。

飼っていない人には分からないだろうが猫というには人に慣れれば慣れるほどだらしなくなる、というと、ぐでっとするというような可愛らしいものではなく一見死んでいるのだ。手をぐぅーと伸ばし脚は筋肉が無くなっているのか、重力に逆らうことを忘れているのか分からないが地面に食い込みそうなほど抵抗がない。もしかしたらそこ一帯だけグラビトンでも食らっているのかもしれない。

背筋は猫のくせに伸びている。生存を確認出来るのは尻尾、尻尾だけは何とか重力に負けないようにピクピクと動いている、今にも負けそうなもやしなのだが……

ダリィはそれプラスアルファで舌の先が少し、申し訳なさそうに出ている、そしてブルルルルルと空振動を起こす、震度4はあるだろう。そこは少しだけ可愛らしい、アホに見えるが。

一般的に猫は一年中、障子の紙を破いたりするが悪びれる様子もない、けどこれは猫を飼う以上仕方のないことだ。まぁ俺の家にはダリィ様が破るような障子などない。その代わりにソファが死ぬがな。きっとぐわぁあああああ!!!!ちょっ!お前!そこはぁあああああ綿がああああ!!と言うような感じで叫んでいるだろう。狩る側とは常に理不尽なものだ。

夏などはもってのほかだ、学校から帰って来ると速くクーラーつけろよこの能無しが!と言うような目で見てくる。半開きだが。

まぁこれは自分も熱いので構わない。

しかし、身も凍るような恐ろしさを堪能するのはのはこれからだ、気を引き締める事をお勧めする。

今時のクーラーは風量や方向、点けておく時間、果てには人間がいるかどうかで自動でいろいろな調整をするほどだ。

人間よりよっぽど頭がいい、お前よりもな。

だがそれよりも頭のいい生物がいる、そう、猫だ。

猫はクーラーのリモコンを人間が触るとああ涼しくなるのかと理解し、蛇のように口を大きく開け欠伸をする、そんなところを見たならば猫の欠伸の匂いを嗅いでみたいと思う事があるだろう、かくいう俺もだ。

欠伸をした瞬間に鼻を近づける、ピンク色の口内から出てくる生暖かい息、それを吸い込む。大半の人間は自分の好奇心を呪うだろう。クッサイ!!匂いの地獄絵図である。容赦なく人間の嗅覚を破壊してくる、まさに匂うバーサーカーだ。勘違いするな、仁王バーサーカーなどというかっこいいものではない。意味はよく分からないが。

欠伸を過ぎると今度はおもむろに立ち上がり背を伸ばす、尻尾も引かれるようにピンっと斜め上を向く、この時後ろからはあまり見たくないものだ。

準備運動が終わると、のそのそと移動を始める。

まず、部屋をやはりのそのそと周回する、ところどころでピタッ!と固まるがまた動き出す。周回を終えクーラーを眺めた後、またのそりと動き出す今回のクーラーはたまたま椅子の上に一番風が来るらしい、椅子の下まで移動すると、唯一と言っていいかもしれないが猫らしくジャンプを繰り出す。そこで風が来ることを確認すると計画どうり、と言わん顔でこちらを見る。俺が座る必要はないのだけれど、ダリィどかして人間様の威厳を見せつけてやりたくもなるがそこまで自分が腐っていないと思いたい。

椅子の上でまたまた欠伸をし、丸くなりながらお休みを始める、猫とは寝ることが職業なのだろうか?田舎に住む知り合いの猫、ワイルドハンター又吉は夏と春にはネズミを一日3匹は取って見せに来るというし、飛ぶのが速い蝉すらも鍛え上げられた爪に7年間もの時間を虐げられるという…都市伝説だろう、いや田舎伝説か。ダリィ様はキャットフードとの戦闘で毎日ご苦労なのだ、無理強いは良くない。そういえば、蝉は実際7年も土の中にいないらしい、1年の蝉もいれば7年の蝉もいるらしい、これ豆な。

しかし、夏だけを例に挙げてみたものの、どの季節でも同様である、すんばらしく楽に堕落し生き続けるための方法を模索する、猫の性ともいえよう。

そういえば…一番酷いポジショニングを飾ったのは、確か冬だったはず。

場所は俺のノートPCの上にジャンプして飛び乗った時だった。ブラウン管テレビの上が冬の猫のレギュラーポジションだが今時ブラウン管など中古屋でもあまり見かけない。

ダリィのせいで俺のHDDの二次画像が消えたりしてたらこいつは段ボールに詰めて拾わないでください、息臭いです。と書いて電柱の下で一生を終わらせてやると思った、この時だけは本気だった、ああ。

とまぁここまでの話は家にいるダリィの事だが猫を既に飼っているのならば同意せざるおえないことばかりだろう、違うなら俺の家の猫と変えてください。

などと言っても今や俺はこの猫と二人暮らしだ、大事にしたい。

何だかんだ言いつつも、俺たちの生活は平凡に続いていた、あの日までは――


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