ダイジェスト版『三ヶ月六日十六時間二十分三十九秒』
~ はしがき ~
意欲作、そして問題作として全世界から注目を浴びるはずだった書評集『からっぽのポォトレイト』だが、現実は案外難しいもので全く話題にもならず、図らずも絶版になっていたことは読者諸兄には既知のことであったと思われる。しかしこのたび大勢の声なき求めの声、表明されぬ意志に強く後押しされ、こうして復刊が決まったことについては大変喜ばしいことである。
また、復刊に当たり何らかの特典を付けるべきではないかと編者より指摘された。侃々諤々の議論の末に複数の企画者に強く推薦されたのみならず、引用のみではその本質に近づけないのではないかとする無言の感想を読み取った結果、コーダ・マクスウェル著『三ヶ月六日十六時間二十分三十九秒』の抄訳を増補することで決着を見た。これは編者による執念の結実と言えよう。本来三百ページ近くある『三ヶ月六日十六時間二十分三十九秒』ではあるが、六分の一ほどの分量、すなわち短編として通用する部分およそ五十ページ分を丸々掲載することの許可を得られたことは僥倖であった。
では、この先より始まる本文を思うがままに楽しんでいただければ……編者としては幸いである。
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