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『からっぽのポォトレイト』序文

 この書評集『からっぽのポォトレイト』の原本は、かの有名なバベルの図書館に所蔵されている、とされる。無論、バベルの図書館へと辿り着くことが出来たとの証明がなされたことはなく、訳者が偶然によって手に入れた版(題字が金砂と銀糸によって彩られており、手触りの良い暗い色の表紙には螺鈿による星が鏤められている。)には正しい奥付もなければ、気取った前書きもなく、くだらぬ能書きばかりが書いてあるとのことで、あるいはよく出来た偽書かもしれないと疑われたこともある。また、頁には紙魚による虫食いと、空白を演出された装幀とが混在しており、完全な翻訳は不可能と判断され、抄訳とせざるを得なかったことを重ねて謝罪させていただく。

 もちろん、書評であるからには言及される作品の出版社等も詳細に記載すべきなのは重々承知しているものの、訳者がリスト化されたうち一冊として確認出来なかったことを怠慢とは思わないで欲しい。賢明なる読者諸氏におかれては、この点を以て架空の書評と断ずるのは当然の権利ではあるのだが、今一度上記を読み返していただきたい。かつてボルヘスは『バベルの図書館』には世界に存在するすべての書物が収められていると書いた。ならば未来に刊行される書物、あるいは刊行されなかった本、刊行される予定すら無かった書籍もまた、そこには含まれていると考えるべきである。ただし、その事実がこの『からっぽのポォトレイト』なる書評集の実在、あるいはこの訳書の正当性、ついでに作者並びに訳者の正気を保証するわけではないことは承知していただきたい。

 また、この日本語訳は三年前の時点ですでに一度行われたものであるが、今回の再掲載に際しいくらかの加筆や修正が行われたこと、最適化を狙った部分及び何らかの附記、そして新発見の頁が収録されている点にご留意願う。文章あるいは表現において拙い部分があるとすれば、それは訳者の能力の限界である。

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