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1話

ダンジョンとは地下迷宮だったり

天まで届きそうな巨大な塔だったりする

ダンジョンの未到達を探索する者

世界の未開を冒険する者

呼び方の違いはあれど未知を探索する事に違いはないとされる


ダンジョンは宝や魔獣が一定の時間で沸く

生き物がダンジョンで死ねば養分となる為

放置される事が多い


最後の階層にボスがいるので、倒すとクリアとなり10日程でダンジョンは消えるが、世界のどこかに新たなダンジョンが生まれる

1階にある程度のルールが刻んだ石碑があり、ダンジョン内はある一定のルールがある

それさえ守ればクリアできないような理不尽なトラップを与えられる事もない

ルールを守らなければダンジョン側もルール無用、理不尽な初見殺しやトラップ部屋でそのパーティを襲い出す

等々の法則を持ったものがダンジョンである



地下ダンジョンで成り立っている都市

そのひとつであるアルデア

ダンジョンに入る方法はギルドに登録し金銭を払い

入る時にいつ頃出る予定、メンバー、何階まで潜る又は登る予定等を書いた用紙を残す

出る時に用紙に書いたメンバーが揃っているか

何階まで行ったか等の報告をする

救援等が必要な場合は管理をしているギルドから救援隊が組織されるが難易度によって料金が異なる


1階にダンジョンから記載されているが

一度に入れる人数はダンジョンによって違う

アルデアの地下ダンジョンは最大8名までとされ

それ以上の人数でも入れるのだが

自力で出てこれた者はいないが

救助された者はいる


バラバラにダンジョンに入って

合流した場合もある一定間隔にある休憩所以外では規定人数を超えた一つのパーティーとみなされる

他のダンジョンも細かなルールの差異はあれども

守らなければどうなるかを無法、無謀な先人達の犠牲よって、ダンジョンがいかに無慈悲かを知らされた


土足で踏み荒らすもの達に恵みをもたらしてくれる慈悲深きダンジョンも決まり事すら守れぬただの盗人には怒りにも似た苛烈な処置を淡々と課してくる

盗人を救助する者を勇気ある者とみなすか

同列に盗人とみなすかはその者達の行動次第とされている

ルールさえ守ればダンジョンは攻略できるものであり

宝や珍しい魔獣の素材、鉱石等が手に入る恵みの場所と言えた


ギルドにはダンジョンを管理する目的として結成されたチームがある

これは特別珍しいわけでもなく、どこのダンジョンでもある程度の管理チームがいる


ある程度の鉱物や特産物の採取をしてダンジョンの変化がないか

ダンジョン内で動けなくなった人を見つけた時には救助したりもするが、ルール違反者は見捨てる決まりである

もし、違反者を助けた場合はダンジョンから違反者と同等の扱いをされる為、相応のペナルティをダンジョンから受ける

探索を生業とする者達は生きる為に見捨てる

当然の選択と言えた



ダンジョン内で鼻歌が小さく響く

大きなバックを背負い歩くオーク族の腰にランタンと共にある石から鼻歌が響いていた


「ええのう‥‥ラクじゃ」


オーク族の背負うバックの上に座る小人族がキセルをふかしながらカッカッと笑う


「サクさん、いい加減にしないとおびき寄ますよ」


バックを背負ったオーク族は小人族、サクに対して言うと


「タルはオーク族なのに肝っ玉が小さいな」


サクにそう言われるとオーク族のタルと呼ばれた男は溜息をつきながら言う


「いくら魔除けの歌があるとはいえ、匂いで‥ほら、お願いしますよ」


2人の前の暗闇からウルフが2頭現れる


「お前でもやれるじゃろうが、まぁ仕方ない」


サクがそう言いながら、キセルを咥えると煙の上がっていた部分に人の頭くらいの大きさの炎の玉が2つ出来上がる


「ほい、いけ」


サクのそんな言葉で炎の玉はフラフラとウルフの方に向かっていき、ウルフが回避する行動をとると速度を一気に上げてウルフに当たり


「ギャッン」


2体のウルフに火がつき、すぐにウルフを焼き尽くす


「ああ、もったいない」


タルが残念そうに焼けたウルフを見て言うと


「いいじゃろう、ダンジョンにとっては」

「目的も違いますし、良いですけどね」

「そういう所も含めて細かいヤツ」


2人は喋りながら

燃え尽きたウルフの横を歩いて奥へと進んでいく

2人が立ち去ってしばらくするとウルフは土にゆっくりと取り込まれていった


タルが行き止まりで背負ったバックを下す

バックの上に座っていたサクも降りて行き止まりの壁の前に来ると


「ここにあるのか?」

「ええ、通行料はいりますけど」


タルが壁の前に胸ポケットから出した人差し指の第一関節くらい大きさの紫色の石を2つ置き、片膝をついて手を組んで頭を少し下げて祈るような姿勢をとると紫色の石は土に飲み込まれていく

突き当たりの壁がゆっくりと崩れていって

人が並んで2人は通れそうな扉が現れる


「よくこんなんを見つけれたもんよ」


サクが驚きながら扉をペタペタと触る


「モクバ隊長が優秀すぎるんですよ」

「それだけヤツの下で働くお前も大したもんじゃよ」

「たまたまです」

「ここのトラップはお前さんしか対処できんのだろ」

「初見殺し‥‥ここに送られる探索者は助ける事はかなり難しいですよ」

「巻き込まれると厄介か」


そんな事を話しながらタルはバックから布を取り出して、同じく取り出した瓶の液体を布に塗っていく

サクはバックに手を突っ込んで小さな瓶を何個かと串を何本か取り出す


「タルは食べるのか?」

「オーク族は悪食が多いですから」

「お前は特殊な部類だな」


タルが液体の塗られた布をサクに渡す

サクは布を口に当てて何度か深呼吸をする


「中では浅く呼吸する事をお願いしますよ」

「わかっとる

やられたくはないからな」


タルが扉を引いて開けると中は明るくなっており一面キノコの広場に出る


「壁に沿って歩いて1時間くらいで

一周出来る円形の広場ですよ」


扉が閉まらない様にバックを置いて2人はキノコの広場へと入っていく

キノコの広場には膝下くらいのキノコが群生していた

広場自体は中央に向かって盛り上がっており

1番高い場所には大きいキノコが1本立っている


「アレには近づかない方がよいわな」


サクは小声でタルに尋ねると


「ええ、アレはここの主みたいですが

こっちには無反応です」


タルの答えにサクは頷きながら


「おそらくココへ招かれた者に反応する様になっておるな」

「反応している所は見たくないですけどね」

「まったくな」


軽口を叩きながら

サクは腰にあるナイフを取り鞘を外して

タルに尋ねる


「何本くらいなら良い?」

「見つけたのは6種類ですので、そのぐらいで」

「1本ずつと新種が無いか調べるか」

「そこにある‥」

「だいたいわかる」


サクはタルの言葉の最中に何本かのキノコをサッと採取していく


「さすがです」

「一応、罠の専門家で食っとるからな」


サクは取ったキノコの一部を瓶に詰めながら


「アレにはどこまで近づいた?」


タルは少し沈黙して


「手の届く距離まで」

「怖いもん知らずなヤツだな」


サクは作業の手を止めずにカッカッと笑い


「ここにいる予定は2日だったからな

明日にでも近づいてみるか」

「新種が見つかれば良いんですがね」


サクは瓶に入れたキノコを見ながら


「コレですら、かなり危ない種類の胞子を持っとるから新種が出たら封鎖も考えんとな」


タルはサクが見ている瓶を見ながら


「焼いて塩だけでうまいんですよ、ソレ」


サクはゆっくりとタルの方を向いて


「どんな食い方でも食ったら何日かは動けんようになるわ

お前の胃袋はどうなっとる」

2人は静かに笑い合う

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