表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『もふもふカフェへようこそ ~癒しの足跡をあなたに~』  作者: 乾為天女


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

21/22

エピローグ『もふもふが繋ぐ未来のその先』

 春が過ぎ、もふもふカフェには新緑が映える季節が訪れた。カフェの入り口には鮮やかな花々が咲き誇り、動物たちも元気に駆け回っている。クラウドファンディングでの支援を受け、カフェは少しだけ改装され、より快適に過ごせる空間へと生まれ変わっていた。

 将之は新しい看板を取り付けながら、ルカが足元でじゃれてくるのを見て微笑む。

「どうだ、ルカ?新しい看板、いい感じだろ?」

 ルカは尻尾を振りながら、まるで同意するかのように吠えた。周囲には地域の人々が集まり、看板のお披露目を喜んでいる。

「可愛い看板ね!動物たちが描かれてて素敵だわ。」

「将之さんがデザインしてくれたんです。」美優香が誇らしげに紹介すると、周囲から感嘆の声が上がる。

「へぇ、将之さんって意外と芸術センスあるじゃない!」味夏が感心しながら写真を撮っている。

「いや、そんな大したことじゃないですよ。ただ、カフェの雰囲気に合うようにって思っただけで。」

「でも、本当に素敵です。これでまたお客さんが増えるかもしれませんね。」佑佳が冷静に評価し、美優香もうなずいた。

「お客さんが来てくれるのも大事だけど、この看板が地域の一部になればいいなって思ってます。」

 その言葉に、涼楓が珍しく口を開いた。

「動物たちが安心できる場所であることが一番。それを大事にしているなら、きっと大丈夫。」

 その冷静な励ましに、将之は少し照れながらも嬉しそうに笑った。

 ある日、カフェに見覚えのある顔が訪れた。動物介護士の制服を着た幸華が、少し緊張した面持ちで立っている。

「幸華さん!おかえりなさい!」

「ただいまです。少し休暇をもらって、どうしてもカフェに来たくて。」

 幸華が笑顔を見せると、スタッフ全員が温かく迎え入れた。ルカも尻尾を振りながら駆け寄り、幸華の膝に顔をうずめた。

「ルカ、元気そうで良かった……」

「動物介護士の仕事はどうですか?」将之が尋ねると、幸華は少し誇らしげに言った。

「大変ですけど、やりがいがあります。動物たちが少しずつ元気になる姿を見ると、頑張って良かったって思います。」

「幸華らしいな。動物たちのために頑張ってるんだな。」広孝が感心しながら声をかける。

「それに、カフェで学んだことがすごく役に立ってるんです。ここでの経験がなかったら、今の私はいなかったと思います。」

 その言葉に、美優香が静かに微笑んだ。

「幸華がいてくれたから、カフェはずっと優しい空気で包まれていました。これからも、遠くから応援していますよ。」

「はい、また絶対に帰ってきます!」

 葵が感動して目を潤ませながら、幸華に尋ねた。

「また戻ってきたときは、一緒に働けたらいいですね。」

「それまでに、もっと成長しておきます!」

 久しぶりに集まったスタッフたちは、カフェが再び温かな雰囲気に包まれているのを感じていた。

 その夜、カフェが閉店し、スタッフたちは一息つきながら、動物たちと戯れていた。将之はふと、カウンター越しに美優香の姿を見つめる。

「美優香さん、カフェが続けられて本当に良かったですね。」

「はい。将之さんや皆が力を合わせてくれたおかげです。」

「俺、ここに来てから、たくさんのことを学びました。都会で感じていた孤独が、ここでは嘘みたいに消えていったんです。」

「それは、動物たちが繋いでくれた絆ですね。」

 将之は少し照れながらも、真剣に言葉を続けた。

「これからも、このカフェで一緒に頑張っていきたいです。美優香さんと、動物たちと……そして、仲間たちと一緒に。」

 美優香はその言葉に、少しだけ頬を赤らめて優しく微笑んだ。

「私も……これからも、将之さんと一緒にこの場所を守りたいです。」

 二人の距離が、少しだけ縮まった気がした。ルカがその間に割って入るように甘えてきて、二人は自然と笑い合った。

 春の夜風が心地よく、カフェの窓からは星空がきらめいている。動物たちは毛布にくるまり、穏やかな息遣いが聞こえる。

 もふもふカフェは、これからも人と動物が寄り添う場所であり続けるだろう。ここで育まれる小さな奇跡は、きっと未来へと繋がっていく。将之と美優香、そしてスタッフたちは、この特別な場所を守り続けるために、これからも笑顔で共に歩んでいく。

「これからも、よろしくお願いします。」

「はい、ずっと一緒に。」

 もふもふカフェは、今日も明日も、人と動物の優しさが溢れる場所として、静かに輝き続けていた。

(終)



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ