【SSコン:給料】 給料の使い方の個性
暑い夏の中、雨宮彩芽はウキウキしながら同期の愛美と一緒に帰っていた。理由は今日は給料日だったからだ。
嬉しながら話していると、愛美は彩芽に質問をした。
「ねぇねぇ彩芽は給料振り込まれたら何する?」
「えー、半分は家賃代とかに使うよ。それから明日少し遠出する」
「へぇ、どこにいくの?」
「特に決まっていないわ」
「何それー」
愛美は彩芽の話に笑った。
「そうゆう愛美はどうするのよ」
「貯金とあとは推しとかに貢ぐかな?」
「そう。貯金もいいわね」
彩芽は愛美の給料の使い方に関心をした。
愛美と別れ、彩芽はマンションの自宅に着き、鍵でドアを開けると鞄を投げてそのままベットの上に飛び込んだ。
「はぁー疲れた。そしてただいま私の家」
彩芽はベッドで仰向けになり、白い天井に向かって言った。
顔を洗い、風呂に入り終えるとテレビをつけると丁度お笑い番組が流されていた。
あまりお腹が空かないため、少しのおつまみとビールで済ました。
翌朝、彩芽は八時半に起き、朝ご飯を作って食べると服選びをし、メイクをして必要なものを確認をした。
「スマホ、財布と通帳確認おっけい。さーてと、まずは銀行だな」
彩芽はそういうと、扉を開けて外に出た。
銀行はここから約十分でつくものだ。残額を確認すると、ちゃんと振り込まれていた。
引き落とし、半分を家賃代にした。人通りのことをおえ、彩芽はどうしようかと考え込んだ。
(よし。これでおっけい。さーてと、どこに行こうかな? あっ、そうだ。久しぶりに横浜のカフェに行こう!)
彩芽はウキウキしながら電車にいき、横浜に向かった。
横浜に着くと、彩芽は背伸びをした。
「ふぅ、一人で来る横浜なんてなんか久しぶりだな」
彩芽はそういうと、そそくさと久しぶりに行くカフェに向かった。
中はいつもどりインテリヤになっており、おしゃれな空間と心を安らぐような曲が流れている。
窓際近くの椅子に座り、紅茶とデザートを頼んだ。
思わず下にいる人たちを眺めていた。
(このあとはどうしようか?)
まだお金は少しだけある。なるべくあまり多く使わないでいこうとすると誰かに声をかけられた。
「ねぇ、彩芽じゃない?」
顔を向けると、ツインテールでピンクの服を着た女性が立っていた。
誰だろうと思っていると、女性はすぐに自分のことを指差して言った。
「私だよ! 愛花だよ!」
「あぁ、って愛花!!」
愛花というのは、大学生時代の友人。社会人になって以来あまり会えていなかったため久々の再会だった。
「ここ座っていい?」
「うん! いいよ」
愛花は彩芽の目の前に座ると、店員に飲み物を頼んだ。
「そにれしても、変わったな」
彩芽は大学生時代とは程遠い格好をしていた。普段は落ち着いたような格好をしていたが、唇は薄ピンクのリップのようなものを塗っており、アイシャドウは少し濃いめの茶色にしていた。
「うん! 推しのためにも沢山可愛くなくっちゃって思ってね」
「推し? アイドルなの?」
彩芽はそういうと、愛花は違うと首を横に振っていった。
「ホストなんだけどね。それがもぉちょーカッよくてさ。もぉほとんど毎日行っているんだー」
「へぇ、ってほとんど毎日!!」
彩芽はそこまでホストのことを知らなかったが、ホストは相当なお金がかかることまでは知っていた。それをほとんど毎日通うことなんて相当なお金が掛かるはずだ。
「あんた。お金とかどうしているのよ」
「えっ? ほとんど昔溜めていたお金とかに使っているよ。半分の給料は生活費とかはちゃんとしているから大丈夫だよー」
「そう、ちなみに聞くけど、何のお仕事をしているの?」
「えっ。色々だよ。そこまで聞くのは禁止」
愛花はそう言いながら、届いた飲み物を飲んだ。
「そう、体を大事にしなさいね。あとお金も大事にね」
「ありがと。でも、これが私なりの給料の使い方なの。だから心配せんといて」
愛花はそう言っていたが、彩芽ではその使い道が少し危なく思っていた。
「彩芽はさ、どんな給料の使い方しているの?」
愛花はストローを回しながら彩芽に言った。
「えっ。私は半分家賃代で、もう半分は少し遊ぶお金とかで色々使っているよ」
彩芽の言葉に「へー」と愛花は言った。
「そうなんだ。まぁ人それぞれの使い道があるからね」
愛花は店員さんにデザートを頼んだ。
彩芽は愛花がいう使い道というものに少しだけ考えた。
それぞれの人は色々な使い方をしている。推しなどに貢いだり、美容、貯金や何かのために貯める人などがいる。時には派手に使い人が多いにいる。
「でもさ、なんか面白いよね」
「何が?」
愛花の言葉に彩芽は聞き返した。
「だって、それぞれの使い方があるし、人それぞれの面白いことに使う人だっているじゃん。給料を貰って、それをそれぞれの使い道をする人って何だか個性の一つだと思うんだよね」
「へぇ、私は特に何も感じないけど」
彩芽は頼んだミルクティーを飲んで言った。
「でも、狂った使い道もあるよね」
彩芽はふと思ったことを口にした。
「あぁ。まぁそれも一つの個性として入れちゃえば良いよ」
愛花は頼んだケーキにホークをさし、一口口の中に入れた。
「……個性か」
彩芽はミルクティーに入っている氷を見つめて言った。それを悟るかのように、入っている氷がカランと音を立てた。