元勇者トクロウ
キーンさん、酒場を営んでいるトクロウさん、そして唯一の同年代、クルミのところに今日は行くことにした。
「タケルさん早く行きましょう!」
ヒカリちゃんは手を掴み俺の事を急かす。
「分かったから一回手を離そうか、靴が履けないよ」
「イーヤーでーす」
彼女はもっと力を入れて手を握ってきた、とりあえず靴は履けたので繋いだまま外に出る事になった。
まず初めに酒場のトクロウさんに会いに行く事にした。
「トクロウさんってどんな人なんですか?」
「トクロウさんはね、昔冒険者でね凄い強かったらしいんだ、確かに今も良いカラダはしているけど本当にそんな人がこんな辺境に来るとは思えないんだよね」
「冒険者……」
ヒカリちゃんの手が急に冷たくなった。
「タケルさんは絶対に、ぜっーたいに居なくならないよね?そうだよね?私の事一人にしないよね?」
「もちろんだよ、ヒカリちゃんを一人には絶対にさせない、だから安心してね」
「分かった、タケルさんのこと信じるよ……
でも……もしも私の事を一人にしたら……私…自分が何するか分からないから………」
彼女の目からは光が消えていた、まるで深海を覗き込み、それに引きずり込まれるような感覚がした…
「着いたよ、ここがトクロウさんのお店だ!」
『S&M トクロウ最後の希望』
「タケルさん?ここは本当に酒場なんですか?」
「安心して、見た目と名前はおかしいけど中はしっかりしてるから」
その店の外観は村の中でも異様な雰囲気を放つ。
塗装は黒く、中は完全に見えない、普通の人が来たら完全にエロい店と勘違いするだろう。
「トクロウさーん、タケルでーすちょっと話があるんですけど……って何床で寝てるんですか…」
「お、おぉ…昨日は大盛り上がりしてしまって、店主である私も酒を飲んでしまったよ…」
「貴方お酒弱いんだから…今度から飲んじゃダメですよ!」
「ああ、肝に銘じておく……ところで君の後ろにいるその可愛い子はどうしたんだい?」
「この子はヒカリちゃん、森に一人でいるところを見つけて、俺のスキルの事もあるから一緒に暮らす事にしたんだ」
「あの……ヒカリです、よろしくおねがいします」
「君は礼儀正しいね、タケルといい君といいこの村はいい村だね、あんな街の奴らとは雲泥の差だ、あんなクソども早くくたばればいいんだけどね……
すまない…子供のいる前で口が悪すぎたな、最後のは忘れてくれ」
「……ところでトクロウさん、この村の周辺でもしも孤児が見つかったら俺に教えて欲しいんだけど、お願いしてもいいかな?」
「あぁ、勿論だとも……なんて君は優しいんだ、その優しさを街の人間に少し分けてやりたいぐらいだ
でもそんな事したら君の優しさが減ってしまうね、そんな事あってはならないよ……タケルはこのままでいるべきだ」
トクロウが自己完結をするとその時別の客が入ってきた、そのためタケルとヒカリは店を出る事にした、そしてキーンさんの元へと向かった。
ロクロウ=シュウタ
彼は元々有名な冒険者でしたが、人間のクズさを目の当たりにして、辺境へとやってきました、因みに顔はめちゃくちゃカッコいい、ハーレム系の主人公のような顔をしている。
タケルの事を気に入っている。