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序・昔語り

1597年、フィーユにて。

フィーユ人とマーシェン人の間に可愛らしい女の子が誕生した。母譲りの綺麗な翠色の瞳と父譲りの金髪。

その女の子はシェリーヌ・ヴィヨンと名付けられ、両親に可愛がられた。

しかし、ある時を境にその女の子の両親は仲が悪くなり、離別する。

母は12歳になったシェリーヌを連れて故郷であるマーシェンへと移った。

そして、それからたった1年後には両国の国境にある魔晶窟を巡って建国後最悪の争いと言われ、長年に渡って続いたフィーユ=マーシェン戦が始まった。


年老いた祖父は、まるで童話を語って聞かせるかのようにゆっくりとした口調で話し始めた。


「その頃の私はとても愚かで力が全てだと思い込んでいた。マーシェンに比べて魔術の発達したこちらが圧倒的有利、勝者だと思い込んでいた」


祖父へフィーユ=マーシェン戦の話をするのはタブーと言われていたのに、何故今このタイミングで僕に話すのだろうか。

痛みを堪えるかのように唇を噛み締めながら言葉を紡ぐのだろうか。

そっと祖母を見やると頷き、聞いてやるように目で訴えられた。

祖父は目を瞑り、手を広げてどこかの学校を映し出した。


「ここは……」


「ここはマーシェン魔術校。彼女と再会を果たした場所とも、決別した場所とも、選択を誤った場所とも言う」


「僕が……」


「来週から留学する場所でもある」


祖父はそう言って手を握りしめた。同時に魔術校の幻影はふっと消える。


「なんでいきなり話し出したのか、分からないという顔をしているね。私にもよく分からない。彼女の話はしないつもりだったのだけれど、何でだろうね」

 

年老いた者の昔話だと割り切って、どうか聞いて欲しい。

そう前置きをして祖父が話し出したのはとても長く、とても悲しく、とても美しい話だった。

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