Uターン
数年前。赤羽脳は不良グループと活動していた。〝不良グループ〟とは〝ヤンキー〟や〝チンピラ〟等と呼ばれるものの集団である。
赤羽脳自体は不良グループの部下になるかどうか微妙なポジションであだ名は〝パシリ〟だった。
赤羽脳の所属した不良グループで一番不良とされているのは尾藤という男だった。もっとも赤羽脳と近いポジションのはタクトという男で、学校一美人だとされていた彼女を持っていた。結果、赤羽脳はその女とよく一緒にいることがあった、ともに宿泊もした。
赤羽脳の好きな女はいつも美人系であるが年を重なるにつれて高学歴の女が好きになった。美人すぎる弁護士を嫁にしたいとも思った。地元に良い高校はなかったので実行まではしなかったがエリート高校で外見の良い女子高生を見つけ彼女にしたいとも思った。赤羽脳自体は低学歴でそもそも中学校もほぼ不良と過ごして通っていなかった。高校も不良校で中退し、二十代入っても不良グループにいつづけ、暴走族とも絡んで、暴力団になる寸前で他県の不良グループとの抗争に負け、尾藤も死んだためその後は所謂ボッチとなった。
赤羽脳はタクトの彼女のことを想った。
「もぉ。タクトったらぁ~」
と、タクトの彼女が言ったのを思い出している。
赤羽脳にとって少なくとも中学時代で一番好きな女だったタクトの彼女。パシリと言われても青春の味を感じさせたと赤羽脳は思った。無味だろうと青春の味は味わい深いものであったと。よく屁を我慢した青春はある意味屁の香りであったと。美人の屁なら香りであると赤羽脳は心底思っている。
マジック・ミラー号を盗んで。チキン・ランと呼ばれる海に飛び込めなかった方が負けのゲームで赤羽脳はUターンしだした相手を車ごと轢き飛ばした事もあった。相手の車は赤羽の走る方にしか海ではない方に行けない状況だった。2Pだった、ようするに二人対戦だった。
ちょっと離れた地元の田舎にあるプールで水が天井に達する寸前となった状態で浮いた経験は赤羽脳の青春の輝きの一つだった。
中学校の文化祭、赤羽脳のライヴで使うために持ってきた画像データが赤羽脳の大好きなQカップのアイドルの合成画像データ集で、それをスクリーンで流されたのも今では赤羽脳の青春の輝きの一つだった。
赤羽脳は嫁にQカップ以上を求めていた時期があった。そのわけは、縁起が良いからと、テキトーに理由を付けていた。この、おっぱい欲求は年々増していった。