赤羽脳容疑者
前人未到の極悪人は死後、再び前世と同じ嫌った世界に生まれ変わり、バケモノとなり、苦痛しかない生涯に怒り、世界すべてを呪った。そのバケモノに対抗する力とは、苦痛だらけの二十年以上を過ごしたある者だけに授けられる神並みの力とインチキと現段階でされている預言者は言ったらしい。そして、そのバケモノに対抗する力は、同時に宇宙さえ壊してしまうほどのものにならざるを得ないとのこと。
普通の昼、地元の町で赤羽脳はバケモノに襲われ、異世界亡命を考えたが、そんなことは不可能だと思っていた。
地元を逃げ回って深夜になった。
赤羽脳は二十四歳になった。
(地毛で藤色の毛をした女が好きだ。んな女、実際に見たことないけど。藤色と桜色が半々で混ざった地毛の女も好きだ)
赤羽脳は現実の女との恋愛をあきらめていた。
ちなみに赤羽脳は百八センチメートルである。
ウイルスが蔓延っている中、アルコールが必須と世間では言われ、結果赤羽はアルコールを摂取していないにもかかわらずアルコールに依存した。ようするに所謂アルコール依存症とは別物である。これはそのウイルス禍一日目の事である。
赤羽脳が二十四年間中経験した苦痛はだれかが地球で百回以上生きようと味わえないものであると赤羽脳当人は思っている。
赤羽家の次男の赤羽脳。名前の由来は脳という漢字が示すとおりのもの。
赤羽脳が小学校に通っていた頃、〝アカバネ・ノウ〟などとよく名を間違えられ、自分の名前を嫌っていた。赤羽が赤葉とされるまでも間違えられた。赤羽脳が逮捕されニュースにされても名前を言い間違えられた〝アカバ・ノウ〟と。
朝。