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秋葉原ヲタク白書83 最後の御帰宅

作者: ヘンリィ

主人公はSF作家を夢見るサラリーマン。

相棒はメイドカフェの美しきメイド長。


この2人が秋葉原で起こる事件を次々と解決するオトナの、オトナによる、オトナの為のラノベ第83話です。


今回は、往年の有名ブロガーが襲撃され調べる内に、裏にハッカー派遣業を営む民間軍事会社の存在が浮上します。


国益を損ないかねない民間軍事会社への襲撃に、電子錠を持参し同行するコトになった主人公でしたが…


お楽しみいただければ幸いです。

第1章 最後のお出掛け


俺の精神は萌えを嫌う。


エロやグロが欲しい。難解な男と女の暗号や複雑な恋の駆け引きなどあれば水を得た魚。

今まで、薬物をやる必要など全く感じたコトが無いが、退屈だけは耐えられそうにナイ。


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


「よかったょね、あのツイート。事実を呟くだけだったケド」

「今、何が始まりかけてるか、ピンポイントで突いてた。今にして思えばスゴい嗅覚だったょね」

「アレって、実はテリィたんじゃナイの?"萌えの路地裏"って。ほら、テリィたんって路地裏マニアだし」


そんなマニアがいるのかw


"萌えの路地裏"は、SNS"Twipper"のアカウントで、アキバの最先端の日々を呟く。

その"嗅覚"には確かに驚くがソレ以上に驚くのはツイートが僕の話し方に似てるコトw


あ、ココは僕の推し(てるメイド)ミユリさんがメイド長を務める御屋敷(メイドバー)

宇宙の謎に挑む先端研究機関に準えて"国立天文台(NAOJ)バー"とも呼ばれる。


「"萌えの路地裏"はTumblrだから、いつもキレイにまとまってて楽しいょね」

「ヲタクへのアドバイスなんかも載ってる」

「テリィたんじゃないなら、とにかく、見てみてょ。その呟きは胸に響くと思う」


しかし、その呟きが胸に再び響くコトはナイ。


先日、ブロガーが地下アイドル通りでサイコパスのヲタク狩りに遭い植物人間となる。

防犯カメラの映像だと完全な待ち伏せで、目出し帽の男に背後から鈍器で殴られてるw


そのママ、襲撃者は仲間の車で逃走。アッという間の犯行で手掛かりは極めて乏しい。

角度が悪くナンバープレートも運転手も見えない。車種から盗難車の可能性も濃厚だ。


「アキバのヲタクを狙うサイコパスは、少なくない。今回も"全国マジメな趣味人同盟"と逝う組織が犯行声明を出してる」

「そんな!ソレは犯人の自供も同然だ。警察は、直ちに逮捕して欲しい」

万世橋(アキバポリス)の新橋鮫さんが全力捜査を約束してくれました。では"萌えの路地裏"の御葬式をやりましょう」


カウンターの中のミユリさんの呼び掛けに応じ、御屋敷中の常連が一斉にスマホを出す。


「みなさん、最終リツイートをお願いします。3、2、1…なう。"プリン先輩"はツイート終了。最後のお出掛けをされました。つぼみん?」

「喪章をつけたい方には、用意があります。また、お見舞いの志願兵を募ります。日時は、別途SNSでお知らせします。何か御質問は?」

「みんな!ヲタクを狙った事件の恐れもあるから、暫くは何事も安全第一で。単独行動、ましてや無謀な捜査の真似ゴトも厳禁だ。全て、万世橋(アキバポリス)に任せよう」

「おい、待ってくれ!」


ミユリさんの"ブログの御葬式"の仕切り、常連の挨拶と続き最後に呼び止める声。

因みに"プリン先輩"とは"萌えの路地裏"サイトのオーナーのハンドルネームだ。


「みんな。俺は"プリン先輩"の相棒だった

ブリンだ。先ず、俺の相棒へ礼を尽くしてくれたコチラの常連サンに礼を逝う」

「君が…ブリンか。ところで、確か18ヶ月前、君は信号無視で車を大破させ、その際にプリンは怪我をしたな」

「"神田河岸148(ワン・フォティエイト)"の現場に向かってた」


"神田河岸148"は、アキバ発の総勢148人もいる大型アイドルグループだw


「事故の相手は君を訴え、プリンは君に不利な証言をしたょね?」

「その通り。ただし、彼が証言したコトは、俺には不都合だったが、真実でもあった。そのコトで、俺達の間にワダカマリがなかった、と逝うコトを、常連サンの前で明らかにしておく」

「ならば、念のために聞くが"プリン先輩"が襲撃された夜、君は何処にいた?」

「"148バー"にいた。元"神田河岸148"がやってる御屋敷で、148ファンが集まる店だ。他に客は…10人はいた」

「因みに、新橋鮫から聞いた話では、防犯カメラから推定される犯人の身長は約190cmで左利きとのコトだった。コチラのブリンさんが…その…まぁ低身長と右利きであるコトは御覧の通りだ…何か急いでるの?」

「申し訳ないが、急いでる。確かにプリンとは色々あったが、彼はヲタクだ。変に疑われて欲しくない。彼のお見舞いに逝き、もしお逢い出来るなら、御家族にも礼を尽くしたい。だから、早く済ませてもらった。ありがと、テリィたん」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


「"プリン先輩"は、私のTOでした」


う、美しいw


バーカウンターの向こうの彼女は、白の鎖骨見せトップスだが、屈むと胸の谷間が…

元アイドルのメイド長って、ヤッパリ良いなぁ!最早メイド長でなくママさんだょw


とりあえず"148バー"のメイド長に話を聞きに逝く。なお、コレはレッキとした調査←


「彼は…薬物依存だったの。特に、事故後は辛い日々だった」

「…同棲してたの?しかも、最近、鍵を変えましたね?」

「ええっ?な、何でそんなコト…だって、鍵を失くして…」

「恐らく、TVやパソコンも売ったとか?」

「アナタ、何なの?」

「実は、以前"推し"が薬物依存で…防犯カメラの画像を見たけど、最近かなり痩せたょね。筋肉も落ちてる。キッカケは何だったの?」

「痛み止めの薬をもらってから…癖になったみたいで」

「追い出した?」

「だって!家具を持ち出して、薬に変え出したの。仕方なかった」

「ソレが最近?襲撃と関わりそうな何かが起きた?」

「2週間前に彼が来た。薬はヤメたって。きっぱりヤメたと逝ったの。セラピーにも通ってるって。だから、彼に新しい鍵を渡したわ。いつでも戻って来てって。だって…だって、以前の彼だったンだもの!」

「誰かと揉めてなかった?その…ドラッグディーラーとかと」

「鍵を渡す前に1度だけ彼のメールを見たの。数字だけのメールで… 100と4と…もう1回100」

「100錠4パックを1本(100万円)だね。送信者は?」

「数字だけで。ただ"6"と」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


"プリン先輩"


俺は、地下アイドル通りでは、そう呼ばれていたが、不倫はおろか結婚の経験もナイ。

ヲタクと呼ばれる連中の平均年齢は、恐らく男女共に30を越えてるが、既婚者は稀だ。


誰か、早く俺を見つけてくれ。


第2章 カラコン男とサイバー女


昭和通りの炭火焼きバーガー店の2F。


ソコは、界隈を仕切るストリートギャング(セクシーボーイズ)の溜まり場だ。

僕は、ヒョンなコトからココの幹部シャツを持っている。


つまり、幹部なワケだねw


「テリィたん、コッチ」

「あ、スピア。手掛かりが見つかったって…」

「テリィたん。ウチのスピア、勝手に使わないでくれる?今、ちょっち厄介な電子錠を開けさせてるトコロよ」


発言はスピア、僕、ジュリの順だ。


スピアは、セクボお抱えのサイバー屋。ジュリはセクボのヘッドの妹でセーラー着てる。


アラサーだけどw


「手がかり発見よ。例の防犯カメラの画像、画質を鮮明にするソフトを使って犯人の目の色とか調べてたら、左目が光を反射してる。カラコンだと思う」

「ちょ、ちょっち待て!どーしてスピアが防犯カメラの画像を見れルンだょ?」

「えっ?あ…いや。えっと…ヤバ。万世橋(アキバポリス)をハッキングしました。ゴメンナサイ!」


警察をハッキングするなw


「ま、良いや。コレで犯人は、約190センチ左利き、左眼が多分カラコン。だいぶ絞り込めたね」

「でしょでしょ?でも…もっと喜んでもらえると思った。自分で見つけたかったの?私が見つけちゃダメ?」

「いや。全然構わないさ」

「じゃあ何なの?何か私、地雷踏んでる?」

「そんなコトないさ。ただ、スピアくらいの腕なら、多分"萌えの路地裏"のブロガーで、今回襲撃された"プリン先輩"が誰かも知ってるンだろうと思ってさ」

「え?モチ知ってるわょ。"ゴシップボーイ"でしょ?」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


"ゴシップボーイ"は、国内より海外で有名な、アキバを代表するブロガーだ。

一般的に、彼のブログは"大統領のツイッターの次に有名"とか逝われている。


何しろ、毎回UPされるや、30分以内には世界7カ国語に翻訳され再配信されているのだw

正体不明ながら、僕はヒョンなコトから知り合い、例によって彼には大きな貸しがアル。


「しかも!コレってテリィたんのブログ?って思うホド、内容が"テリィたん寄り"ょね?クスクス」

「笑うな」

「へぇ。最近ご無沙汰の"ゴシップボーイ"が勝手にテリィたんにナリスマシ?知らなかったわ。でも、何で?」


またまた発言は、スピア、僕、ジュリの順w


「誰かを助けたいと思ってるみたいだ。僕の言葉が誰かの更生に有益だと考えてるのだろう。善意とは思うが、許すコトは出来ナイなぁ。匿名性はアキバのキープロトコルだからね」

「テリィたんは"迷言"多いから」

「匿名は、独創性を欠く者の最後の隠れ家だ」

「ホラ出た。クスクス」


バーガー屋の小さいイスに座ったママ、僕を見上げるスピア。

田舎の中学生みたいなジャージ姿だが、その下は多分スク水w


彼女のトレードマーク←


「"萌えの路地裏"の方は、私が閉じておいてあげるわ」

「ほっとけば?ソコまでしなくて良いょ」

「テリィたんは"プリン先輩"襲撃事件を優先して。コッチはテリィたんの"元カノ会長"である私が片付けてあげる」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


その夜、スピアから話があるから"バーガー屋の2F(パレス)"に来てとのメール。

"萌えの路地裏"のチャット欄で気になるヤリトリを見つけたとのコト。


出張帰りに途中下車し聖地(アキバ)巡礼。


「もう"萌えの路地裏"は放置で良いと思ったけど…何かあった?」

「昨夜から徹夜で数百時間分のチャットをフォローした。プリン先輩って女の数がハンパないわ!今のトコロ、テリィたんの元カノの数には敵わないけど」

「そーだろー。僕の元カノの数はハンパないからな!」

「でも、コレが全員いつか元カノになるワケでしょ?結局テリィたんの負けでは?」


あ、そっかw


「鎮痛剤の依存症で10万円使ってる日もあった。ブロガーのアフィリエイトじゃ払い切れズYOUTUBERで稼ぐも焼き芋に水…」

「ソレで女子諸姉に貢がせてたのか…ソレ、焼き石じゃ?」

「ワザとょ。私の話、いつも聞いてないから…で、女達は、プリン先輩のために全てを売ってる。指輪もスマホも何もかも。金目のモノ全てを金に変えて貢いでるわ」

「何て運が良い先輩だ」

「男女の間に運なんかナイわ。でも、中で1人だけ貢がなかった女がいる。最後までプリン先輩に上から目線を貫いた高ビー女」

「お袋さん?」

「素性が全くわからない。iPから辿ろうとしたら衛星回線にスクランブルがかかってたw多分お母さんじゃ無理だと思う」

「衛星回線に?そりゃそーだ」

「で、その女が話したがってる。テリィたんと」

「えっ?僕と?あ!新しい貢ぎ先になって欲しいとか?」

「なワケ無いでしょ。彼女の名は…シクス」

「セックス?」


スピアはソレには応えず、目の前のPCを僕に向ける。

瞬間期待した美少女の横顔はなく数字の"6"表示。


小さくsound onlyの文字。


「やっと会えたね。テリィたん」


やっと会えたな。"6(シクス)"。


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


「音声だけってあり得なくね?顔を見せて欲しいなー」

「せっかちな男は嫌われるわょ?先に宿題を済ませなさい」

「宿題?」


ソコへ…何と目の前にスク水JKが現れる!

コレは夢?苦手な顔だが水着は七難隠す←


「いじめないで!コレをテリィたんって人に渡せって頼まれた…貴方がテリィたん?」

「うん。で、いくらもらったの?」

「3万円。裏ネットの広告に応募したの」.


3万円!ソレってもっと色んなコトしてもらえる(コース)じゃね?

あんなコトやこんなコトをスク水の彼女に強要スル妄想が…


その間にサッサと彼女は名刺サイズの透明なカードを渡しモンローウォークで消え去る。

スゴい形相のスピアに睨まれた"2F(パレス)"の"門衛"が、肩をスボめて僕に助けを求めるが…


いや。僕も残念だ←


「私からのプレゼント、届いた?気に入ってもらえたかしら。フフフ」

「"6(シクス) sound only"さん、君ってスク水が似合うなぁ」

「バカ」


マンザラでもなさそうだ。

スピアの顔が修羅化スルw


「3Dホログラム付きラミネートカードのI.D.よ。コレのコピーが24時間以内に必要なの。でも、コレをコピー出来る偽造屋は、アキバには1人しかいない。ヤプルょ」

「ヤプル?異次元人?何処にいるの?」

「探して。じゃ」


通信は唐突に切れ、PCの前で考え込んでたら、目の前で"パサリ"と服の落ちる音w

何だ?と思って顔を上げたら…案の定スピアだょジャージを脱ぎ勝負服の白スク水←


「テリィたん!コレは私への挑戦状です!衛星回線に割り込みスクランブルをかける技を持ちながら、行きずりのJKを金の力でスク水にするスク水使いでもある。相手にとって不足はナイわっ!」

「え?え?何でそーなるの?」

「私も御一緒します。宿題とやらを片付け、シクスの素顔を拝んでやろうじゃナイの!」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


「おいおい。核ミサイル基地にでも潜入スルつもりか?ホログラム付きI.D.のコピーなんてヤバ過ぎだろ」

「だから、コピー商売に明け暮れて、いつも裏金洗ってるセンムなら、界隈の悪人にも詳しいと思ってサ。偽造業者、詳しいでしょ?頼むよ…ってかセンム自身がcounterfeiterだったりしてw」

「あのな。マニキュアの除光液でヤル"小切手の洗濯"とはワケが違う。コレのコピーは"業者"じゃなくて"芸術家"の仕事だ。で、アキバで"芸術家"となりゃ1人しかいねぇ…」


次は、異口同音で僕とセンム。


「ヤプルだ」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


新幹線ガードが神田川と直交する辺りのシャッター街の裏は、コピー商品の一大生産基地になってて"リトル広州(キャントン)"と呼ばれる。


で、その日本側代理人がセンムと呼ばれる老人だが…色々あって僕は彼には貸しがアル。

勝手について来たスピアが、背後でジャージの前を開き谷間をチラ見せして色仕掛け中。


余り役に立たないw


「ヤプル。奴はヤバい。最近も(ヤク)の売人に偽札を刷ったり、銀行強盗に合鍵を作って死人を出したりしてる。アキバの裏世界の住人だから、テリィみたいなヲタクには薦められん。ミユリを呼べや」

「ソコを何とか。今回はスピアが相棒ナンで。ホラ、お孫さんみたいな小娘のスク水拝めちゃうぞ!」

「あはは。しかし…いつもミユリの尻に敷かれて喜んでたテリィが、やっと若い娘に目移りしたってのが気に入った。口を利いてやるょ」


お?スピアが役立ったょ?


「でも、ヤプルとはテリィが独りで会え。今は、確か妻恋坂辺りでTVの修理屋をやってるハズだ。で、先に忠告しとくが、奴がハンダゴテを持ち出したら…逃げろ」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


「おぉ来たか!センムから話は聞いてる。ホログラムI.D.のコピーだろ?まぁ座れ」

「コレです。あと10時間しかなくて」

「任せとけ。超特急でやってやるから指紋を見せろ」

「え?指紋?そんなモン必要?」

「馬鹿野郎。カードオーナーの認証は今でも指紋だ。ホラ!ツベコベ逝わズに両手首をつけて出せ」


妻恋坂から湯島へ上がったトコロに"ヤプル電機"はアル。店の中は家電のゴミ屋敷だw

昭和な冷蔵庫の奥から出てきたヤプルは瘦せギスで神経質そう。透明カードを手に唸る。


「お前、このI.D.を何処で…ま、良いか。聞いても仕方ない。100万で前金50万。完璧にスルなら数日要る」

「2度は逝わない。あと10時間」

「わかった。じゃスマンな」


あっと思った時には、僕が出した両手首には結束バンドが巻かれてるw

グイグイ締められ、さらにヤプルがテーブルの下から出した手に拳銃(グロック17)


僕の胸元にピタリ!


「悪いな、ニイちゃん。こうやってタマに万世橋(アキバポリス)に恩を売っとかナイと、この商売も続けられ無いンだ。悪く思うな」


第3章 ツタンカーメンと共に


「で、どーしたの?この透明カードのコピー、万世橋(アキバポリス)のブタ箱で一晩かけて作ったワケ?」

「いや。ソレがタマタマ通報で駆けつけたのが鮫の旦那で…って、そのマスク、何とかならないの?フガフガ逝ってよく聞こえないンだけど」

「無理。コロナだし」


僕は、ツタンカーメンと話してるwいや。正確に逝うと、ツタンカーメンのラバーマスクを被ったシクス…と思われる女子ナンだが。


話が込み入る前に片付けとくけど、店の外にいたスピアがヤプルが拳銃を出すのを発見。

咄嗟の機転でスク水を脱いで(何処で?)指でクルクル回しながら"ヤプル電機"に乱入w


「ねぇねぇ可愛いスク水ゲットしたのん!白のスカート付きょ。アナタ、好きでしょ?ココで着てあげよっか?」

「うわ!何だ、お前?う、撃つぞ!」

「きゃあ!拳銃よっ!助けてぇ!110番!もしもし銀行強盗ですっ(違うw)!お巡りさんは、新橋鮫さんを本指名で」


駆けつけた新橋鮫に事情を話すと、鮫自らヤプルに超特急で仕事するように優しく説得w

あ、新橋鮫は万世橋(アキバポリス)の敏腕刑事なんだが、僕は鮫の旦那に呆れるホド沢山の貸しがある。


「で、通報をサバゲーを見た市民の誤通報ってコトにスル代わりに、ヤプルは鮫の旦那にコッテリ搾られ、挙句に良い仕事をスル羽目に」

「アキバのヲタク、怖っwしかし、確かに素晴らしい仕事だわ。モノホンが粗雑な偽物に見えちゃう」

「で、そのモノホンは今、何処に?」


きっとマスクの下で、シクスは微妙な表情を浮かべたに違いないケド、傍目にはツタンカーメンが小首を傾げたようにしか見えないw


で、僕とツタンカーメン…と逝うかシクスは高層タワーのオフィスに真夜中の潜入中。

中央通り沿いでアキバを睥睨するタワーの27階。全身黒装束で破壊工作員って感じだ。


顔がツタンカーメンなのを除けば笑


表札に"セキュリティコンサルタント"とあり、欧米によくある民間軍事会社(PMC)だとわかるw

指紋認証でオーナーが僕である透明カードでゲートを突破、ある部屋で歩測を始める。


シクスが場所を特定、床に印をつける。


床は鉄筋入りのコンクリートスラブで 75cm毎に鉄筋の骨組み+床下配線が這ってる。

印から半径 50cm の円内にフックをかけ天井から吊ってコンクリートカッターを使う。


階下はコンピュータルームだ。


塊を落とすコトなく天井に丸く穴を開けて、防犯装置の死角ポイントに静かに着地スル。

ウール毛布の上をゆっくりと歩いて行動探知機を、保温シートを被って熱探知機を欺く。


そうして、やっと辿り着いたのはコンピュータルームの"壁"だ。

シクスがコンクリートカッターを使い中の屋内配線を露出させる。


青いメインケーブルとPCを素早く接続。


「ココのシステム防護は鉄壁だった。壁の配線ケーブルからハッキングしてダウンロードするのが唯一のアクセスだったのょ…バックアップ準備中。起動すればセントラルドグマから直接ダウンロード出来るわ」

「うーん逝ってるコトの半分もワカラナイが急いでくれ。今なら未だ可愛いコソ泥でいられそう」

「起動した!データ受信中…来てる。やったわ!」


シクスは喜色満面、と逝ってもツタンカーメンのマスクしてるからワカラナイけど、もう手放しの喜びようで担いで来たズタ袋から…


M-79 グレネードランチャーを取り出すw


げ!しかも今、装填したのはクアドラングルバックショットだょね?

デリケートな精密機器の内部破壊用に作られた特殊散弾じゃないか!


君、タダのツタンカーメンじゃナイね?


そのママ腰だめに構えたM-79をズラリと並ぶサーバー目掛けて乱射!

大音響が響く中、ハデに火花を撒き散らして吹っ飛ぶコンピュータ!


忽ちコンピュータルームには爆煙が立ち込め警報が鳴り響く。

1分で警備員、5分で警察が駆けつけるw急いで逃げなきゃ!


グレネードランチャーに今度は爆薬入り軍用弾FRAG12を装填、防弾ガラスを粉々に割り高層ビルの27Fからハングライダーで華麗に…


と思ったら非常階段でトボトボ地上へw

途中で膝が笑い出し…やっと地上到着←


「ヘイ!タクシー!」


え?ココからはタクシー?しかし、ツタンカーメンに止められるタクシーもタクシーだw


「追っ手だわ」


タクシーの後部座席から後ろを振り返ったシクスは呟いてズタ袋からPCを取り出す。

驚くべき動体視力で追跡車のナンバーを読み取ってPCに打ち込み何処かに電話スル。


「パニックセンター」

「緊急事態。盗難車に追跡され今にも人を轢きそうな運転。識別番号は824276」

「減速させる」


すると、横合から突如パトカーが飛び出して僕達を追跡中の黒いSUVの横腹に突っ込むw

パトカーは、突っ込んでからサイレンを鳴らしたり赤い回転灯を回したりと色々怪しい←


が、全て忽ち背後に遠く消える。


そのママ昭和通りを北上した僕達は、上野を過ぎた辺りで止まって漸く下車。

ソコにはスパゲティの路面店が深夜営業してて、シクスは中へと入って逝く。


あれ?タクシー料金払ってないょ?


「テリィたん、トランクス?ズボン脱いで」

「え?ココで?」

「今日はね、お店が沖縄デーなの。ズボン履いてると目立つから…脱いで」


ツタンカーメンのマスクは目立たないのか?!


確かにカウンターだけの店内は、海パン姿の客ばかりでビキニもいるw

コロナ激増で知事が非常事態を宣言したのに逆風吹きまくりイベント←


いつの間にかシクスも水着になりトロピカルドリンクをマスターにオーダーしてる。

しかし、ソレ、スク水?那覇だょな?ココ…ま、良いか。どーせアキバが近いしな。


マスターとのヒソヒソ話に聞き耳を立てる。


「ねぇねぇ。連れもコスプレだから、御帰宅ポイントは倍にしてょね?」←

「ソンなコトより、仕事の方はどーだった?」

「バックドアは閉めた。作戦終了」


第4章 電子戦の傭兵達


前だけ見て上を見ない状況だw


コロナ自粛で消費は落ち込み、世界中で景気が失速している。

1%の富裕層が世界の富の半分を所有し、再分配は進まない。


闘争が計画の原動力だ。

亡者の遺志が道しるべ。


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


さて、今回も最後のピースが出揃って、ジグソーパズルの全体の絵が見えてくる。

先ず"6"と潜入したPMCは、傭兵派遣業者ナンだけど電子戦の傭兵を扱ってる。


つまり、ハッカーの派遣業者だったンだねw


そして、今回傭兵達は、アキバの地下深く設置された粒子加速器の攻略を命じられる。

御存知の通り、アキバの地下にはAMCと逝う施設があり先端兵器の開発に余念がナイ。


AMCは"アキバミリタリークラスター"の略だ。

旧軍の秘密兵器群を継承するスタートアップ群。


早速傭兵達は、AMCの奥深くフェムトセルを仕掛けてシステムのバックドアにスル。

目的は、粒子加速器センターの無停電電源装置へのアクセス、PLCのハッキングだ。


恐らく雇い主は、反資本主義の"テロリスト"或いは"テロ国家"だろう。

電子戦の傭兵達は愛国心ゼロだ。面白くて儲かる仕事ならソレで良いのだ。


アキバに拘泥スル僕達がいる一方で、その傍らで、国を捨てたハッカー達もまたいる。

で、その電子戦の傭兵等の動きを察知したのが、ゴシップボーイだったと逝うワケだ。


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


翌日、僕は"6"に呼び出されアキバのメイドじゃないカフェに出掛ける。


「スク水でなくてゴメンナサイ。貴方が…テリィたん?」

「君が…もしかして"6"?」

「セックス?コレ、セクハラ?私は、ネット広告に応募したら貴方にコレを渡せと頼まれた通りすがりのツインテょ?ギャラは3000円。楽勝なのー」


大好物のツインテ美少女が微笑を振りまいて僕のテーブルにガラケーを置いて逝く。

あの子をスク水にスルためには"6"はいくら払うだろうか?僕はガラケーを取る。


「もしもし?」

「テリィたん。昨夜はお疲れ様。沖縄デー、楽しかったぁ。また逝きましょう!」

「…突然だけど、ゴシップボーイは、どーゆー経緯で工作員(ケースオフィサー)になったのかな?」

「教えてあげない。でもね。ゴシップボーイは、彼の看板だった"ブログ"がSNSでは遺物となり悩んでた。で、薬に走ったのだけど、変な筋の売人からは買えナイ。で、ハンドラーである私を頼った」

「薬で釣ったの?」

「人聞きの悪いコト、逝わないで。まぁ私達の常套手段ではありマスけど。彼は、歯止めが利かズ、週に20万円も使ってた。友達価格でょ?で、ある日、裏ネットで拾った闇アプリを持ってきた。10万円の価値がアルと逝って。ソレからチョクチョク闇アプリを持って来るようになった。全て半島系のアプリだった」

「半島系のアプリ?」

「薬も、半島のラボで合成されたモノょ。輸入して、ラベルをつけて徴税され、警備員に盗まれ売人経由でアキバのジャンキーに流れるって逝うシステム」

「ありゃあ。半島の国営事業だったのかw」

「そして、あのPMCは半島の手先となって、粒子加速器以外にもテロ攻撃を仕掛ける出撃基地になってた。だから、あのメインフレームは破壊せざるを得なかった。彼等にしても、ハードディスクが溶けて秘密が守られたから良かったのょ。まぁその前にキープロトコルだけはハッキングしたけどね。その為に透明I.D.のコピーが不可欠だったの。ありがと、テリィたん」

「御礼はヤプルに逝ってくれ。で、ゴシップボーイが接近してた半島のシンジケートって…」

「コーヒーとリドカインを積んでた。リドカインでコカインを薄める。コーヒーで麻薬犬を誤魔化す…」

「やってるコトが昭和の頃と大して変わンないね」

「ゴシップボーイは、SNSでホメ殺しされた時点で、実はヲタクとしての退化が始まってた。彼は、気がつかない内に、神になる運命を自分の手で捨てていたの」

「"6"は…麻取(まとり)潜入捜査(アンダーカバー)なの?」

「いいえ。モチロン違う。もっとスゴいトコロ」←

「じゃトテモ昨夜起きたあんなコトやこんなコトの画像は上司には見せられないね」

「え…」

「いや。実は、君のスク水仲間のスピアが、あの時間にタマタマ望遠レンズを振り回してたら変な画像が撮れちゃってw」

「テリィたん…」

「ハンドラーがエージェントに恋愛感情を持っちゃダメだょね。いやぁ厳しい世界に生きてるね、"6"?」

「私を…もしかして脅迫してる?」


僕は、本気で頭を掻く。


「脅迫?まさか!ただ約束を守ってもらいたいと思ってるだけだ」

「約束?」

「僕と…会う約束をしたろ?」

「あ。ソレなら、さっき約束は果たしたでしょ?」

「え…あ!さっきのツインテw」

「首から下は…昨夜見たじゃナイ?」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


「結局、反資本主義を標榜する彼等に勝ち目はナイの。だって、資本主義と来たら、シフト+コントロールの世界で、彼等の地下革命すらもドラマ化してしまうのだもの。人々の思考にバックドアを作り、真実を改竄して値段を釣り上げる。ソレが資本主義でしょ?」

「全てのヲタクは、最終的にはアキバと一体となる運命にある。僕達は、みんな同じエネルギーの一部ナンだ。孤独が独創的なヲタクを産む。引きこもりが偉大なヲタクを育む。秋葉原は刑務所。ヲタクが自分で選んだ刑務所だ。だから、この街で僕達は罪を償う」

「少女の頃から孤独だった。家族や姉妹は、誰よりも、私の過去を知って理解もしてくれた。でも、ホントはアタシの何も分かってナイ。だから、アキバが嬉しいの。みんながいるから。アキバは、家庭じゃナイけど、同じぐらい大事な場所。だから、ありがと。私の名前は"6"。私は…ヲタクです」


やあ、"6"。



おしまい

今回は海外ドラマでよくモチーフになる"民間軍事会社"をネタに、往年の有名ブロガー、スパイ機関のハンドラーとエージェント、芸術的な腕を持つコピー業者、元アイドルのメイド長などが登場しました。


海外ドラマで見かけるNYやMIAの都市風景を、コロナ第2波に揺れる秋葉原に当てはめて展開しています。


秋葉原を訪れる全ての人類が幸せになりますように。

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