彼女のお返し
リズミカルな太鼓の音にご機嫌な手拍子。
僕たちのダンスはそのリズムによって加速していく。
ギュイギュと歪んだ音を出す謎の楽器がリズムに絡みつく。体中が元気になるようだ。
若い元気な男が歌う。
君は17歳ですげえかわいい
立ち姿がめちゃくちゃ素敵
君みたいにかわいい人のことを知ったら
僕は他のだれとも踊れない
みたいなことを言ってる気がする。なんとなく分かるのが不思議だ。
男は「うきゃーーー」と絶叫する。
この男もどうやら思いあふれているようだ。
「私が好きだった曲!!思いだしたの!!」
とジェニファーは言った。
「思いだしたら頭からあふれてきちゃった!!どういい曲でしょ?」
「めちゃくちゃいい曲だね!!」
曲は3分くらいで終わったが、ジェニファーは何度もリピートしてくれた。
興奮が冷めることはない。僕はぐるんぐるん頭を回した。
「ジェニファー!君は最高だよ!」
「あなたも最高!」
「最高の気分だね!」
「うん、最高!」
これでこの話は終了です。
陰鬱な話でしたが、最後に女の子とのダンスで締めることができてよかったと思っています。
ペンネームは「スーザン・ソンタグの『重力と恩寵』って本のタイトルかっこいいな~(読んだことないけど)」と思って付けました。でもさっき調べたら『重力と恩寵』はシモーヌ・ヴァイユでしたね。
これを機会にスーザンもシモーヌも読んでみようと思います。
長くない話ですが、書きはじめてから終えるまで一年以上かかりました。
これは僕がはじめて書いた小説です。
何を書いたらいいのか分からなかったので流行りの異世界転生ものをフォーマットにして書き始めました。
なかなかうまくいきませんでしたが、自分でも思わぬ表現や物語が降ってくるような瞬間が何度かあって面白かったです。
文脈の力なんでしょうね。
自分が書いたものに背中を押される感じ。
なかなか楽しく体験でした。
また何か書けたらいいな、と思います。