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行き場のないカルロスの冒険とその終わり  作者: スーザン・ソンタグ・ラブ・エクスペリエンス
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ラブエクスペリエンスに関する覚書 番外編

昨日は危なかった。死んだ友人たちに「見守ってくれ」なんて助けを求めた結果、彼らの世界に引きずり込まれそうになった。最悪ギリギリのバッド体験だったと言える。遠近感覚が狂い幻覚もたくさん見た。特にヤバかったのがカーテンのたわみが地獄の谷に見えて、そこで死んだ友人たちがバーベキューをしてるのがヤバかった。ヤバかったと二回書いてしまうくらいヤバかった。文法だって狂ってしまうだろう。最後のメインディッシュがマルメチョプだったのも最悪にバットだった。

なんとか助かったのは一人部屋で呻いている僕の声を聞いたスルッポンが心配して駆けつけてくれたからだ。スルッポンが優しくケアしてくれてなんとか眠ることができた。

それで、翌朝というか今日の朝にスルッポンに経緯を話して今後の執筆について相談したところ現状認識と今後の方針はおおむね以下のとおりにすることとなった。


現状認識と今後の方針


1.ラブエクスペリエンスへの想いがあふれると我々は奇行に走った結果死ぬ。


2.我々が今日まで生きこれたのは仲間がいたからだ。仲間たちでラブエクスペリエンスについて議論したりラブエクスペリエンス業に係る事務(※)を行うことにより、ラブエクスペリエンスへの想いが自家中毒にならずにすんでいたと考えられる。

※これについては現段階で記述することは非常に危険であることから控えたいが、本来であれば優先して記述するべき事柄である。体制が整い次第、とりかかりたい。

なお、危険がない範囲で記述すると、先のメモでも少し触れたが、これは会社業のようなもので、我々は創業メンバーのようなものだった。

現段階で生き残っている三人の役割について簡略化して述べる(死者たちについては項を改めて語る)。

マジでシンプルに言うと、ヌルッポンは組織統制の責任者で、ウヒョツーは技術部門の責任者、僕は予算管理の責任者って感じだが、緩くやっている。最終的には彼女の最強確信で解決するため、普通の組織のような面倒なことや気苦労はほぼない。


3.ラブエクスペリエンスは決して神ではないが、神のように扱うことが妥当だと考えられる。つまり取り扱い注意。


4.我々初期メンバーがラブエクスペリエンスについて記述すること自体は大変有意義なことであるがドラゴン退治並の慎重さと綿密な計画が必要とされる。


5.よって、これをひとつの事業として行うこととする。


6.この事業の責任者にはヌルッポンがあたる。ラブエクスペリエンスへの報告・連絡・相談は行わない(「恥ずかしいよね?」「うん、無理無理」)


7.事業遂行にあたっては高度に官僚化した第三世代(※)から協力を仰ぐこととするが、事業の内実については秘匿する。


※僕たち初期メンバーというかラブエクスペリエンスの幼なじみ組が第一世代。

彼女の特殊能力が世に広める過程で集まった連中が第二世代。ラブエクスペリエンス業にイノベーションを見出して組織の拡大に尽力した。

巨大化した組織を回している連中が第三世代。こいつらが組織を官僚化していった。

実のところ、僕たちに複雑な事業を遂行する能力はない。もとはと言えばラブエクスペリエンスファンクラブみたいなものだし、彼女に話せばなんでも解決してしまうからだ。

なお、第四世代、第五世代と続くが彼らについては項を改めて書くかもしれないが、あんま興味ないから書かないかもしれない。


8.ラブエクスペリエンスへの想いがあふれると死ぬ危険があることについて早急にウヒョツーに伝える。


9.ラブエクスペリエンスに触れる機会が多い第二世代の幹部級に対しても早急に伝える。


10.組織の第三世代以下及び私設ファンクラブ連中の自殺者数を調査。


11.あともちろん一人でラブエクスペリエンスについて書くことは禁止。


とまあ。とりあえずこんな感じ。

ちなみに、スルッポンによると僕は今もなお危険な状態であるという。

「気を抜くとラブエクスペリエンスに関して書く衝動に駆られるんだよね」とスルッポンに話したら

「うーん、まずいなあ。直接ラブエクスペリエンスのこと書くのは絶対にやめてね。そうだなあ、とりあえず日記書いたりとかどう?将来的にはバンバに執筆の監督やってもらいたいと思ってるんだよね。だから文章の練習のつもりでさ」と言うので「それもいいな」と思い。日記を書くことにした。

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