クラスメイトと質問
蔵が自分の中にある発言をきいた俺は、すぐにはわからなかった。
だから、少しだけ考えてみた。
やっぱりわからなかった。
「苗字にあるな。」
どう考えてもアホのような返事をした。
「いや、ごめんね、そういう意味じゃないんだ。」
真面目に返してくれた倉持には悪いが、そこはスルーして説めしてくれてもかわなかった。
「蔵てのが俺の中にあると思ってほしい。その蔵の扉だけを外に、つまり、俺の体の外に出せるから、そこにアレを突っ込めれば、扉を閉めて逃げ切れると思うんだ。」
倉持は一気に説明した。
時間がないのはわかる。
何かがせまりくる音が聞こえる。
空き地の原っぱには、俺たち2人しかいない。
こんな引きずるような音を立てられるわけがない。
尻尾でも引きずってんのかよ、あいつ。
でも、あえて、きく。
「どうやって、押し込むんだよ。」
俺らの倍はあるあの牛ぽいのを。
倉持も、もちろん気づいていたようで、黙ってしまった。
そして、小さな声で、作戦、と呟きながら周りをみる。
おそらく、独り言だろう。
そして残念ながら、資材すらない原っぱで、立てられる作戦はあるのだろうか。
あえて上げるなら、扉の前に俺らが立って、突っ込むよう囮にするしかないんじゃ?
倉持がメガネをあげて、
「きた。」
と一言。
視線を倉持から、音のしていた道路側の原っぱに向ける。
俺たちは原っぱの中に入った、新幹線の高架下にいる。
引きずるような音とともに牛鬼が現れた。
頭が牛で、体が蜘蛛だった。
さっきと違わね?
続きます