第4話 世界の柱
聖霊様が身を持って生物を生み出し一万年余りが経った。
世界には木々が生い茂り緑と小型生物の楽園になっている。
そうすると出てくる生態系。
もちろん弱肉強食なのは、この世界でも一緒。
生物の中にもだんだんと体を大きくするもの。
その種を失うほどに数を減らしたものも出た。
でもまだ知能を持つ生き物は数が少ない。
もうそろそろ知能を持つ生物を生み出すべきかなと思う。
そのために必要なのは生物を生み出す力を持った者。
私一人でやると偏るから、両親からは何人かの供を得るように言われていた。
供と言うのは私と一緒に世界の管理者となる者。
神となる者のこと。
もちろん私は父や母のように、自分に害を与えるような者を作るような失敗はしない(と思う)。
その話を聞いたとき、当時の私が真っ先に思いついたのが、母の世界の龍族の王の娘。
王の娘として時代を生き、龍族としては余りにも短い生涯を終えた。
魂となった彼女は世界の創造神である私の母と出会い、ある理由から新しい肉体を得た。
それから紆余曲折あって私のもとにきてくれた。
そして私と一緒に幾千もの世界を旅し、いつしか神龍となった。
二人目は、父の世界の人族。
彼女は癒しの力が強く、聖女として祭られていた。
寿命が尽きるとき魂を父に献上した。
父の巫女とし輪廻の輪から外れたのだけど、私が供とするべくスカウトして新たな体を与えた。
そうすると彼女は神格を得て光の力が強まり、父の世界すべてを癒すほどの力を得ていた。
三人目は二人といろいろな世界を旅していたとき、とある世界で見つけた場末の踊り子。
獣人族の彼女が子供たちを食べさせるために選んだ職業、それが踊り子だった。
彼女の世界の踊り子はその身を男に差し出すというのも仕事であり、彼女はその仕事さえ厭わなかった。
彼女の心は強く、どんなことがあっても自分自身に誇りを持ち子供たちに愛を与えた。
そんな彼女が育てた子たちが、悪政をひき腐敗した貴族社会であった帝国を潰し民主主義の走りのような社会を作った。
そして世界を豊かにするきっかけとなった。
流石に生きている彼女を世界から連れて行くことはできなかったけど、彼女が息絶えるときその魂をその世界の創造神様からいただいた。
四人目。
力こそ絶対と言う世界に生まれた鬼族の彼女は、どんな武器をも使いこなす戦士だった。
純粋な力は女である彼女は男には勝てなかった。
けれど彼女には技があった。
剣や槍、斧などの近接戦闘の武器であれば、手に持てば技がひらめき、技を使い続け極めて行った。
技を極める途中に肉体強化を覚え、それを技に昇華し生きる武神として世界に君臨した。
そして君臨後、数年のうちに彼女はその世界から消えた。
五人目は三つ目族の狩人。
その弓の腕は天下一品であり、見えない的さえも射抜く能力を持っていた。
そして彼女は、その狩にて得た獲物に対しても努力を怠らなかった。
皮をなめす腕は良く、肉の味を落とすことなく獲物をさばく。
骨、眼球、内臓さえも無駄にしない。
その料理の腕も、彼女の世界では最高のものを持っていた。
素朴ながらに素材の味のすべてを引き出す彼女の料理の手腕に、私の心は掴まれた。
六人目は母の世界の魔王の娘。
魔王がその身を私に渡す見返りとして彼女の保護を求めてきた。
一度彼女に会ってからどうするか決めると話をしたところ、魔王は彼女と私を会わせてくれた。
その当時の彼女はまだ小さな子供だった。
そんな小さな子供であったにもかかわらず、彼女は父が自分を守るために私と取引をしたことを理解していた。
そして私は魔王と契約を行い彼女の安全を確保した。
一番簡単に彼女を保護するのは世界が異なる父の居城に連れて行くことだったので、彼女をそちらの世界へ連れて行った。
それからの彼女は知識に貪欲で父の居城の本をすべてを読んでしまった。
ある時彼女は私に言った。
自分はすべての世界の知識を得たいと。
そのために異世界で見聞を広めている私の供になりたいと。
そして私はその申し出を受けた。
この六人が私の供になる。