第13話 新たな神の旅立ち
お時間が空いてしまってすみません。
お久しぶりです。
話を書くのは難しいですね。
それではよろしくお願いします。
私の名前はアハティス。
この世界の創造神。
創世神様の世界から頂いた魂に名を付けた。
私の、アハティスの弟として育てようと思いアハトラウスと。
アハトラウスは、創世神様の世界で流行っていたという転生小説が大好きだったらしく力を求めてきた。
ひとつ、異世界知識検索術。
ひとつ、自動翻訳能力。
ひとつ、万物鑑定能力。
ひとつ、生活魔法。
ひとつ、アイテムボックス(特殊)。
それに力を追加する能力まで。
彼はその力を追加する能力を最大限に生かし、私の他、六柱の女神達から剣や弓、技や魔法を学び吸収して行った。
彼の体は魔法で強化することにより龍の鱗並みに堅く、それでいてしなやかな筋肉を得ていた。
そして更にはすばやく動き残像を残す技を覚え、それどころか魔力を用い分身体を生み出すこともできるようになった。
また肉体強化をすることで、武器を持たずに手で真空を生み出し刃とする技を覚えた。
真空の意味を知り、真空の刃だけではなく真空の竜巻まで作り出し使いこなすようになっていた。
武器の扱いも、槍、斧、剣なども使いこなした。
弓の腕も良く、それどころか魔弾と言う、魔法を弓や武具、更には真空に載せて飛ばす技を作り出した。
知識や知恵を求め、魔法を極めた。
聖霊にも愛され、その力を行使することができるのはもちろんのこと、それ以外にももともと持っていた知識から、分解と合成、振動、加減(速度と方向)、発散と収束(吸収)などに魔法を区分し極めて行った。
さらに光の対極である闇属性魔法さえも使いこなした。
それどころか神しか使えないと言われる時空魔法さえも使えるようになっていた。
彼がこちらの世界に来て四年が経過した。
当初六歳の体からはじめた彼は十歳になっていた。
見た目は今でも可愛い男の子。
でも中身は神さえも凌駕する力を持ったもの。
一対一で戦った場合、私達七柱の中で誰が彼に勝てるだろう。
下手をすると全員負けるかも知れない。
現に今も、神龍カルミルアと戦女神ナティー、二人を相手に戦闘訓練をしている。
訓練とは言え、私達の中の最強二柱と戦うことができる人間。
いやもう彼の力は神の一柱になれると思う。
ただ彼は人族としての寿命しかない。
彼の寿命が尽きるとき、私は彼をこの世界八柱目の神として向かえることを考えている。
そんなことを思っていると、どうやら三人の訓練は終わったようだ。
神龍カルミルアが仰向けに倒れて、息が上がっている。
スタミナ自慢の彼女にしては珍しいこともある。
戦女神ナティーは自分の背丈ほどの大剣を目の前の地面に突き刺し、左腕を押さえている。
そこに癒しの女神であるサーシャが駆け寄って行くところをみると、ナティーは腕を変に捻ったらしい。
確かに最後の頃にアハトラウスに腕を取られ、投げられていたけど、その時にでも捻ったのかも知れない。
その二柱から離れて、アハトラウスは背伸びをしていた。
そして整理運動を始める。
彼曰く最初と最後の体操は大事とのことだった。
カルミルアが倒れているのに、まだスタミナが残っているみたいで元気いっぱいだ。
「みな、お茶を入れたからどうかしら」
ハリュイルイ、タラミラそしてマクロシアがお茶とお菓子を持って現われた。
七柱と一人の人間。
この城に暮らす全員がそろってのお茶会となった。
☆☆☆☆☆
「なんですって?地上に降りると言うの?」
アハトラウスの言葉に、私は声を上げていた。
「ティス姉、さっきも言ったけど、世界を見てみたいんだ。
俺が住んでた世界とは違う、ティス姉達のこの世界。
魔法もあって竜や魔獣もいるって、前の世界で読んで楽しんでいたものが現実にあるんだ。
この目で見たいんだよ。」
「見聞を広めるのも大事。」
アハトラウスの言葉を肯定してマクロシアが続けた。
「アハトが一人で心配なら、シアがついていってもいい。」
「シアはこの世界の人が書いた本を読みたいだけだろう。
まだ文字も完全ではないものしかないから、そこまで面白い本なんてないでしょう?」
マクロシアの言葉にタラミラが疑問を持ったようだ。
「ミラ姉は勘違いをしている。
どんな本でも全部面白い。
シアは間違った記録でも嘘の話でも全てを読みたい。
そしてそれを昇華する。」
「そうするとシアは、ぼくちゃんについて行くのは本を読みたいだけってことだからダメよね。」
タラミラはそう言うとマクロシアを見て微笑む。
でもマクロシアはぷくっと頬をふくらませた。
「ボウヤももう、ボウヤって呼べないくらい強くなってきたから地上に降りるのは問題ないと思うわ。
問題はどちらかと言うと、地上最強となりうるボウヤが降りて地上が混乱しないかってところかしら。
とくにうちの子達とか……。」
カルミルアはそう言うとため息をついた。
「力も技も問題ない。」
ナティーが珍しく話をしたと思ったらやっぱり戦闘の話だし。
「地上に降りるのでしたら、天空城からは見つけられない魔神の痕跡があるかどうか確認してほしいですね。
お願いできますか。」
「もちろんだよ、サーシャ姉。
それにミラ姉の豊穣の力を減らす真似はしないし、修行の一環だからね、ナティー姉。
美味しく料理できそうな材料を見つけたらハリィ姉には連絡するし、本を手に入れたらシアに送り届けるよ。
竜から攻撃でもされなければカルミ姉が言うような竜との問題は起こさないし、昔言ってた魔素も魔法を使ってがんばって減らすよ。
期待しててよ、ティス姉。」
アハトラウスは皆を見回しながらそう言った。
「仕方が無いね。」
私達七柱は、それぞれが顔を見合わせそれぞれが頷き、最後にはアハトラウスに微笑んでいた。




