閑話5 神龍カルミルア
ウチの名前はカルミルア。
創造神アハティス、ティスからはカルミって呼ばれてる。
龍族だったウチは、はるか昔に一度死に、その世界の創造神様から神格を賜り神龍になった。
その創造神様がティスの母上なのだけど。
なのでティスとは大昔からの旅仲間で、ナティーやハリィは同じ戦場に何度も立った戦友だ。
この世界にはティスに供として呼ばれた。
昔の約束、と言うか、ウチはそのために神龍になった。
なので約束通り召喚には応じた。
ウチは人族に興味が無いので、召喚後に自分の手足となる七種の竜族を生み出した。
最初はまじめにどの竜族も働いてくれていたんだけど、途中で知恵を変な方向にねじまげてしまった竜が出てきて、ウチの眷属とその眷属の間で下克上が起きた。
世紀末だ!
ヒャッハーって感じかな?
ちょっと違う、か??
いやだいぶか。
頭の出来は、創世神様の世界の漫画の雑魚敵よりは上だとは思うけど。
やっぱり爪と牙で敵を切り裂く。
力と技は大事だよね。
はっ……。
思いっきり脱線した。
下克上を起こしたのは双頭竜をはじめとする凶暴竜の眷属たち。
双頭竜たちは、仲間を集め、まず最高位竜の一体である雷竜を倒した。
ウチもこれには驚いた。
そこまで知恵が回るとは思わなかったから。
双頭竜って、あの力だけがとりえの凶暴竜の眷属の一体なんだよ。
知恵なんかほとんど無いと思ってたからね。
それで終わらずに、双頭竜は知恵を用いて竜至上最強の力を持つ凶暴竜さえもほふった。
一対一では勝てない敵でも、数で倒すことを知ったからか、双頭竜は調子にのっちゃったのよね。
調子にのってウチ達が暮らす天空城に攻撃をしようとするなんて……。
天空城に攻撃をすることは、創造神アハティスが知ることになった。
そして、そのことは彼女の逆鱗に触れる。
竜達を迎え撃つため、創造神アハティスがしたこと。
魔素を奪い、その力を失わせ、地上へのダイビング。
そのため、多くの竜達は体を粉々にした。
生き残った竜達も、アハティスの力でほふられ、敵対した竜達は全滅した。
凶暴竜の力は他に類を見ないものだったので、荒ぶる力を封じ黒竜として新たな命を与えた。
黒竜は眷属をすべて失ったけれど、それからは勤勉になり、情報収集をがんばってくれていた。
ティスが創世神様の世界からいただいた魂の子、アハトラウスとティスに名付けられた少年。
彼は転生したときに年齢を六歳とし、そこから四年、数多くのことを学んだ。
あの子はチビながら、ウチら七人からその力、技、知恵や知識を十二分に学び、十歳になって地上に旅立って行った。
あの子は単独での勝負ならもしかするとウチら七人の誰よりも強いかも知れない……。
将来の八人目の、この世界の神候補だから良いのか。
この前もいきなりウチの眷属である黒竜と対峙し、危うく黒竜を殺しそうになってた。
ウチがやめとけって怒鳴りつけたのに、黒竜はまったく言うことも聞かないで……。
危うく二回目の死を迎えるところだったって言うのに……。
そしてアハトラウスは、黒竜にポチガトラと名付け、その主となった。
ウチの眷属の仕事もちゃんとするみたいだし、ポチって名前も面白いから良いか。
そういえば、あの子の城壁って、炎の聖霊が噴火させた火山の火口じゃ……。
旧火山扱いだから大丈夫なのか……な?
読んでくださりありがとうございます。
これまでのおさらいと、
「事故に巻き込まれて異世界に転生したら女神にこき使われることになった件について ~ 私、新米女神です 劇中物語 ~」
http://ncode.syosetu.com/n9915ee/
の補足でもある話になります。
こちらには女神さまのお話を書く予定で考えております。
話の流れ上、間が空くことが多いと思いますが、これからもよろしくお願いいたします。




