第7話 殺戮と破壊の女神 前
私の名は、アハティス。
この世界の創造神である。
私達……私と神龍カルミルア、癒しの女神サーシャ、愛と豊穣を司る女神タラミラ、戦女神ナティー、狩猟の女神ハリュイルイそして知識と知恵を司る女神マクロシアの七柱はお茶を飲みながら、世界の状況を話あっている。
「黒竜や雷竜が眷属にやられたと言うの?」
私の問いかけに、神龍カルミルアがすまなさそうにうなづいた。
私と同じように他の五柱は、神龍カルミルアから話を聞いて驚いている。
まあ、それぞれが驚いている部分が違うのだろうけど。
双頭竜が、自らの存在意義を忘れていることに驚いていた私。
数が力となることに驚いた者。
竜種にかなりの知恵を持つことができた双頭竜と言う竜が生まれていたことに驚いた者。
眷属が上位存在を倒すほどの力を持ったことを喜び、驚いている者。
眷属が上位存在を狩ったことを驚いた者。
眷属が上位存在を倒すほどの知恵を持ったことを驚いている者。
「弱い種族のものたちが行うならともかく、世界最強固体の種である竜種が個が群となり力となることを知り、それを実践することができるのは予想外だったわ」
私はつぶやくように言い、お茶を一口、口に含んだ。
そして、ごくりと飲み込み、続ける。
「で、本題はここからよね?」
私の言葉に神龍カルミルアは縮こまる。
「まことに申しにくいことなのですが……。
どうやら双頭竜を筆頭とする竜種は、天空城に攻め入ろうと思っているとのことでして……。」
「ここを攻める?どうやって?」
神龍カルミルアの言葉に、知識と知恵を司る女神マクロシアが首をかしげ続ける。
「天空城はティス姉の結界で守られている。
ティス姉が認めない者は結界ではじかれる。」
「竜種から見ればわたし達って人族と見た目が変わらないから、弱いと思われてるのかもしれませんね。」
「見た目が同じなのは、人族はあたし達の姿を模写して作ったのだから仕方が無いわよね。」
癒しの女神サーシャの言葉に愛と豊穣を司る女神タラミラが答えた。
「同じなのは見た目だけと言うのがわからないのでしょうね。
眷属竜ですし……。」
仕方の無いことだと続けたいのだろうけど、癒しの女神サーシャは言葉を止めた。
「よし!」
「狩りの時間ね!」
戦女神ナティー、狩猟の女神ハリュイルイの二柱が叫ぶように言いながら立ち上がる。
「ウチの眷属の眷属が原因なので、ウチも行きます。」
神龍カルミルアが続け、顔を上げ立ち上がった。
さすが三戦バカ……。
そんな三柱を一瞥して私は立ち上がり口を開く。
「あなた達は今回は見ていなさい。
私達の城に、私達の世界に弓を引くのであれば、創造神である私自らが神罰を行います」
私の言葉に、立ち上がっていた三柱はおとなしく椅子に座る。
神罰と言ったのが効いたみたい。
「同じことを考えるものが出ないように戦いの様子を世界の空に映し出して!
できるわよね、シア?」
「ティス姉が神罰をする時点で殺戮になると思うけど、世界の空にそれを映すのはできる。」
「よし、ついでに誰が創造神かを世界の人族にわからせる!」
「それが本心の狙いか……。」
私の言葉に誰かが突っ込んでいた。




