表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/3

吸着

 そこで、やっと、ついに自分は、「地面」というやつの方向を知ることに成功する。


 地に足着いたとは、きっとこの事であろう。

 土に埋まってたら全方向に吸着するんだろうけど、幸い今自分に面接しているのは一面だけのようだ。

 もし壁やら天井やらに埋まっているんならよくわからないが、まあ、そこはさほど気にしまい。

 自分がある場所の周りの土か何かを自分に一体化させながら、徐々にイメージを膨らませる。


 うーん、と。


 駄目だ。

 遅々として吸着の範囲が進まない。

 砂の一粒一粒、粒子単位で地味に地道に、かなりのろまなペースでこの性質、【吸着】は作動するらしい。

 それの所為で自分の大きさなどを増やす作業は長丁場になりそうだ。


 当初の目的は周りの状況把握なので1ミリ位は進歩したが、まあその程度でしかない。

 最初なんか掴んだ時は勝ったな、なんて勝利を確信したんだけど。

 高望みが過ぎたようだ。


 さておき、この後の方針としては永遠と自分領域の拡張作業に長丁場の兆しありだけれど、このままこの世界を我が肉体の一部に! なんていうおおよそ星の寿命位掛かりかねない野望も現実的にも妄想的にも特に持ち合わせてはいないので、どうしようか。


 この【吸着】スキルは特に意識を向け続けなくとも問題なさそうなので取りあえずONのまま別の事を考え始める。

 なんだ?

 なんか見落としとかは無いか?

 このままひまひまタイムに突入するのだけは勘弁願いたい。

 何か娯楽として使えそうなことを考えるんだ!


 このままだと暇で暇で死んでしまうぞ。

 早くも意思を失った哀れな石になる末路が見え隠れしちゃうぞ。


 あーそうだ、やっぱり、【自己解釈】君をもっと改良してみよう。

 よく異世界転生モノである、【人化】を取得した時の為(取らぬ狸のなんとやら)に筋力とかの数値を表示させて貰う。(速度と筋力が増えたけど両方ゼロだった)


 つまらん!(真顔)


 うーん他は、……何か! 何かないのか!

 自分の中の何かを、解釈、させて、くれいっ!!



--------------------------------------------------


残り時間:00:05:13


--------------------------------------------------


 ああもうダメだ。

 おしまいだぁっ!(王子風)

 あと五分で娯楽らしい娯楽も終わってしまう。

 何か、異世界らしいものを思い浮かべるんだ!


 異世界、異世界と言えば……。

 や、やっぱり魔法、か?

 だが、魔力がないんだよな。

 魔力をどっかから捻り出してくれ。

 来い、魔力!

 オラに元気を分けれくりぇっ!!


 ズズ――、


 お?


 その時、不思議なものを感じ取った。

 気がした。


 なんだ?

 これは、【吸着】か?

 さっき地面と面していなかった空気部分。

 その部分にちょびっとだけ違和感を覚えた気がした。


 まさか?

 ステータス、来い。


--------------------------------------------------


名称:ノルタイト

分類:天然石:凝灰石

筋力:0

耐久:120(+20)

速度:0

内包魔力:1

硬度:56

色彩:濃灰色

性質:【頑丈】【吸着】

意志:【自己解釈】


--------------------------------------------------


 お?


<一定以上の思念が魔力の存在を知覚しました。能力、【魔力解釈】スキルを付与します。>


※誤字などあったら教えて下さい。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ