表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/25

襲来  2


「だっはっは!  なんだこの飲みもんうめぇなぁ!」

「……耳がいたい」


  馬鹿みたいに笑いながら、グビグビとお茶を飲み干すタラスク。無理やり横に座らされたニーズヘッグは、それはもう不機嫌であるし、桐太は訳もわからずハラハラだった。

  とりあえずニーズヘッグの機嫌をどうにかしようと、取っておいていた茶菓子を出すと。


「おお!?  こんなもんまであんのか!  いやぁなんか悪いなぁ!」


  と言ってタラスクが全て食べつくしてしまう。ニーズヘッグはますます不機嫌だ。

  もうこうなってしまっては桐太にはどうしようもなかった。


「……もう我慢ならん。タラスク!  表にでろぉ!  我が直々にお前を貪り喰らってくれるわ!」

「ほぉ……?  いい度胸じゃねぇかぁ、ニーズヘッグぅ……!  てめぇのその落ちぶれた魔力で俺に勝てるだなんて思うなよ?  あぁ!?」

「貴様ごとき喰らうのに魔力なんぞいらんわ!  せいぜい甲羅を蒸し焼きにするのに火魔法が使えれば十分だ!」


  ビリビリと、まるで肌が焼けるような感覚が桐太を襲う。

  目の前にいるのは中学生ぐらいの少女と、ライダースーツの大男だ。変な取り合わせだが、親戚が集まったなどと考えれば全くおかしいというわけでもない。

  しかし、彼らの発する殺気だろうか。それが桐太にもビリビリと伝わってくる。実際には彼女らが放っているのは魔力なのだが。

  桐太の世界には魔力はほとんどない。

  それは全くないわけではないが、魔法を使うのには全く足りない微細な量だ。それ故に、この世界の人間が魔力を感じることなどほとんどない。

  だというのに、目の前の2人が発する魔力に、桐太は気圧されていた。桐太はそれを魔力だと認識はしていなかった。けれども、それはまるで殺気のように桐太に突き刺さる。

  チリチリと肌が焼けるように。汗が吹き出し、喉が乾く。目を離せば殺されるのではないかと。

  この頃は忘れていたが、ニーズヘッグはやはり化け物なのだと、桐太は再認識をする。


「ほら、そこまでになさい」


  不意に。第3者の声がする。

  がくりと大男、タラスクがその場に倒れる。

  ニーズヘッグもふらりと倒れてーー


「っ!  危ない!」


  テーブルにぶつけそうになるのを、間一髪で抱きかかえて阻止することに成功する桐太。


「あら、いい男じゃない。欲しくなっちゃうわ」


  いつの間にか、窓辺に佇む黒いドレスの女がいた。いや、ドレスの女だけではなく、もう1人、ネグリジェを着た女がドレスの女の足元に転がっていた。

  ドレスの女は桐太をジロジロと舐めるように見回す。桐太はゴクリと息を飲む。


「あぁ、緊張しないでいいわ。私たちはニーズヘッグを回収したら帰るから」

「どういうことだよ……?」


  突然の出来事に、桐太はひどく混乱していた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ