偽新婚夫婦の話 壱
この物語によく出てくる、三つの組織についての説明です。
優くんの実家が設立するまでの話はいずれ番外編でやる…予定です。
【前回のあらすじ】
偽装婚系同棲生活開始。
僕の回りの三つの反社会的勢力について話そうと思う。
【誠の月】と、【Violenzaファミリー】と、【Dioファミリー】のことである。
まず、僕の実家【誠の月】。
創設者は僕の父方の祖父。グラツィアお婆様の旦那さん。
設立してから50年も経ってないけど、海外の売人と繋がりがもてるのは、祖父の戦略のおかげ。既存の組織を、あらゆる手段を使って乗っ取り、陰から動かし。それを繰り返して、組織を段々と大きくする。
「じゃあ、ボスだけいれば成り立つじゃん。構成員ボスだけ?」っていうかもしれないけど、そんなことは無い。てか、それただの小説の黒幕だろ。ヤクザじゃねぇ!
然しものお爺様も、いくつもある下部組織をすべて完璧に監視することなんてできない。だから、下の組織に何人か【誠の月】のメンバーがいるのである。
それが、ボスなのか幹部なのか、取引先の武器商人なのか、はたまた最近入った下っ端なのかは【誠の月】のメンバーしか知らない。
そんな【誠の月】の現組長は、クソおやz……僕の父さん。普段 飄々としているけど(完全に母親譲りである)、祖父の頭脳を受け継いだキレ者。
その息子は、組織を動かせるような力も頭も度胸もない、ただの普通の男の子…なのかも危うい女装男子。
いずれ【誠の月】を率いていくのだと思うと、はっきり言って荷が重い。………平和な世界になんないかなぁ。
次に、CARLOさんが所属する【Violenzaファミリー】。
ボスはカルロさんのお兄さん。カルロさんは幹部の一人。
【誠の月】みたいな特殊な形式じゃない。普通のボスが頂点にいる、ピラミッド型のマフィア。
そうとう巨大な組織で、支部が世界各地の至る所、(ロシアとか、フランスとか、アメリカとか、スペインとか)にあるらしい。
カルロさんたちの親御さんはこの仕事大嫌いなみたいだけど、そんなことを言いつつやってることは、とても子どもに聞かせられるようなものじゃないし、子供にやらせるようなものじゃない。
なぜ、カルロさんがマフィアになったのか。実の家族と縁を切るほどの魅力が、マフィアという職業にあるのか?
僕が知ったところで何にもならないけど、気になるものは気になる。
最後に、僕を何度も殺そうとしてきた、お婆様の実家でもある、悪名高きイタリアンマフィア【Dioファミリー】。
壊滅する前は【Violenza】よりも大規模な組織だったらしい。
お婆様が幹部の娘。カルロさんたちの母方の祖母で、お婆様の従姉妹がボスの娘。
【Violenza】とは犬猿の仲で、何年も血を血で洗う潰し合いをしてきたとかなんとか。
【神】と名乗ってるところからも分かるが、マフィアというより最早一種の宗教団体である。
幹部やボスなどの重役は一族の人間だけで、一族の人間以外は重役になれない。なぜなら、人が神に為り代わることなどできないから。
【Dio】の人間が重役の一族に抱く感情は、畏怖では無く、ただの信仰心。ただただ彼らを崇め、従う。
だからこそ壊滅させるときは、重役たちの一族を……根絶やした。
なのに復活し始めたということは、生き残りがいたのだろうか?
え、何で今そんな説明をしたのかって?
それはね……
今、【Violenza】のボス所有のプライベートジェットの中で、カルロさんと二人きりでめっっっっっちゃ気まずいからだよぉぉ!!