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史上最悪の悲恋  作者: 林檎月 満
悲劇(喜劇?)の発端
3/16

耳を疑う話 参

【前回のあらすじ】

婚約者とご対面!男でした!(*´∀`*)アハハ


 僕は今、実家の客間にいる。縛り上げられて。婚約者(おとこ)と、祖母と三人で。だが!僕は男だぁぁ!


 話を戻そう。先ほど確かに、客間から逃げ出した僕が何故、縛り上げられて、()()()()()()()()!いるのかを。

 客間から逃げ出した後、10メートルも走らないうちに、祖母に捕まえられ縛り上げられていた。『縛り上げられた。』ではなく、『いつの間にか縛り上げられていた。』だ。

 客間で、遅れてしまったことを相手方に謝っていた祖母が、僕の肩を踏み台にして、僕の目の前に来たことは覚えている。「くるりんぱ、っと。」とか言いながら、僕の頭上を一回転したことは覚えている。 それからの記憶がないのだ、気づいたらがっちがっちに縄で縛りあげられていた。

 全然痛くないけど、全く身動きが取れない。なにこれ。

 そして今に至る。


「優華、こちらがCARLO(カルロ)さんよ。ご挨拶して。」


 目つきの悪いこの(おとこ)は、【カルロ】といった。


「ぼk、私は優華です。初めまして。」


 一人称を変えて挨拶をする。婚約者といっても政略結婚なので、おそらく僕の女装(こと)は伝えられていないだろう。前のあの人も僕のことを完全に女として扱っていた。


Piacere(はじめまして)


 親戚と聞いていたが、どうやらお婆様の従姉妹の孫らしい。思ったよりも遠かった。これじゃ他人と全く変わりない。


 だが、悠長に挨拶をしている場合ではない。男に嫁ぐなんて絶対に嫌だ! なんとかして、断る方法を見つけねば。

 そもそも何でいきなり、結婚することになったんだ? 前だって、いきなりってわけじゃ無かった。

 血を濃くするとか?親戚といっても、それだけ離れているなら子どもをつくっても問題な、いや!それなら男同士だから問題しかねぇ! まず、作れねぇ!

 同盟?でも、親戚ならそんなことをしなくてもな……。


 考えれば考えるほど、この結婚の意味が分からなくなってしまった。

 えいっ。もう聞いちゃえ。


「あの、なんで結婚する運びになったのですか?お婆様。」

「?あら、言ってなかったかしら?」


 言ってねぇよ!何一つ言ってねぇよ!突然決めたんだよ!あんたが!


「まぁ、突然決まってしまったしねぇ。強いて言えば、都合が良かったからかしら?ほら、あなただって殿方に嫁ぐなんていやでしょう?」

「あれ?僕が男だって言っちゃってるの!?」

「えぇ、もちろん。言ったわよ?」

「政略結婚なのに?!」


 お婆様の目が鋭くなり周囲の空気が凍った。目の前にいる(カルロさんだっけ?)も、肩を強張らせた。

 一瞬で、言ってはいけないことを口にしてしまったと気付いた。

 お婆様の低く、くぐもった声がとてつもなく怖かった。


「……そんなこと一言も言ってないわよ。

 優華はこの、子煩悩で孫煩悩な私が、かわいい孫に政略結婚なんてさせると思うの……?」

「思いません! ごめんなさい!」

「分かればいいのよ♪」


 お婆様の言葉も大して聞かず速攻で謝る! 怖すぎるだろうちのばぁちゃん! あるゆる面で!


 言われてみれば、お婆様が家出したときも縁談が回ってきたときだった。よく考えれば、他ならぬお婆様が、僕に政略結婚させるとは考えにくい。


「じゃ、なんで?」


 その問いに対する答えを、まるで祖母は「名案でしょ!」とでも言うように返してきた。


    「女装してる、()()してる同士だから都合がいいかな?と、思ったの!」

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