耳を疑う話 壱
2作目です。登場人物同士の会話が先に出て、設定が意味不明です。駄作ですが皆様広いお心でご覧ください。
※女装、男装、同性愛あり。苦手な方はブラウザバックして下さい。
どぉぉぉしてこうなったぁぁ!
僕は心の中で叫んだ。もうどうしようもなくて、どうしようもないくらい大きな声で叫んだ。
だって、だってだってだって、だって!
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僕の悲劇の発端は祖母・グラツィア様の一言だった。
「優華。ちょっといらしゃい。」
「なぁに?お婆様?」
そう言いながら、僕は席を立って、祖母のほうに歩いて行った。
「ちょっとね。貴女の婚約者の方がお見えになったから、顔を出してほしいの。」
ずっこけた。あまりの出来事に顔からずっこけて顔が床とこんにちはした。すごい痛いけど今大事なのはそこじゃない。
「まってぇぇぇ!お待ち下さい御婆様ぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
「なぁに?優華?」
御婆様がョトンとした顔であたかも不思議そうな顔をする。
「なぁに?じゃないよ!えっどゆこと!!婚約者?今?お見えになった?どゆこと?聞いてない!」
「そりゃそうよ~。今言ったんだから~。」
小さい頃から遊んで、育てて、守ってくれた大好きな祖母を今だけは本気で殴りたい。
まぁそんなことをしたとしても(いやしないけど!)よけられて、赤子の手をひねるかのように、いともたやすく、軽くあしらわれる気がする。いやそうなるとしか考えられない。
なんせ相手は祖母なのだ。あの祖母なのだ。確実に60歳は過ぎているはずなのに20歳とかそこらにしか見えない祖母なのだ。モンスターとかを信じていない僕も、祖母が化け物で不老だと言われたら信じる。むしろ納得する。
だが、今大事なのはそこじゃない。(二回目)そこじゃないんだ。
「ごめんなさい、お婆様。僕、会いたくないです。帰ってもらってください。」
「えっ?なんで?」
「………。」
またもや不思議そうな顔をする祖母に僕は言葉を失う。
僕は以前、お見合い相手として紹介された人にべたべた触られたことがある。今、祖母が言っている婚約者とかいう人にはもう会いたくなかった。
「あぁ、大丈夫よ。優華。」
何か察してくれたのか、祖母が慰めにもならないようなことを言ってきた。
「別の子だから。」
「……。は?」
……。は?えっ?は?…は?慰めの言葉じゃなかったよな。今おばあちゃんが言ったのなんて?
「ベツノ、コ?」
「うんそう。別の子。この前紹介した人とは、別の子。あと、貴女はもうあの人に会わなくていいというか、会いたくても会えないわよ。会いたくないだろうけど。」
「ナ、ンデ?」
「もういないから。」
「……。」
さっきとは別の理由で僕は言葉を失う。深くは聞かないことにしよう。
「だから、心配しなくてもいいのよ。優華。あぁ、そんなことより。今から紹介する子は、私達の縁者だから信頼できるし、なによりいい子らしいから大丈夫よ。あなたもきっと気に入るわ。ねぇ、優くん。」
「……。いきなり本名で呼ばないで。グラツィアお婆様。」
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ろくに説明もせずに、ほいほい話を進めてしまって申し訳ない。
僕の名前は優華ではなく優である。
そして、僕は、正真正銘、男だ。
男の僕がなぜ、祖母にまで女の名前で呼ばれるのかというと、僕がオカマであるからではない。断じて無い。そんなことは断じて無い。
理由は僕の家の仕事に関係する。
僕の家は、ジャパニーズ・マフィア。つまりヤクザである。