直感で覚悟を決めていざ行かんッ!!!!は
せっかくイケメンにお姫様抱っこされているので、「離して変態っ!」と罵ってしかしどこか期待しているどっかのゲームの主人公になってもいいんだが、貴重な体験味わわせてもらいます。人間顔だね(黒)
目が覚めてからの会話を、緑あふれる庭を見ながら思い出す。
美少女がここはケイ国とか言っていたよなぁ
ケイ国…
口の中で軽く呟く。初めて聞き、初めて口にしたはずなのに、この溢れ出る感情はなんなんだ…
「記憶喪失ごっこは、まだ続いているんですか?姫さん」
声が間近から聞こえてきて少し肩が震えた。恐る恐る声が降ってきた方向を見上げる。
イケメンの顔近ッ!!!!
しかし、図太い神経を持ち合わせている私は頬を紅潮させず、ついまじまじと見いってしまう。
私より黒い髪は肩にかからない程度に切り揃えてある。艶といいさらさら感といいどこのシャンプー使っているのか教えてほしい。だが長い前髪からのぞく瞳が深海を閉じ込めたような深い藍色だった。ハーフのようだ。にしても整った顔立ちが作り物に見えてきたぞ、無表情やめろ。また、冷や汗が出てくるじゃないか
「姫さん………」
冷淡なセリフとは裏腹に、私を見下ろす瞳が一瞬熱をひめたのを、感覚的にわかってしまった。きっと、この人だからわかってしまったんだと思う。ってなにいっているんだ私、この人とは出会ったばかりじゃないか……いかんしっかりしろっ!こいつも私もイカれてるぞっ
「……まぁ茶番はここまでにして、ついたぞお姫様」
イケメンの視線が前に向けられた。それを辿っていくとこってこての装飾をされた異様に大きく、威圧感たっぷりの扉があった。
入りたくないんだが……
怖じ気づいている私をイケメンがおろした。
そういえば私重くなかっただろうか?
ひんやりとした木製の床の感触。それを感じながら、自然と体が扉の方へ歩いていった。理屈じゃ説明できないが、この時私のなかにこの突き動かす力が確かに感じられた。
直感的にここなら全てを話すべきだと確信した。