日常的な日常
いよいよ本編がスタートして参りました。
文章入力はすべてケータイとワープロによる媒体ですので、改行後にひとマス空けていなかったかもしれません。そのようなケアレスミス等を見つけましたら、ぜひとも忌憚なくご指摘ください。よろしくお願い致します。
枕元の携帯電話が、着信を知らせるために音楽をかなでて私を起こしました。
なにぶん休日だったものですから、眠たくて重く揺れる頭をかかえて私は電話に出ました。
「夜分遅くにごめんな」
先方はまずそんなふうに謝罪を述べました。
「ううん。ずっと起きていたから大丈夫だよ」
「それならいいんだが」
幼なじみで、のちに被害者となる、高島康平は安堵したようにため息を吐きました。
「どうしたの?」
思わず尋ねると、「一緒に図書館行かないか?」
明るく誘われましたので、断りづらくなって、「うん。わかった」と簡単に承諾しました。時間の経つのをじりじり待っているとメールが1通届きました。開封してみると小流杏子先輩からで、『今日はひまかな? どうかな?』との文面でした。私は康平といっしょに図書館に行くと返信しました。
ちょっと不愛想な返事だったかななどと考え、ぼんやりとニチアサキッズタイムを視聴して、それでも開館の10時が遠い未来に感じられたので、最寄りのマクドナルドへ、ひとまず集合することにしました。
朝のうちはレギュラーメニューの販売をしていないということだったので、ソーセージエッグマフィンとプレミアムローストコーヒー(Hot )を頼み、二人席に腰かけていました。
数分したところで高島康平が、向かいに座りました。意外と早かったので良い人なのだなと改めて実感させられました。
彼はメガマフィンとハッシュドポテト、Sサイズのドリンクをトレーに載せていましたので、なるほどバリューセットにしたのかと眺めていました。
着席して面と対峙した時、私は意味もなく康平を呼び出したわけですから、当然どう話をしようか迷いました。
すると相手の方から、「ビッグアメリカシリーズで、何がいちばん好きだった?」と振ってくれました。
これはもちろん本筋から大幅に逸れていますので、答えだけ記述するにとどめておきます。私は「アイダホバーガー」と言いました。
始終無駄話が展開され(メガシリーズやビッグアメリカシリーズが与えた経済効果についての考察とか、ハッピーセットって存外に安いよねとかです)、それから図書館に向かいました。
今から思えば、これは誕生日パーティーの余興として準備されていたのかもしれません。
図書館では、私は「(日本国)憲法」を調べていました。「大日本帝国憲法」と比較してみるのも一興ですが、お恥ずかしい話、第一条を読んですぐに飽きてしまったため、それほど探求心は生まれませんでした。だいたい図書館に来た理由は康平に呼ばれたからで、明確な意図は存在しなかったのです。
しかしその康平も酷いことに、「レポートの提出が明日までなんだ」と、自習室に引きこもってしまいました。女の子をひとりで待たせるなんて男の風上にも置けないやつだと、ぶつぶつ揶揄しながら私は空虚さを埋め合わせました。
とはいっても、待ち時間をフルに使って悪口を言い続けるような、無益なまねはせず、手近なDVDを鑑賞して過ごしました。だれかにみられているような気もしましたが、それは私に後ろめたいことがあるからだと思います。
半分ほど観たところで、康平は戻ってきました。
私は視聴を中断し、AVカウンターに器具を返却して彼とともに図書館を出ました。
わずかに足跡がつけられるというくらいの積雪量と、アスファルトにぶつかっては溶けていくんじゃないかという降雪量で、雪が舞っていました。
「ところでさあ」
白い息を吐きながら康平は、「漂白剤や洗浄剤に『まぜるな危険』って書いてあったりするじゃん? あれは塩素系(アルカリ性)と酸性タイプ(酸性)を混ぜないようにという注意書きなんだけど、もしブレンドしたりすると、塩素ガスが発生して死ぬこともあるから気をつけなきゃいけないぜ。まあ大抵は、ツンとするにおいや呼吸困難、涙が出るなどの症状があるというから、そうした時に場所を離れる、換気をするといった対処が望ましいな」
含蓄のあるお話を頂いたので、私も負けじとうんちくを披露しましたが、並べて書くと、また長々としてしまうので、機会があれば改めてご紹介したいと思います。
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どのような低評価でも酷評でも、甘んじて受けますので、皆様どうかご指導ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。