第1章2-2
2人にボコボコにされて落ち着きを取り戻した俺です
「……すいません。なんかもうめんどくさくなっちゃって」
「だからと言って! いきなり下腹部をお天道様の下に曝け出すのは変態ですよっ! 」
そういえばさっきから白熊ちゃんこんなのばっかだな。申し訳ない
「私は幼少の頃からの付き合いだし。大して気にしてないとでも言うと思ったかこのバカタレ! 」
「はい。すみませんでした」
「あーもー! どうしてくれるんですか! あんなもの見せられたら怖くてお風呂にも入れないですよ! 」
「大丈夫大丈夫。怖くない怖くない」
「余計に変態チックだぞそれは」
しまった
「ま、まぁ……ね? 股間だけに今回の事は水に流しましょうってことで! 」
「「うまくねええええんだよおおおおお!!!! 」」
「おぼろすっ!!! 」
まるで1号、2号のように息の合った2人のトビ蹴りによって俺は意識を刈り取られた
たしかにうまくねぇなこれ
「はい。では気を取り直していきましょう」
「はーい」パチパチ
元気に白熊ちゃん
「準備はいいですかー? 」
「おーいぇ」
ラッパー気取りが若干ウザい杏子
「まずは俺だ。まず、俺の能力は神の遺産を好きな時に好きなだけ取り出すことができるってやつ」
「別名ドラえ」
「それ以上は言わなくていいからな! 」
「ほぇー。どんな物があるんですか? 」
「いや、ホントにありまくりで俺にも分からん」
「そ、そんなに」
本当にこの女神様はどんだけ暇だったんだよって感じだ
「失っているものは…せ、生殖能力だ」
「え? つまりイン」
「私が言っても大丈夫だが、なんかこのみが言うと危険だな」
白熊ちゃんの口を押さえながら杏子が言う
……お前も大丈夫じゃねぇよ
「あ、じゃあ次は私が行きます。ええと、私の能力は最大で通常の1000/1秒まで時間の経過を緩めることが出来ます」
「? つまり俺達より1000倍早く動けるってこと? 」
だからあの時アンデット達はいつの間にか死んでたのか。そして白熊ちゃんがいきなり目の前に現れた様に見えたと
「そうですね。そこは主観の違いです」
「え? チートじゃんそれ」
この前俺、自分の能力自慢しちゃったよ。無敵とか言っちゃったよ。めちゃくちゃ恥ずかしい
「あはは。でも、そんな最大出力で能力を使ったら持って5秒くらいなんですけどね」
「へー。それ以上使うとどうなるの? 」
「さぁ? 多分頭が爆発でもするんじゃないですか? 」
こわっ
「とはいえ5秒間の間1000倍のスピードで動かれたらひとたまりもない」
「あはは。でも、身体能力とかは上がらないんで攻撃とかはあんまりなんですけど。それで、失っているものは“身体の成長という時間”です」
「あ、それでそんなに」
「なんですか? 」
とてつもなく鋭い眼光を持っている幼女だった
「能力に目覚めたのが10年前なのでこの姿は10歳の時の姿です」
「へー。俺より大変そうだなぁ」
10歳ってなるとまだ子供も作れないだろうし、実際俺より大変だ
「でもでも、本当に女神様を蘇らせれば元の体に戻れるんですか? 」
「大丈夫でしょ! 神様だし! 」
「すっごい適当な感じに旅してません? 」
「いや、結構切実」
信じる者は救われるって言うじゃないか
「あ、それより私の能力の紹介していい? 」
「幸花杏子。能力はすげー聴力。格闘技が得意。失ったものは歌」
「紹介されてしまった。しかも適当な感じに。プロローグからずっと謎のままだったのにすげーがっかりされないか心配」
「歌……ですか? 」
「こいつこう見えて歌がすげー上手かったんだぜ? 聞いてるだけであの町長なら体中の水分全部股間から出ちまうだろうってくらい」
「こんな割りとどうでもいい能力の為に歌を失うなど絶対に嫌だからな。私は絶対に歌を取り戻す」
取り出す能力を得て、生み出す事を失った俺
時を操る能力を得て、時を失った白熊このみ
なんでも聞き取る能力を得て、聞かせる事を失った幸花杏子
俺達3人。残りの3人を捜します