第1章2-1
「つまり……! 今現在この街には3人もの神憑様が!? ふぉおおおおおおお」
また感激のあまり涙を流しだす町長。ちなみになぜまた俺達が町長の所に訪れたのかと言うと、白熊ちゃんがアンデットを退治した報告をしたいと言い出したからだ
「あ、町長」
「大丈夫。全部出してあります」
なら安心
「しかしこのみ様。先日の御無礼どうかお許しを」
幼女らしからぬ豪快な食べっぷりを見せる白熊ちゃんに町長は深く頭を下げた
「先日? ああはいはい。しょうがないです。私の見た目がこんななのも原因ですし」
「どうぞ受け取ってくだされ。これはお詫びとアンデットを退治してくれたお礼です」
町長がずっしりとした金貨袋を白熊ちゃんに手渡した
「あらあらこれは御丁寧にどうもー」
白熊ちゃんも遠慮も何もせず受け取る
そこは形だけでもいいから一回はお断りするでしょ……
「クロノ様と杏子様にも。女神様をどうか再び。お願いします」
白熊ちゃんと同じくらいずっしりした金貨袋を手渡された
「あ、なんかすいません。どうもどうも」
「ふふふ。ありがたい」
え? 形だけでもお断りしろ?
聞こえないなぁ!
「え? 女神様を? 一体どうするんですか? 」
白熊ちゃんが首を傾げる
「おっと。説明がまだだったね。まぁそれは準備しながらでも話そう」
「うん。長居するのも悪いしな」
「そんなお気になさらず」
「お気持はありがたいですが。私達はいっこくも早く女神様を蘇らせねばなりません。他ならぬあなた達の為に」
杏子のキメ顔がやけに腹立たしかった
結局町長は嬉しさのあまり「なんか出たああああああ! 」と叫びつつ再び失禁していたので早々に立去った
「杏子。なぜお前はあんな事を言ったんだ? 」
「いや、あれが私の正直な気持ち」
「違うよな? 」
「……正直また漏らすんじゃないかとワクワクしていました」
「そうだろうな。いいか? 町長は“いい大人”どころかもう“いいオヂサン”なんだからな? そんな人が叫びながら失禁するなんてもはや事件なんだぞ? それを面白半分で…」
あまりの光景にショックを隠せない白熊ちゃんの頭を撫でつつ杏子に説教をした
「それで、俺達の旅の目的を白熊ちゃんに教えようと思う」
「はーい」パチパチ
元気に白熊ちゃん
「その前に。皆の能力と失っている物を教えあっておこう」
「おーいぇ」
若干ウザめな杏子
「じゃあ、まずは俺から」
「あ、はいはい質問! 質問です! 」
「なんだね? 」
「なんかクロノさんの喋り方が男っぽいのはどうしてでしょうか? 似合ってないでーす」
「童貞だからだよ」
「なんでお前が答えるんだよ! この文面じゃわかりづれーだろ! 」
「文面……? 」
? 何を言ってるんだ俺は
「まぁいいや。そうだな。まぁ手っ取り早く言うと、俺が男だからだ」
……シン……
「……あ、あははー。センスありますねー」
「何その同情めいた笑い方! やめて! ジョークとかじゃないから! 」
白熊ちゃんが呆れた風に
「だって。神憑が現れるのは女性だけですよ? 」
とか言ってくるので、なんとか最終手段である“息子を解放”せずに説得を試みる事1時間
「だああああらっしゃああああ!! もう脱いだらああああああ! 」
俺の精神が持たなかった
「ちょっ! クロノ!? クロノオオオオオオオオオ!!!! 」
珍しく杏子の焦った声が聞こえた気がした
「え? え? わきゃあああああああああああああああああああああああ!!!!? 」
初夏の晴れた昼下がり。2人の乙女の悲鳴が空にこだました