第1章1-2
客間に通されしばらく
「おおっ! あなた方が神憑様ですか! 」
恰幅の良いおじさんが、まさに感激! といった様子で俺と杏子の手を握ってブンブンしてきた
「神憑様に選ばれるのは見目麗しい乙女だけと聞きましたがお二方は噂に違わぬ美しさですな! 」
「あぁいや、俺はおとっあいだぁっ! 」
いきなり爪先が吹き飛んだのかと思ったら杏子が思いっきり俺の爪先を踏んでいた
良かった爪先が無事で
「わざわざバラすような事はしなくていい」
「あ、ああ。それもそうか」
「して、神憑様がチーッバの街に何の御用ですか? 」
「ああそうだった。町長さん。この街に神憑とか住んでませんか? 」
「世界で6人しかいない神憑様がこの街に住んでいたら大騒ぎでございますよ。ああ、でも先日、神憑様を名乗る不届きな少女が現れましてね。食べ物などを要求してきたので“裏山に住み着いたアンデッド共を一層して来たら、神憑だと認めてやる”と言って追い返した事がありましたな」
「え? なんでおれ、私達の事は信じたのにその少女の事は? 」
「信じようにも彼女は証である紋章を見せるのを拒みまして。ややっ、コレは最近流行りの神憑詐欺なのではと。それに、何よりもあなた方からは女神様の如き温かさを感じますので」
「なるほど。ありがとうございます」
神憑詐欺ってなんだよ……
「いえ。しかしなぜそのような? 」
本当は無関係の人にはあんまり知らせたくないのだが、為になる話のお礼ってことで教えてしまってもいいだろう
「……私達は女神様を蘇らせるんです」
「とりあえず裏山に行ってみよう」
あの後、感動しすぎで失禁した町長を尻目に俺達は商店街に来ていた
しかし、あの町長から聞いた話は為になったな。なによりも神憑が全部で6人だと分かったのがデカイ
つーか、そんな世界で6人しかいないってのに、2人も神憑のいた俺達の村ってすごいんじゃないか?
「その少女が神憑だと信じる? 」
「信じるって訳じゃないが、少しでも可能性があるならそこに行ってみようぜ。どうせ時間ならあるだろ」
「あいわかった」
街の人に話を聞いて、アンデッドの居るという裏山の場所を教えてもらった
「しかし、クロノはモテるな。私の3倍はナンパされてたな」
「うるせー、お前の存在感が薄いんだよ」
俺なんかよりもよっぽど杏子の方が可愛いと思うんだがなぁ
「可愛いとか。照れる」
「お前がそこを読めるのはダメだからな!? 」
「」の外は心の中だっつの
「なにを言っている? 」
「もうなんでもねーよ」
もうやだ疲れるこいつ