プロローグ1-2
「もう寝るか? 」
「……」スピー
もう寝てた
さて、じゃあ暇になったのでここで少しばかり俺の自慢話と愚痴を聞いていただきたい
まず、何を隠そう俺は神憑である。俺が内包しているのは神の遺産を好きな時に呼び出し、自在に操れるという力。まぁほぼ無敵の能力である。俺の鼻も高々という訳だ。自慢話はこれで終わり
続いて愚痴を少々。まず、この神憑というのは本来、女性にしか現れない現象なのだそうだ。それはこの世界にかつて君臨していた神様は人間でいうところの女性、つまりは女神様だったかららしい
なのにも関わらず、正真正銘男の俺に、この神憑が現れた。つまり、俺は特別な存在なんじゃね?とか思ってはいけない。なんとこの力、男らしい格好をしていると一切機能しないのだ
つまり、何が言いたいのかっていうのは、俺は年中女装しているけど、決してそんな趣味は無いって事だ。さっきの盗賊達の視線を思い出すだけで3回は嘔吐できる
後、もう1つ。愚痴を少々って割には既に自慢話の3倍以上行数つかってるじゃねーかとか野暮な突っ込みは止していただきたい
この神憑という現象、良い所ばかりじゃないのである
大いなる力には大いなる犠牲が必要だ。って偉い人が言っているように、俺もこの力を持っているが為に犠牲を支払っている
それが嫌で嫌でしょうがないから今回、同じ神憑仲間である杏子を連れて神様を蘇らせる為の旅に出たのだ
ちなみに犠牲にしている物は恥ずかしいのでお話することはできない。内緒の秘密って奴だ
「寝ないの? 機能不全童貞」
まさかの横槍によって俺の内緒の秘密がたったの1行でバレた。とても悔しい
「寝るわ! 今すぐ寝てやるわコノヤロー! 」
「はて? 何に怒っているのか。機能を失った自分の息子に対して? 」
「もういいから寝てくださいホントに」
この女は不謹慎にも程があるだろ
「あいわかった」
この日、俺は絶対に神様を復活させてやると心に誓ったのだった
「ふぁあぁ」ムクリ
「おはよう。クロノ。朝立ちは大丈夫? 」
「俺はなぜお前にここまでバカにされているのか分からん」
「バカになんかしてない。愛してる? 」
「る? じゃねーよ」
こいつとは幼少の頃からの付き合いだが未だにキャラが把握できていない
「さぁ今日こそは街に辿り着くぞ」
「頑張ろうね。女装紳士」
「適度に俺をおちょくるよね君」
「おちょくってない。愛してる! ……? 」
「うわっ、いきなり大声だすなよ。しかも結局最後“?”で締めちゃったよ」
「“?”締めの杏子と呼ばれている私だ」
「初耳だわそんなん」
なんだ“?”締めって
「さー出発ー」
「はいはい」
こうして俺達は最初の目的地であるチーッバという街に向け歩き出した