濱 公太郎~栄冠をその手に~
U-20ワールドカップGL3節、日本対ウルグアイ。前半4分。
【テレビの音声】
実況「前半の立ち上がり、ウルグアイが中盤でボールを奪って縦へ一本入れてきた! ディフェンスラインの裏へ浮き球のパス!」
日本のDF陣が必死にバックステップを踏みながら戻るが、ウルグアイFWが猛然と突っ込んでくる。
実況「裏へ抜け出す! 危ない! ……あっと、GK濱公太郎がエリアを大きく飛び出したーーっ!?」
公太郎、ペナルティエリアの外まで一気に猛ダッシュで飛び出す。
バウンドするボール。公太郎は頭でクリアしようと跳び上がる。
しかし、夜のスタジアムの照明が目に入ったか、あるいは強烈なバックスピンがかかっていたか、ボールは公太郎の頭上をすり抜けていく。
実況「(絶叫)あぁーーーっと!!! 触れない!! 目測を誤ったか、公太郎完全にスカ振ったーーーっ!!!」
完全に無人となった日本のゴール。
公太郎の後ろをバウンドして通り過ぎたボールは、そのままゴールへ吸い込まれて行った。 (誰も触ってない)
実況「(頭を抱えるような、絞り出すような声)入ってしまった……。前半わずか4分、守護神の痛恨の判断ミス。日本、早すぎる失点! あぁ~、そこは捕っとこ公太郎~~っ!!!」
解説「(重いため息)いや……今のは完全に飛び出すタイミングが悪かったですね。DFも並走していましたから、無理にエリア外へ飛び出さず、ゴール前を固めてどっしり構えておくべき場面でした。これはチームにとって重すぎる、あまりにも絶望的な失点です……」
[ピッチ外]
悲鳴すら上がらない。
頭を抱えて完全にフリーズするサポーター、信じられないものを見たという顔で口を半開きにする風監督。スタジアム全体に「終わった……」という重苦しい空気が漂う。
[ピッチ]
ピッチに倒れ込み、芝生を叩いて悔しがるDF陣。
しかし、当の戦犯である公太郎は、着地で3回転半転がるも、すでにガバッと跳ね起きていた。
すぐにゴールへ走ってボールを拾い上げると、前線へ鋭く投げ返す。
そして手を「パン! パン!」と、空気を引き裂くような高い音で叩いた。
公太郎「(妙に自信満々な風に胸を張り、響き渡る大声で)おいおいおい!! 終わったみたいな顔すんな!! まだ9分だぞ、9分! お前らが色気出して3点くらい取ってくりゃお釣りが出るわ! 顔上げろ、こっからだ!!」
両手を広げ、味方を怒鳴りつけるように鼓舞する公太郎。その顔には、1mmたりとも悲壮感も焦りもない。むしろ「ここからが俺の舞台だ」と言わんばかりの、不敵で、どこか狂気すら感じる笑顔を浮かべている。
ディフェンダー陣、そのあまりの心臓の強さに、呆れを通り越して思わず笑みがこぼれる。
解説「(あきれ半分、感心半分で)…はは、まぁ、公太郎のこの信じられない図太さと、一瞬で頭を切り替えられるメンタルこそが、ここまで日本を引っ張ってきたんですけどね。普通なら生きた心地がしない場面ですよ」
実況「失点直後、誰よりも早く前を向いたのは守護神・濱公太郎! 頼むぞ公太郎、ここからは1点も通さず、全部その手に『捕っとこ』公太郎!!」
やっちまったなぁ!
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