7話 デート(?)のお誘い
「アレスティファ君! もしよろしければ、今度の休日、僕に付き合ってくれないか?」
と、ミルフィユがリシュラに誘われたのが、今から三日前。
勿論、ミルフィユはリシュラのことをそれなりに信用してはいるので、その場では彼の誘いを快く受け入れたが……。
(こ、これってほとんど、デートみたいなものなのでは……!?)
リシュラとの約束を明日に控える中、さっさと寝てしまおうと思っていたミルフィユだったが、リシュラの誘いの意味について考え込んでしまい、なかなか寝付けなかった。
「おはよう、アレスティファ君!」
待ち合わせ場所である、城下町のとある小さなカフェの前で、時間通り現れたミルフィユに、帽子を目深にかぶったリシュラは、満面の笑みを浮かべながら挨拶をする。
「おはようございます、ディスユイル様」
結局、昨夜はあまり眠れなかったミルフィユだが、そのことをリシュラに悟られまいと、精一杯の笑みを浮かべながら挨拶を返す。
一方のリシュラは、ミルフィユの様子に不信感を抱いたのか、一瞬だけミルフィユの顔を訝しげに見つめる。
しかし、疑問を口にしてもミルフィユは答えてくれないと察したのであろう。
「ムリだけはしないでくれよ?」と言いながら、ゆったりとしたペースで歩き出す。
自分のペースに合わせてくれているのだろうか? と、ミルフィユはあり得ない可能性に浸りながら、リシュラの後ろについて歩いた。
「そういえば、学園生活はもう慣れたか?」
「え? えぇっと……」
リシュラの目的の場所まで世間話をしていた二人だったが、唐突なリシュラの質問に、ミルフィユは言葉を詰まらせる。
相変わらず、ミルフィユはクラス……というか、学園にいまだ馴染めていない。
私物を隠されたり、壊されたりされていないだけマシであろうが、まともに会話をできる人なんて、それこそ、リシュラぐらいしかいない。
しかし、ミルフィユには、自分なんかと仲良くしてくれるリシュラに、これ以上迷惑をかけたくないという思いがあった。だから……。
「はい。皆さんが良くしてくれるおかげで、すぐに学園に慣れることができました」
「……嘘つき」
自身の言葉を聞き終えた後、リシュラが何かを小さくつぶやいた気がしたが、残念ながらミルフィユの耳には届かなかった。
「何か言いましたか?」
「……いいや、何でもない!!」
パッと笑顔を浮かべるリシュラが、ミルフィユには本当に何ともないように見え、彼女はその場では特に追及はしなかったが……。
その判断が巡り巡って、後にミルフィユを追い詰めることになるのである。
「……よし、ついたよ!」
「え……ここがディスユイル様の目的の場所ですか?」
二人の目の前にたつのは、巷で女子の中で人気のあるスイーツ店。
可愛らしい外見の店とリシュラの姿が上手くリンクせず、ミルフィユは頭の中で?マークを浮かべる。
「ディスユイル様って、甘いものがお好きなのですか?」
「ん~、まぁ嫌いではないけど……一番は、君は甘いものが好きらしいから、息抜きになればと思ってね」
(……あれ? 私ってディスユイル様に甘いものが好きって言ったっけ……?)
リシュラの一言に疑問を覚えるミルフィユだったが、まぁ、自分が過去に語った発言の内容を忘れているだけだろうと、自己完結する。
「私のためにお心遣い、ありがとうございます」
「いや、僕がこうしたかっただけだから、気にしないで!」
そう言いながら、リシュラは店のドアを開け、ミルフィユに入店を促すのであった。




