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ミルフィユ・アレスティファの内緒ごと  作者: 夜桜 舞


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14話 会議

人間界とは別の次元にある、魔界と呼ばれる禍々しい場所にたたずむ魔王城の一室で、何やら騒がしい声が聞こえる。


「えぇ~、先輩、みっともなく人間どもから逃げ帰ってきたの~?」


全身をちかちかするほどの派手なピンク色で包んだ女性が、人間界から帰ってきたばかりのアルゼイラにそう話しかける。


「……うるさいですよ」


そんな女性に、アルゼイラはいら立ちを隠さずに睨みつけるが、女性は大して気にした様子もなく、アハハ、と、笑いだす。


「きゃ~、怖~い!! そんなに威圧感満載なら、人間どもも簡単に倒せそうなのに、負けた先輩が悪いんじゃな~い!」


「君たち、そろそろ黙ったらどうかな?」


白衣を着た男性が、呆れたように二人を見るが、アルゼイラは自分は大して騒いでないのにと、少しばかし不服そうだ。


「それに、今回はアルゼイラさんが新入りである僕らのことをよく知りたいってことで、僕らを呼び出したんだよね? それならば、この場は君がまとめる必要があるんじゃないかな?」

「はぁ……それもそうですね」


めんどくさげにため息をつきながら、アルゼイラはどうして魔王様はこんな奴らを四天王に任命したのだろうと考える。四天王なのに、一人いないし。


「魔王様がどういう基準であなた達を四天王に任命したのか、私はよく知りません。ですが、私たちは魔王様の悲願達成に向け、協力し合わなければなりません」

「はいは~い! 四天王なのに、どうして三人しかいないんですか? これじゃ、三天王ですよ~!!」

「黙ってください。魔王様がこの三人で四天王だというのであれば、私たちが四天王です。たとえ、三人しかいなくても」

「えぇ~、それは魔王様に妄信しすぎじゃな~い?」


やりずらい。こんな奴が誇り高き魔王軍四天王とか信じたくない。


でも、魔王がこいつを四天王に任命したのだ。アルゼイラには、魔王様の言ったことを否定することなどできるわけがない。


「それに、ロゼリちゃんは魔王様と実際に会ったことがないんだよ? 一度くらい顔を見せてくれたっていいじゃん!!」

「それに関しては僕も同意だね。どうして魔王は僕たちに顔すら見せてくれないんだ?」


「……魔王様は、いまだ封印が解け切れていないのです。おそらく、魔王様が新しく四天王を結成させたのも、自らの封印を解くための利用する、優秀な駒を手元に置いておきたかったのでしょう」

「え~、優秀って言ったり利用する駒とか言ったり、なんか複雑なんですけど~!!」

「その魔王の封印を解くためには、どうすればいいの?」


さすがにめんどくさくなって、自身をロゼリと呼ぶ女性のことを無視し始めた男性陣に、ロゼリはギャーギャー叫ぶが、二人は気にせずに話を進める。


「簡単です。人間どもの負の感情……怒り、悲しみ、不安、嫉妬、恐怖などの感情を集め、魔王様の心臓部と言っても過言ではない、コアと呼ばれる場所に注入します」

「……人間たちの負の感情が一定数にたせば、魔王が封印から解かれる、っていうことでOK?」

「はい、さすがはヴィリアです。……しかし、魔王様が復活するための負の感情を集める際に、一番効率的な人間がいます」

「効率的?」

「それは、聖女の加護を受けし者。しかし、その人物が誰なのかは、よくわかっていないのですよね」

「ふぅ~ん……それなら、僕は一人だけ心当たりがあるよ」

「!? そ、それは一体……?」


この場で有力な情報が出るなんて夢にも思わなかったのだろう。

アルゼイラは目を見開きながら、ヴィリアと呼んだ男性に、冷静を欠いた状態でそう尋ねる。


「まぁまぁ、そういうお楽しみはあとまで取っておいた方がいいでしょ。まだ僕も確証までの段階には行ってないし」


ロゼリよりは幾分か話が分かると思っていたがゆえに、アルゼイラはヴィリアの呑気な発言にがくりと肩を下げる。


「あ! ねぇねぇ、今度は私が人間界に言ってもいい? 先輩が負けた人間のことも知りたいし!」


ロゼリは二人の話をろくに聞こうともせず、髪の毛の先を手でくるくると弄んでたかと思うと、唐突に手をはいはいと上げながらキラキラの笑顔でそう言う。


「遊びじゃないんだよ?」

「もちろん、わかってるよ~! 先輩ですら見つけられなかった人間をとっ捕まえるついでに、人間どもから負の感情を根こそぎ奪ってくるよ!!」


そういうや否や、ロゼリはその場から姿を消す。


「ふぅ……本来であれば、複数で動いた方が効率は良いのでしょうが……あんな奴と行動を共にするのは、正直ごめんですね」

「同感。あの子と一緒に行動するぐらいなら、一人で行動した方が効率がいいかな」


アルゼイラはこんな四天王で大丈夫かという思いはあったが、魔王が決めたことだから仕方がないのだと、そう自分に言い聞かせるのであった。

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