13話 招かれ人
翌日、ミルフィユは国王陛下に招かれ、王宮へと訪れていた。
話の内容は主に二つ。一つは、先日のリシュラと出かけた日に起こった、一連の騒動について。
もう一つは、魔族復活の件についてだ。
昨日、たしかにリシュラは国王陛下に、魔族復活の件についての調査依頼を出しておこうと言っていたが、まさかこんなに早く話を聞ける状態になるとは思わず、ミルフィユは貴族の、そして、王族のすごさを改めて実感する。
「本日はお招きいただき、誠にありがとうございます。国王陛下」
ミルフィユが国王陛下を前にして臣下の礼をとると、彼に「顔をあげなさい、ミルフィユ。ここは公の場ではないから、そうかしこまらなくてもいいよ」と伝えられ、ミルフィユはゆっくりと顔をあげる。
「先日の騒動はリシュラから聞いたよ。この国の民を救ってくれたようだね。ありがとう」
「いえ。王立魔法学園の生徒として、当然のことをしたまでです」
「うむ、そうか。これからも精進していってくれ」
しばらくは和やかなムードで会話を続けていた二人だったが、国王陛下の「魔王の件についてだが……」という発言で、その場の空気がガラッと変わるのがわかる。
「魔王軍の封印が徐々に解かれているのは本当のようだ。ライヴィジル王国内でも被害が拡大しており、犠牲者も少なくはない……。そして、君たちが先日遭遇した者は、1500年前にこの国に絶大な被害を及ぼした魔王軍四天王の生き残り、アルゼイラで間違いはないようだ」
「やはり、そうでしたか……」
先日のアルゼイラとの戦闘を思い出し、冷や汗を流すミルフィユだったが、肝心なことを聞いてないことを思い出し、恐る恐る口を開く。
「失礼ですが陛下、魔王は復活しているのでしょうか……?」
「いや、魔王はいまだ聖女の封印から解かれてはいないようだ。だが、それも時間の問題。我々も、魔王がいつ復活するかは把握しきれていない」
陛下の言葉に、ミルフィユはごくりとつばを飲む。
元々、ミルフィユは将来、この国の役に立つからという理由で王立魔法学園への入学を許されたのだ。魔王が復活した際には、この国を守るためにあらゆる方法で魔王に立ち向かいたいとも思っている。
しかし、今の自分では力不足ではないだろうかという考えもあるのだ。……やはり、魔王が復活する前に、もっと力をつけなければ。
「……そういえば、魔王軍復活の件については、どれほどの人が知っているのでしょうか?」
「調査依頼を出したリシュラにはもうすでに伝えてあるし、私の信頼のおける側近にはすべて話した……あとは、私の息子のユレイズも知っておる」
「……殿下も?」
「あぁ。この件に関しての書類を見てしまったらしくてな……。もしもあいつが暴走しそうになった時は、力ずくでも止めてくれ」
「……はい」
まさか国王陛下の前で嫌だとは言えなかったが、ミルフィユの引きつった顔が何よりも彼女の心境を語り、国王陛下はユレイズとよく似た顔に、苦い笑みを浮かべるのであった。




