さんのろく
────結局、アタシと日立さんは、安部君と掃除らしきことをしていた人達全員が帰るまで、カフェフロアにてマスターさんが淹れてくれたインスタントコーヒー──自分で淹れるより段違いに美味しかった──を堪能しながら待った。
──カランカラン……
「『おーい、小娘~、ぽんこつ~、いるんだろー。ドアを開けてくれ』」
『お店』の出入口のドアの外から、ペンギンの呼ぶ声が聞こえてくる。
しかも、不審者達がスゴい爆発音のする光をぶつけたり、日立さんが開けようと奮闘したりした時はビクともしなかったドアが、今はペンギンのノックでドアベルを揺らしている。
それに、ペンギンがアタシたちを呼ぶその声は先の大立ち回りとは違って、正常に壁越しに響いててきた。
アタシとしては、ここは敢えて無視するのも一興かと思うのだけども、日立さんはペンギンに対して色々と問い質したいようなので、やむなくドアに近いアタシがペンギンを迎えに行く。
──コロンカラン~♪
「『たく、遅えぞ、小娘。敢えて無視するとか酷え事を考えてねーで、近くに居るんだからさっさと開けてくれよな』」
よくもまあ、いけしゃあしゃあと皮肉を言う。
ていうか、不審者を伸したときみたいに見えない手(?)で開ければいいのに……。
「『かー、分かってね~な、小娘は。いいか。あ~いったマズィカルパゥアーっつうのは、此処ぞって時に使うんだ。常日頃から使ってたら有り難みが無くなっちまうだろうに』」
そういうもんですか。
「『そういうもんだ
──さて、ぽんこつ。お前さんはオレ様に尋ねたい事がごまんと有るみたいだが、オレ様は一切答えてやらん!』」
「────なっ!? ざけン──」
「『──だが、教えておくべき事は教えておいてやる』」
「──教えておくべき事?」
「『そうだ。先の黒服連中だが、奴等はお前さんが思った通り“手柄に目が眩んで独断専行の勇み足をしたユーロの『協会』の連中”だ。そして、其奴らの目的はぽんこつ──お前さんの身柄の確保であり、延いてはお前さんの親父さんの研究データだ』」
「親父の研究データ?」
「『ああ。ぽんこつは知らんだろうが、お前さんの親父さんは極東の『協会』所属の人間と共同で研究していたそうだ。その研究の成果を纏めたデータは二年前を境にお前さんの親父さんと一緒に行方知れずになっている』」
「親父と音信不通になったのと同時期か……」
「『そうなるわな。そして、それが見付からない事にはぽんこつ──お前さんは此れからも“手柄欲しさの連中”に付け狙われる』」
「──んなッ!? ………………つまり、僕が『ココ』にいると今晩みたいな事がまた────」
「『そうかもな──だが、オレ様にきっちりかっちりすっきりしっかり丸っと解決する案が────』」
「──クっ……。僕の所為で、みんなに迷惑を──いや、危険に巻き込むなんて…………────」
あ~……、もしもし、日立さん? 貴方はいったい何処の関わった人を不幸に巻き込んでしまうワケ有りキャラに浸ってるんです?
アタシは口には出さず、心の中でツッコミを入れながら事の成り行きを見守る。
「『──妄想劇場にトリップしてないで、オレ様の話しを聞けーーー!!』」
──どぅむ!!
「──げぺろっぱ?!」
不審者の時とは違ってペンギンの身体は見事なまでに日立さんの腹部へとぶつかり、体当たり同然の頭突きが決まった。
「……んが、痛つつつ……、悪りぃ、どうも一つの事に集中すると周りが見えなくなっちまう質で……。だがよ、もう少しお手柔らかな方法で引き戻してくれないか?」
「『ハン、善処しておいてやる』」
「さいですか。
それで、きっちりかっちりすっきりしっかり丸っと解決する案ってのは?」
「『おうよ、そいつはな、行くんだよ──』」
「行くって、何処に?」
「『『黄金の海原』──お前さんの親父さんがいるところだ────』」




