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ねこの手、貸します。 秋  作者: 白月 仄
ぷろろーぐ~オータムフェスより~
1/25

にのよん



 ──IRA TAGON OMURA

   MIJAHE TIS HOS

   UOAI CHAKAW EDANN

   IMOWEGA

   TUII SHONAT


   UOS NEGO NAYICHI

   UTSIRN ESIKA NAKAH

   IN UOYON ANAHO

   NANUT

   SESUKAS INAROS


   UOA TUA AS

   UOY EDAN AKA AS


   URETI SHARE

   TOWICHA

   TISHATA WIKEMAR

   IKED AKANO

   NAM IZISH

   ISHO HON ATAM

   AUKA YAGAKI

   NAROZOY





「──ホント、よかったよね~。ステージが中止にならなくて~」

「うんうん。なんでも聞いた話じゃ、ここの準備をしている時に資材が崩れ落ちるって事故があったんでしょ?」

「あたしが聞いた話だと、その現場に女の子が二人いて資材の崩落に巻き込まれたんだけど奇跡的に傷一つ負わなかったらしいよ」

「へぇ~、それってマジでミラクルじゃん~」

 それは、清美きよみ市で催されている『オータムフェス』のミュージックアートエリアの一角にある音楽ステージの控え室で交わされた会話のひとつ。

 ただ、その会話の話題に上がっている準備期間中の事故について、事実は微妙に異なっている。

 準備期間中に起きた資材が崩れ落ちた事故の現場には、交わされた会話通り二人の女の子と────とある人物からの頼みで、二人の女の子たちに危険が及ぶかもしれない事を予見し、“もしもの時”には二人の女の子たちを助けるべく事故現場に駆け付けた三人目の女の子がいたのだ。

 しかし、三人目の女の子が現場に駆け付けた時には山積みにされていた資材は崩落を起こしていて、二人の女の子たちへと襲い掛かる寸前だった。

 三人目の女の子は為す術無く、資材が二人の女の子たちへと雪崩落ちる光景を目の当たりにした。

 あの時は、一瞬、最悪な結末が頭を過り、本当に肝を冷やした。

 現実の結末はほぼ前述の通り、大きな怪我もなく二人とも無事だったわけだが。

「プログラム番号四番の皆さん、あと少しで出番ですので舞台袖へお願いします」

 音楽ステージのスタッフの呼び出しの声が控え室に響く。

 呼ばれた人達は身なりや楽器等の最終チェックをすると、緊張と昂揚した面持ちで控え室を後にする。

 そして、控え室を出ていった人達とは入れ替わる形で、控え室に入ってきたのは──

「……はぁー、緊張した~……」

 音楽ステージの催しのいの一番を見事に務めた歌音うたねちゃん。

 歌音ちゃんのお兄ちゃんの詩音しおんさんと世界的に有名な作曲家の音色ねしきさんの強い薦めで、最初は「大トリに……」と推挙されたのだが、大勢の人達を前にステージ上に立つのは初めての歌音ちゃんは「大トリなんて自分には荷が重過ぎる」と大役に畏縮してしまった。

 そんな歌音ちゃんの姿を見て、詩音さんと音色さんはかなりの無理強いをしていた事を反省して、再考の末に「じゃあ、トップバッターで……」となり、歌音ちゃんもお兄ちゃんからの強い説得と薦めの手前ゆえ、腹を据えて引き受けたのだった。

「お疲れ~、歌音ちゃん。歌音ちゃんの歌はいつ聴いても聞き惚れるわね」

「歌音ちゃん、本当良かったよ」

「すごくよかったよ、歌音ちゃん」

「さすが、我が妹! 素晴らしかったぞ!」

 わたしより一学年上の希さんと叶さんと、わたしと、そして歌音ちゃんのお兄ちゃんの詩音さんは大役を果たした歌音ちゃんに労いの言葉をかけて、歌音ちゃんを迎える。

「ありがとう、希さん、叶さん、カレン。…………、……ついでにお兄ちゃんも」

 それは、歌音ちゃんの細やかな意趣返し。前相談もなくイベントの目玉に推挙されたことへの遅蒔きながらの反抗。

 しかし、労いの言葉への礼の相手の中に自分が含まれていなかった事に、詩音さんは『この世の終わり』な表情になり、それを見た歌音ちゃんは“面倒な事になりそう”だと悟ったようで詩音さんのことも渋々といった感じに追加した。

 すると、絶望の淵にまでいった詩音さんの表情はみるみるうちに喜色満面へと変わる。

「詩音さんって、ホント、歌音ちゃんのこととなるとオーバーリアクションになるよね」

「うん、詩音さんって、歌音ちゃんの一挙手一投足に過剰反応するよね」

「そうか? 仲睦まじい兄妹間では当たり前だと思うが……」

「お父さんから聞いた話になりますが、『兄が妹と“仲が良い”と大々的に公言してる場合、高い割合で妹側は鬱陶しいとかウザいって思っている』んだそうですよ」

「──ッ!? ……そ、そそ……そ……うなのか、歌音うたね……?」

「……………………」

「……………………(ゴクリ)」

 詩音さんの問い掛けに歌音ちゃんは黙考し、問い掛けた詩音さんは息を呑んで歌音ちゃんの答えを待つ。

 ……………………………………………………………………………………………………。

「──そんなことないよ、お兄ちゃん。わたしがお兄ちゃんのことを“ウザい”だなんて思ってたりしないから、安心して、ね」

 ──グっ!!

「──そうかッ!! ま、まあ、歌音の答えは分かってはいたさ」

 『えー、じゃあ、なんで詩音さんは歌音ちゃんが答えを言った時に小さく力強くガッツポーズをしたんですか?』とは聞かない。

「そうなんですか? なら、つい今し方、どうして小さくガッツポーズを?」

 Oh~……。叶さん、わたしが敢えて聞くのは止めておいた事を躊躇なく聞いちゃいますか……。

「あはは、な……ナニを言うかな叶ちゃん。オレが今し方ガッツポーズをしたって? ないないない。それは叶ちゃんの見間違えだよ。妹から拒絶の答えが出るかもなんて一ナノも考えたりなんてしてないから」

 ああ、詩音さん、語るに落ちてますよ。

 そんなあからさまな隙を希さんが見逃すハズもなく、

「ねえ、詩音さん。あたしも詩音さんがガッツポーズをしてるの見たんだけど……──?」

 詩音さんに追撃を仕掛ける。

「……クッ!? ………………あ、そうだ! そういえば、今日のステージで使うギターの最終チェックをしないと。それじゃ、オレは先に舞台袖に行ってるから、希ちゃんたちはスタッフに呼ばれるまで控え室(こっち)で寛いでなよ」

 あ、詩音さんが逃げた!



 ──さして、普段とかわらない、

   何気ない一幕。



 ──いつか訪れる変化の時、

   それが来るその時まで、

   当たり前にある風景と信じて、

   疑わなかった。



 ────でも、────



 ──わたしは垣間見、知った。



 ──当たり前にある風景が、

   いかに繊細で脆弱かを。



 ──当たり前にある風景が、

   数多の偶然と必然が織り成し、

   築き上げられた奇蹟なのかを。



 ──だから、わたしは肝の深いところに

   銘ずる。




 ────当たり前と思える日々も、

     またかけがえのないものの

     一つである事を────







 というのは、別のお話。

 確かに前述の想いを抱くに到った出来事は、今日に至る迄にあった出来事の一つではあるけれど『それはそれ。これはこれ』だ。

 ってなわけで、『オータムフェス』の初日である現在までにあった事を──※別のお話部分は端折ってます※──プレイバック!





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