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水槽脳夢世界 ま行

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水槽脳夢世界ま行

水槽脳夢世界㉑夢子の大冒険

大人気RPG「夢子の大冒険」。

タイトルは諸事情で出せないが、


「おぉ、死んでしまうとは情けない!」


と言えば伝わる人には伝わる某ゲームにゲーム内容などは大変よく似ている。

まぁ、簡単に言えば


「ここは何処?私は...誰?」


記憶を失くした主人公。


「夢子、世界を救えるのは貴女しかいない!」


突然の宣告。


「夢子さん、私も手伝います!」


仲間の登場。


「・・・キティ?」


過去の夢子を知る謎の女性。


「僕も戦う!」


夢子のぬいぐるみ、クマキチの参戦。


「夢子ちゃん、お姉さんと一緒に来ませんか?」


怪しさ満点の勧誘。


「夢子さん、私の知り合いに


「この人なら貴女の正体が分かるかも?」


という人がいるのですけれども。」


突然の告白。

高まる期待。

そして...唐突な別れ。

どん底に陥る勇者夢子。

そしてそんな勇者夢子一行を救出する謎の青年。

そして至高のエンディング。


「私は、自分が誰なのか、ようやく思い出した...

そして、やらなきゃいけないことも...

私は...魔王■■■■■■■!お前を倒す!たとえこの身が何度砕けようとも!」


という典型的なテンプレ物のストーリーである。

「夢子の大冒険」2025年4月23日発売せず。


水槽脳夢世界㉒「欠けたる月は誠の月」

ルネサンスのある土地の

———後に「ドイツ連邦共和国」と呼ばれる土地の出来事。

あるところに、少女がいた。

その少女は高貴な血筋を持つ父親と高貴な血筋を持つ母親の間に生まれた。

財力も地位も権力も、生まれた時から彼女は持っていた。

素晴らしい容姿も持っていた。

母親譲りの豊かな黒髪はまるで黒曜石を連想させる深みのある美しい色。

エメラルドを連想させる、父親譲りの鮮やかで美しい黄緑色の瞳。

その美しい容姿は、男性も女性も焦がれる。

まさに彼女は月であった。


誰もかれもがこう思った。


「彼女は欠けているものなんて無い、美しく完璧で素晴らしい、

「満月」である」


と。信じて疑わなかった。

そして少女も、少女たちも、完璧な家族であるように表向きは演出していた。




少女はそれが普通だと思っていた。


「ほかの家もそうなのだ。」


と、信じて疑わなかった。




少女自身も父親にも、なんら問題は抱えていなかった。

どちらも性格にも健康にも、問題は特に抱えていなかった。

問題は母親だ。母親だけは、性格に問題を抱えていた。




少女の母親と父親を契らせた理由は、政に関するものだった。

もはや両家によって、半ば、というより、

完全に強引に、少女の母親は嫁がされた。




少女の母親には、密かに愛を互いに育む間柄の男がいた。

その男と別れさせられ、会ったこともない男と結婚させられたのだ。




少女の母親は、死ぬまで、少女の父親を憎み続けた。

「その男の子供」という理由から、自身の娘をも、

憎み、疎み、蔑み続けたそうだ。




少女の父親は、少女の母親に対して、とても大きな罪悪感を抱いていた。

だから、男は、女の恨みを、憎しみを、蔑みを、全てを受け入れた。

女の我儘も、横暴も、浮気も、散財も、全てを受け入れた。

男は女の尻ぬぐいに追われた。




最後の最後の瞬間まで、少女は実母の愛情を受けることは出来なかった。

少女の母親は、当時の流行り病にかかって死亡した。

当時のヨーロッパでは、黒死病が流行していた。

母親のみに感染が収まったのは、皮肉にも、

女が男と少女を憎んでいたことが功を奏した。

女は、男と少女が見舞いに来るのを拒んだ。




女が死んで少し経った頃、押しかけ女房のような形で、

ある婦人が少女の新しい母親となった。

その婦人は元々、政略結婚以前の男の婚約者だった。

少女の実母が亡くなったため、2人を遮るものはなくなったというわけだ。

皮肉にも、真に愛する人と結ばれたのは、

愛しい人とずっと結ばれたがっており、

禁断の恋をも堂々と育んでしまっていた少女の実母ではなく、

ずっと耐え忍んでいた少女の父親だったというわけだ。




未亡人同士の結婚だった。

物語では継子は継母に虐められるものだが、ここではそうはならなかった。

継母は数年前に亡くした実子と少女を重ねていた。

少女はここにきて初めて、母の愛情を知ることになる。

少女は継母を慕っていた。

何年かは幸せな時間が流れた。




少女の父親は実母と同じように、ペストにかかって死亡した。




少女の父親が死んでから、継母の精神は壊れてしまった。


「あの人が死んだ」


という現実を受け入れることを拒み、

それを知らせようとしてくる少女をも拒んだ。


どれだけ拒まれようとも少女は母に現実を伝えようとした。

少女は母を心配していたから。




そこにある男が目を付けた。

その神父を名乗る男は、継母の主張の全てを肯定した。




少女や継母は知る由もなかった事実を話そう。

その神父は今で言う「カルト」の教祖だった。

「キリスト教の流派を名乗る新興宗教」の創始者だった。

その神父は少女の家の財産を狙っていた。

狡猾で卑劣で下賤な思想の男だった。


その男が神父をやっていた理由、皆が皆、彼に心酔した理由。

それは、彼は「悟れていた」からだ。

彼は「人間の心理と精神」の覚醒者リアライザーだった。


彼には人の心など、鶏の頭ほど単純な構造のものだった。

懐柔など、家畜を肉にするようなことであった。




継母はとにかく教祖に心酔していった。

哀れなほどに。

継母は神父の全てを鵜呑みにし、少女を虐げていった。

神父は少女が邪魔だったのだ。




ある日、少女は病を患った。

忘れもしない、あの病。

少女から、少女の実母と父親を奪ったあの病。

ペストである。




神父はそれを口実に、婦人に少女を屋敷から追わせた。




少女は深い霧の日に屋敷から追われた。

病人の彼女はある別荘のような質素な家を与えられた。

そこにたった1人、看病してくれる人もいない。


少女は1人寂しく死にゆくはずだった。




少女は心の底から「生存」を願った。

そして2度とこのような悲劇を起こさないために、

もっと早くに神父のような者の本性に気づくことができるように、

洞察力を、観察力を、そしてそれを兼ね備えた

「脳と目」を願いながら死んでいった。




少女の体は、脳は、その願いを叶える方法を悟ってしまった。

少女の脳はその悟った方法で最後に、少女の「目」に力を与えた。

あの美しい黄緑の目に。




少女の脳は死んだようなものである。

「少女の肉体」という名の水槽に閉じ込められている、死んだ脳。

「血液」という名のホルムアルデヒドの水溶液に漬けられている死んだ脳。

そしてそれを動かしているのは少女の「目」である。

少女は、少女自身の目に、文字通り生かされているのである。


少女の名前はケイト。

「目の覚醒者リアライザー」。


水槽脳夢世界㉓無機質少女

———夢子ちゃん。

僕、気づいちゃった。

普通人間、いや、ほとんど、

いや、ほぼ全ての生物は有機質で出来ていると思うんだ。

もちろん無機質も含まれているのだろうけどね、

少なくとも人間は大部分がタンパク質で出来ていると思う。


だけど、僕は気づいてしまった。

アンネローゼさんはロボットであることに...!


「・・・ん?クマキチ、何言ってるの...?

何のアニメ・漫画見ちゃったの?

サイエンス・フィクション...?

「御馳走様が聞こえなーい」?」


———夢子ちゃん、さては僕こと

「中二病」

だって思ってるでしょ。


「いや、逆に聞くけど。

「身の回りの人間のことをロボットだと言い出す」

ことのどこが中二病じゃないって言うの?」


———だってアンネローゼさんはもはやロボットじゃないと

おかしいところがいくつもあるんだよ!?


「・・・ふーん。例えば?」


———まずね、人間って普通、何日、何カ月、いや、何年も

「睡眠時間1時間未満」

なんて生活を送ってたら、健康な生活なんて送れないと思うんだ。


「んー、確かにそうだけど、アンネローゼは

「眠らない」んじゃなくて「眠れない」のよ?

確か

「悪夢で起こされちゃう」

とか言ってた気がするわ。

隣で寝ててびっくりするわ。

数十分おきに悲鳴をあげて飛び起きちゃうんだから。」


———毎回落ち着くまで夢子ちゃんは隣で面倒見てあげるよね。


「いや、あれは別にそういうものじゃないから。

ただ隣で泣いてる人がいたら、

私も安眠できないから仕方なくやってるだけだから。」


———でも、それでも隣で寝ててあげる夢子ちゃんは優しいよね。


「いや、あれは別に布団がなくて仕方なく寝てるだけだから。」


———それ以外にもあるんだ。

普通人間って、あんなに頭は回らないと思うんだ。


「・・・確かにそうだけど、アンネローゼは「天才」だから。

「その代わり」なのかは分からないけど、生活力皆無だから。」


———確かにあの

「シチュー(?)」

はすごかったね。

もはやあの材料からなんであんなダークマターが生まれるのか謎だったよ...


「クマキチは食べてないでしょ?だからそんな呑気なこと言えるのよ。」


———じゃあ実際に食べた夢子ちゃんから一言。


「・・・なんで今まであの味の料理で自炊できてたか謎よ...」


———そんなに?


「アナと私とビアンカで頑張って消費したけど、

「あのおぞましい味のものを美味しそうに食べてる作者アンネローゼ

を3人で不気味がったのよ?

・・・というか、アンネローゼはちゃんと血は通ってるわよ?

前包丁で指バッサリ切ってたし。」


———あ、確かにそんなこともあったね!

「ちょっと痛覚どうなってるんだろう」

って怖くなったよ


「あんなにバッサリザックリ切って平気そうにされたらもう、

見てるこっちが怖くなってくるわ。」

―――――――――――――――――――――――――――――――——――――――――――――――

「あ、お姉ちゃんこんなところにいたんですね!

探しましたよ!

こんなところで何してたんですか?」

「あぁ、アンネローゼ。

ちょっとクマキチとお話ししてたのよ。」

「へぇー、お姉ちゃんにも

「イマジナリーフレンド」

はいるんですね!」


水槽脳夢世界㉔陽と陰、少女と狐、

被験者と加害者マッドサイエンティスト

2038年3月9日

―――――――――――――――――――――――――――――――

2037年3月9日

―――――――――――――――――――――――――――――――

「・・・アナ?!」

―――――――――――――――――――――――――――――――

「こんにちは、ケイトさん。今日もお仕事のお時間ですよ。」

―――――――――――――――――――――――――――――――

「なんで私が貴女を怒らならなきゃいけないのよ?

意味が分からないわ。

私が嫌いなのはあの男だけ。

アナを嫌いになることなんて、私が死ぬくらい有り得ないわ。

長い付き合いなんだから、言わなくても分かるでしょ?

・・・もう、こんなこと、言わせないでよね?」

―――――――――――――――――――――――――――――――

「おやおや、その口調、表情。

さてはケイトさん、怒っていますね?

昨日のことがそんなにお気に召しませんでしたか?」

―――――――――――――――――――――――――――――――

「・・・あの男から聞いたわ。大学に通いだしたのよね。

戻ってこないから...

安心したの。

「大学でようやくアナはあの男の呪縛から逃れることができたのかな?」

って。

・・・今日はどうしたの?

最近あの男も来ないとは言え、ここに長居しないほうがいいと思うの。

あの男に見つかったらきっと貴女も前みたいに戻っちゃうだろうし...

要件は何?

早く済ませて、帰りなさい。」

―――――――――――――――――――――――――――――――

「もぅ、ケイトさんはつれないですね。

アナさんはもっと協力的ですよ?

アンナリースさんを見習ったらどうですか?

・・・まぁ、雑談はこれまでとして、本日の業務の説明に移りますね?

前回も言った通り、貴女の再生は目から始まっています。

そして私はそれを知り、

「目だけの時の再生速度の違い」

などを知りたくなりました。

なので本日はケイトさんの目をメスで摘出し、再生速度の違いを見ます。

よろしいですね?」

―――――――――――――――――――――――――――――――

「アナが罪滅ぼしなんてする必要はないわよ!

悪いのは全部、あの男なんだから。

・・・あの男も老けたわね。

前は聞いても言わなかった内容を、今はフケのごとくボロボロ話すんだから。

・・・あの男が言ってたわ。

・・・貴女に毎日飲ませていたあの薬が原因みたい。

確か

「脳に作用する」

とか言っていたわ。

・・・ごめんなさい、脱線させてしまったわ。

・・・あの男が来ない事とか、色々

「ラッキーだけど何かのフラグみたいで怖いこと」

みたいなことが起こってたものね...

・・・何か深刻な事情が発生したみたいね。」

―――――――――――――――――――――――――――――――

「おや、ケイトさんでも顔の傷を気になさるんですか?」

―――――――――――――――――――――――――――――――

「・・・めでたいことね。

あの男も年貢の潮時ってことね。

・・・誰が見つけてくれたの?」

―――――――――――――――――――――――――――――――

「いや、正直に申し上げると、ケイトさんの容姿は

「レディ」と呼べるほど成熟していないように見えますよ。」

―――――――――――――――――――――――――――――――

「・・・そう、それは素晴らしいわ。

その子には感謝しないとね。

・・・素敵なお友達ができたのね。

大事にしないとね。」

―――――――――――――――――――――――――――――――

「いや、貴女を

淑女レディ」と呼ぶ男性はもはや現れないと思われますよ。」

―――――――――――――――――――――――――――――――

「・・・なるほど、見えてきたわ。」

―――――――――――――――――――――――――――――――

「そこまでこの老人の顔が嫌いですか?

私の頼みで潜入ミッションをしてくれているアンナリースさんは、

そんなこと言いませんよ。」

―――――――――――――――――――――――――――――――

「・・・私はアナについていきたい。

でも、アナの負担になるのは確実だから、いい子に保護されてもらうわ。

・・・でも、色々と聞かれるでしょうね。」

―――――――――――――――――――――――――――――――

「ひどいですね、私は大切な助手に酷いことをするような人間ではありませんよ?

ただ、ちょっと人を探してもらっているだけです。

・・・あ、ごめんなさい。

この

「好きになさい」

は許可を出してくれたんですね?」

―――――――――――――――――――――――――――――――

「・・・聞かずにはいられないわよ。

これ、何?」

―――――――――――――――――――――――――――――――

「「痛覚を刺激せずに眼球を摘出しろ」

と?

ケイトさん、無茶を言ってはいけませんよ。

私のような善人に対して、そんな難しいことさせるなんて、ひどいです。」

―――――――――――――――――――――――――――――――

「っちょ、アナ?!」

―――――――――――――――――――――――――――――――

「私は化学技術の発展のため、世のため人のために尽くしてきました。

「多少の犠牲もいとわず、人類の未来のため、汚れ役を引き受けた」

という、最上級の美談の持ち主ですよ?

神などは信じていませんが、

「天国行き」

と呼ばれる人間には入ると思われます」

―――――――――――――――――――――――――――――――

そういうとアンナリース・ブランクはケイトの口に

持参した謎の液体を流し込んだ。

―――――――――――――――――――――――――――――――

「ひどいですね、この先の長くない老人に対して。」

―――――――――――――――――――――――――――――――

ケイトはいきなり液体を飲まされたせいか、

少しむせていたが、やがて安らかに息を引き取った。

雪山での死のような、安らかで、暖かな死だった。

―――――――――――――――――――――――――――――――

アーデルハード・フックスは実験に取り掛かった。


水槽脳夢世界㉕満ちたる月は偽の月

僕にとってはずっと今の時代のお話。

多分ケイトちゃんが来る前の話。




僕は流れ流れてアンネローゼさんのところに辿り着いた。


アンネローゼさんは僕のことが見えなかった。


僕は君が悪夢にうなされて眠れない夜も、危険な目に遭っているときも、

ずっと傍にいた。

でも、僕じゃあ君を慰めてはあげられなかったんだ。




僕は全ての欲望が消滅欲求に負けてしまったのに、

その消滅欲求すら果たせなくなった人間だからかな?

自分には欲求がないのに、他の人の欲求には敏感になったんだ。


アンネローゼさんは「天才」と言って褒めたたえられた。

どんな奇行も

「天才の考えることは違うな~」

と受け止められたよね。

でも、君が求めるのは賞賛でも嫉妬でもなくて。

他人の興味を惹きたかったのでもなくて。

君は、自分を律してくれる、怒ってくれる人を探していたんだよね。


でも本当は、もう一度、お母さんに叱ってもらいたかったんだよね。

お兄さんに呆れられながらも慰めてほしかったんだよね。




僕は知っているよ。


どれだけ近くに行こうとも、声をかけようとも、君には僕の声は届かない。

もどかしいね。




人様に迷惑をかけて死んだ悪霊()には、罪滅ぼしをする資格も与えられない。


恐ろしいほどに膨れ上がった消滅欲求だけが先走ったんだ。

その成就に体が、心が、精神が狂喜乱舞していたんだ。


これから死ぬという人間は、下なんか見ない。

下を見て恐れるのは、生存欲求が起こす行動さ。


だから、気づかなかったんだ、ぶつかるその瞬間まで。


とても暖かかった。

最初で最後の人の温もりだった。


「そんなつもりはなかったんだ」

といっても事実は変わらないし、その人は戻らない。

きっとこれが、僕に課せられた贖罪なんだ。




こんなに苦しむ君は生きていて、清くて、

こんなにのうのうとしている僕は死んでいて、心も顔も醜くて見にくくて。




神様はきっと愚者だ。

こんな悪霊(バグ)を消してもくれやしないし。

そんな神なんかを誰かが殺してくれることを祈っているよ。

そして其の後は、僕と一緒に地獄巡りでもしてほしい。




1人だけ、ケイトちゃん以外で僕が見える人がいたよ。

確か名前はキャサリンとかいうはずだ。

キャサリン・ムーア。

いかにもアメリカ人らしい青の目と金髪で若干ぼさっとしたポニーテールで、って、あれ?

違うな、確か髪の毛は結んでいないはずだ。


そうだ、アンナリース・ブランクだ。

金色の目でキャサリンさんより濃い金髪でボブで、って、あれ?

違うな、結構長かったはずだ。




そうだ、ビアンカ・フロレスクと名乗っていたな。

黒髪のロングで、何故かいつもサングラスをかけている。

眩しいらしい。

外しているときは大体、けっこう目を細めているな。




ビアンカさんだけは僕が見えていたな。

アンネローゼさんをそれとなく勧誘していたな。

でも、アンネローゼさんは靡かなかったな。




それもそうだろうね。

ビアンカさんは変わっている。

最近はそういう人が増えているのかもしれない。

由々しき事態だ。

「愛したいのに愛し方が分からない」

なんて、下手なラブソングでくらいしか聞かないよ。




アンネローゼさんの頭脳にビアンカさんは目を付けたんだ。

素晴らしいと思ったらしいね。

援助したいと思ったらしいね。

大切にしたいと思ったらしいね。

でも「家族」に関係する形以外の愛し方を知らなかったらしいね。


「愛したい。

甘やかしたい。」


という欲求と


「叱られたい」


という欲求はもちろん混ざり合わなかったらしいね。

妥協も出来なかったらしい。




アンネローゼさんはビアンカさんのことを

「大切なお友達」

として見ているんだよ。

ある意味相思相愛?


アンナリースさんとケイトちゃんをアンネローゼさんは信用しているんだ。

ずっと欲しがっていた

「お姉ちゃん」

として見ているんだよ、本人も気づいていないけれども。


ねえ、ケイトちゃん。

よく寝たでしょう?

そろそろ起きない?




ケイトちゃん、それは僕じゃない。

本物の僕はずっと現実にいるよ。

君がアンネローゼさんから貰った熊のぬいぐるみの中に今もずっといるよ。


君が起きるのを待っているよ。

アンネローゼさんが元に戻るのを待っているよ。


詳しい状況は分からないけどね。


僕はケイトちゃんのぬいぐるみ・クマキチとして、アンネローゼさんの家で、

今日も君たちの帰りを待っているよ。


日本から来た悪霊でも、自殺者の霊でも、君たちは大切にしたいんだ。

皆々様、初めまして、またはこんにちは。

⻆谷春那です。

「水槽脳夢世界」もそろそろ終盤に差し掛かりますね。

只今限りなく終盤に近い中盤に差し掛かっております。

頑張ります。

realizerシリーズ第一弾「水槽脳夢世界」の行く末、最後まで見届けてくだされば幸いです。

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